0 編集部が注目した重点ポイント
① 楽天モバイルの契約数が950万回線を突破する
メイン事業の一つである楽天モバイルにおいて、2025年11月時点で全契約回線数が950万を突破しました。自社回線(MNO)の純増ペースが加速しており、年内の1,000万回線達成を射程圏内に捉えています。契約者増に伴う売上拡大とARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の上昇が継続しており、グループ全体の収益改善を力強く牽引しています。
② フィンテック各事業が過去最高益を更新し続ける
楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天ペイメントの主要4サービスにおいて、過去最高の収益を記録しました。顧客基盤の拡大に加え、金利上昇局面を活かした銀行事業の収益伸長や証券事業の預り資産増など、各事業が極めて高い競争力を維持しています。効率的な事業運営により、収益成長を上回る大幅な増益を実現しており、グループの安定した収益柱となっています。
③ ネットスーパー事業の減損計上で再構築を図る
2025年3Qより、倉庫型ネットスーパー事業(楽天マート)において279億円の減損損失を計上し、関西エリアの拠点から撤退することを決定しました。これはブランド認知の弱さや調達力の課題に対応するための構造的変化です。固定資産の簿価をゼロにすることで将来のダウンサイドリスクを限定させ、今後は事業モデルの変革を含めた戦略的オプションを検討し、収益性の改善に注力します。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第3四半期決算説明会 プレゼンテーション資料 P.4
売上収益
1兆7,876億円
(前年同期比 +10.5%)
Non-GAAP営業利益
584億円
(前年同期:赤字249億円)
※Non-GAAP営業利益:IFRS(国際財務報告基準)に基づく営業利益から、当社グループが定める非経常的な項目(一過性の損益)や株式報酬費用、無形資産償却費などを調整した指標。
2025年度第3四半期累計期間の売上収益は、全セグメントでの二桁増収により過去最高を更新しました。Non-GAAP営業利益については、フィンテック事業の利益成長と、楽天モバイルの損失幅の大幅な縮小が寄与し、前年同期の赤字から一転して力強い黒字化を達成しています。特にモバイルセグメントでは、前年同期比で1,010億円もの利益改善が見られ、グループ全体の収益構造が大きく転換しています。
通期予想に対する進捗について、2025年度通期でのNon-GAAP営業利益およびIFRS営業利益の黒字化を目指す中、3Q累計で584億円の黒字を確保しており、業績の進捗は順調であると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第3四半期決算説明会 プレゼンテーション資料 P.10
インターネットサービス
事業内容:楽天市場、楽天トラベル、Rakuten Rewards(米国)等のECおよびデジタルコンテンツサービスの運営。
業績推移:3Q売上収益3,496億円(前年同期比 +11.1%)、Non-GAAP営業利益242億円(同 +14.5%)の増収増益。
注目ポイント:楽天市場の好調に加え、訪日需要を取り込んだ楽天トラベルが成長を牽引しています。ふるさと納税のルール変更に伴う駆け込み需要もありましたが、物流事業の損失改善も利益に貢献しました。AIエージェントの導入により、ユーザーの潜在ニーズを購買に結びつける新しい検索体験の構築が進んでおり、テクノロジーに強い人材の需要が高まっています。
フィンテック
事業内容:楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天ペイメント等の金融サービスの提供。
業績推移:3Q売上収益2,505億円(前年同期比 +20.3%)、Non-GAAP営業利益552億円(同 +37.9%)と極めて高い成長。
注目ポイント:全ての主要子会社で増収増益を達成。特に楽天銀行は金利上昇を追い風に経常利益が前年同期比+55.3%と爆発的に成長しています。楽天証券もNISA口座の拡大を背景に顧客基盤を広げており、各サービスが「生活口座」として定着しています。安定した利益基盤の上で、金融×ITのクロスオーバー領域を担う専門人材の活躍の場が広がっています。
モバイル
事業内容:楽天モバイルの通信サービス提供、および楽天シンフォニーによる海外通信基盤事業。
業績推移:3Q売上収益1,187億円(前年同期比 +12.0%)、EBITDAは112億円の黒字化を達成。
注目ポイント:契約回線数の順調な増加と、データ利用量増に伴うARPUの上昇により収益性が劇的に改善しています。プラチナバンドの展開開始など通信品質の向上も続いており、法人向けDXソリューションの提案も加速しています。フェーズが「設備投資」から「顧客獲得・収益化」へ移行しており、ソリューション営業やネットワーク運用の効率化を担う人材が不可欠です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第3四半期決算説明会 プレゼンテーション資料 P.51
楽天グループは、2025年度通期でのNon-GAAPおよびIFRS営業利益の黒字化を確実な目標として掲げています。財務面では、2027年までに非金融事業の有利子負債倍率を5倍以内へ低下させる方針で、キャッシュフローの創出力が急速に高まっています。
戦略の核心は「AI-nization」です。膨大なデータとAIを組み合わせ、楽天市場の検索精度向上や店舗運営の自動化、楽天トラベルのパーソナライズ機能を強化しています。さらに、日本HPとの協業による「Rakuten AI」のPC搭載など、エコシステムの外部拡大も進行中です。質疑応答でも言及された通り、ネットスーパー事業の減損計上は不採算領域の早期整理を意味しており、今後はより収益性の高い中核事業へリソースを集中させる構えです。キャリア採用においては、既存サービスの改善にとどまらず、AIを駆使して「体験そのものを再定義」できる挑戦的な人材が求められています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
楽天の強みは、単体サービスではなく「エコシステム(経済圏)」の相互作用にあります。特にモバイル事業の契約増が楽天市場や楽天カードの利用額を押し上げる「アップリフト効果」は資料でも強調されており、このシナジーを最大化させるための施策に貢献したいという視点は非常に有効です。また、全社的な「AIエンパワーメント」の推進に際し、自身の専門技術がどのようにユーザー体験の革新や業務効率化に寄与できるかを具体的に語ることで、経営の優先順位と合致したアピールが可能になります。
面接での逆質問例
- 楽天モバイルの契約数が1,000万の大台に迫る中で、私の担当予定の領域では、この膨大なモバイルユーザーをどのように「ロイヤルユーザー化」していく計画ですか?
- AI-nization戦略において、現場レベルでの「意思決定のスピード」やツール導入の裁量はどの程度認められていますか?
- ネットスーパー事業の再構築など、事業ポートフォリオの最適化が進んでいますが、配属部署に期待されている「中期的な収益目標」や役割の変化について教えてください。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
部下を育成する体制はかなり整っている
若手の成長が直属上司の評価になるため、部下を育成する体制はかなり整っている。柔軟な思考の人が多く、若手の意見であっても尊重してもらえるため、積極的に発言できる。
20代前半・マーケティングコンサルタント・女性 [キャリコネの口コミを読む]業績将来性に問題
業績・将来性に問題を感じる。やはり世間でも言われているが、楽天モバイルの業績がどうなっていくかが鍵で、多額の投資をしている以上、引くには引けない状態となっており、そこを何としても成功させなければ、将来性としては怪しいと思われる。
20代後半・人事・男性 [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年度第3四半期決算説明会(連結)プレゼンテーション資料(2025年11月13日発表)
- 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)(2025年11月13日発表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。