0 編集部が注目した重点ポイント
①モバイル参入後初の第1四半期営業黒字を達成する
2026年12月期第1四半期において、Non-GAAP営業利益が363億円の黒字に転換しました。これは2020年のモバイル事業(MNO)本格参入以来、季節的に売上が弱まる第1四半期として初めての快挙です。フィンテック事業の全方位での増益に加え、モバイルセグメントの損失が大幅に縮小したことが、グループ全体の収益性を劇的に改善させています。
②フィンテック事業の再編で強固な顧客基盤を構築する
2026年10月の効力発生を目指し、楽天銀行、楽天カード、楽天証券らを含むフィンテック事業の再編に向けた協議を開始しました。銀行の預金獲得力とカードの決済機能を一体運用することで、財務シナジーを最大化させる狙いです。転職者にとっては、縦割りを超えた金融サービスの融合という、業界最先端のキャリア機会が拡大する可能性が高い変革期と言えます。
③海外EC撤退による構造改革で収益力を強化する
一部欧州マーケットプレイス事業(Rakuten France)からの撤退を2026年4月に決定し、年内の売却または閉鎖を進めています。この判断に伴い、当四半期で10億円の減損損失を計上しましたが、撤退後は年間約37億円の赤字削減が見込まれます。事業ポートフォリオを聖域なく整理し、AIと国内エコシステムへ経営資源を集中させる姿勢を明確にしています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年度第1四半期決算説明会 プレゼンテーション資料 P.4
売上収益
6,436億円
前年比 +14.4%
Non-GAAP営業利益
363億円
黒字転換 (+366億円改善)
連結EBITDA
1,088億円
前年比 +36.2%
※Non-GAAP営業利益:IFRS基準の営業利益から、株式報酬費用や一過性の減損、資産売却益などの非経常的項目を調整した、事業の継続的な稼ぐ力を示す指標。
連結売上収益は全セグメントでの増収により、第1四半期として過去最高を更新しました。特にフィンテック各事業の取扱高増加と、モバイルの契約回線数増加が増収を牽引しています。コスト面では、AI活用による広告自動最適化などの成果が出始めており、売上成長を上回る利益改善を実現しています。
当第1四半期終了時点での業績は、証券サービスを除いた連結売上収益で一桁後半の成長を目指す通期予想に対し、前年同期比14.4%増と非常に順調な進捗を見せています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年度第1四半期決算説明会 プレゼンテーション資料 P.6
インターネットサービス
事業内容:楽天市場、楽天トラベルなどの国内ECサイト運営、広告事業、および米国Rewards、Vikiなどの海外コンテンツサービスを展開。
業績推移:売上収益3,176億円(前年比+4.0%)、セグメント利益212億円(前年比+65.6%)。広告売上の拡大が利益増に大きく貢献。
注目ポイント:AIを活用した広告運用システム「RPP」の自動最適化により、広告収入が前年比10.9%増加しました。物流事業やネットスーパー事業の損失も27億円改善しており、AI開発とオペレーション改善の両面で高い専門性が求められています。
フィンテック(楽天カード・楽天銀行・楽天証券)
事業内容:クレジットカード、銀行、証券、保険、決済(楽天ペイ)など多角的な金融ソリューションを提供。
業績推移:売上収益2,753億円(前年比+23.1%)、セグメント利益585億円(前年比+33.8%)。楽天銀行・楽天証券を中心に全事業が増益。
注目ポイント:楽天証券の営業利益が前年比92.5%増と爆発的に成長しています。新NISAの浸透による口座数増(753万口座)が追い風です。再編後は銀行とカードの法人ビジネス連携も強化されるため、法人向けフィンテック営業の機会も拡大します。
モバイル(楽天モバイル・楽天シンフォニー)
事業内容:通信サービス「楽天モバイル」の運営および、グローバル向け通信プラットフォーム「楽天シンフォニー」の展開。
業績推移:売上収益1,312億円(前年比+18.5%)、セグメント損失380億円(前年より133億円改善)。
注目ポイント:契約回線数が1,036万回線(前年比174万増)に到達。解約率の抑制施策も奏功し、ARPU(ユーザー平均単価)は2,834円と堅調な上昇を維持しています。基地局建設の内製化を推進しており、現場での機動力とプロジェクト管理力が重宝される環境です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年度第1四半期決算説明会 プレゼンテーション資料 P.63
今後の成長戦略の核心は「楽天エコシステム + AI」の融合です。現在11サービスで展開中のAIエージェントを、今後50以上の全サービスへ拡大する方針です。これにより、ユーザーの潜在ニーズを先回りして把握し、検索から購入、決済までを自律的に完結させる「スーパーエージェント」への進化を目指しています。
また、2026年10月のフィンテック再編により、グループ内の資金調達環境の改善と顧客データのさらなる一元化が期待されます。これまで独立して成長してきた証券・銀行・カードの各部門がAIを核に再統合されるプロセスでは、数百億円規模のシナジー効果を見込んでいます。最新のAI技術と大規模な金融実務を掛け合わせたい人材にとって、これ以上の挑戦の場はないと言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
楽天は「AIエンパワーメント」を掲げ、70以上のサービスから得られる膨大なデータをAI学習に活用しています。単なる利便性向上ではなく、「AIによって人々の生活を根本から変えたい」という強い意志を志望動機の核に据えるのが有効です。また、フィンテック再編やモバイル損失改善といった構造改革の最前線で、自らの専門性をどうレバレッジさせてグループ収益に貢献できるか、具体的に語れる準備をしましょう。
面接での逆質問例
- 「AIエージェントが50サービスへ拡大する中で、配属予定の部署では具体的にどのような実務の変革(自動化や新価値創造)が現在進行中ですか?」
- 「2026年10月のフィンテック再編に向けて、銀行・カード・証券間でのデータ共有や人材交流はどのような体制で進められる予定ですか?」
- 「モバイル事業が黒字化へ向かう第2フェーズにおいて、法人向けソリューション事業が果たすべき最も重要な役割は何だとお考えですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年12月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2026年度第1四半期決算説明会(連結) プレゼンテーション資料



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