※本記事は、株式会社ブルーゾーンホールディングスの有価証券報告書(第1期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブルーゾーンホールディングスってどんな会社?
食品を中心としたスーパーマーケット事業を展開し、持株会社としてグループ経営を行う企業です。
■(1) 会社概要
1890年に青果店「八百幸商店」を創業し、1957年に法人組織化しました。1974年にヤオコーを設立し、1997年に東京証券取引所市場第一部へ指定替えしました。2025年10月に単独株式移転により、ヤオコーの完全親会社としてブルーゾーンホールディングスを設立し、東京証券取引所プライム市場に上場しました。
従業員数は連結で5766名、単体で4名です。筆頭株主は事業会社の川野商事で、第2位は同じく事業会社の川野パートナーズ、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 川野商事 | 18.33% |
| 川野パートナーズ | 10.10% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.18%です。代表取締役社長は川野澄人氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川野澄人 | 代表取締役社長 | 2001年新生銀行を退職しヤオコー入社。代表取締役副社長等を経て、2013年同社代表取締役社長。2025年10月より現職。 |
| 川野幸夫 | 代表取締役会長 | 1969年八百幸商店入社。1974年ヤオコー設立に伴い取締役就任。代表取締役社長を経て、2007年同社代表取締役会長。2025年10月より現職。 |
| 上池昌伸 | 取締役管理本部長兼グループ運営部長 | 2005年ヤオコー入社。開発本部長、常務取締役、専務取締役等を経て、2025年10月同社取締役。2026年3月より現職。 |
| 石塚孝則 | 取締役 | 1996年ヤオコー入社。デリカ事業部長、販売管掌、常務取締役等を経て、2025年4月同社営業統括本部長等に就任。2025年10月より現職。 |
社外取締役は、斉藤麻子(元ドラマティック代表取締役社長)、葛原孝司(元リクルートジョブズ代表取締役社長)、鎌田由美子(元ONE・GLOCAL代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、食品を中心としたスーパーマーケット事業を展開しています。
■(1) ライフスタイル業態
「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」を基本方針とし、豊かで楽しく健康的な食生活提案型のスーパーマーケットづくりを進めています。地域ごとに異なるニーズに対してきめ細かく対応し、生鮮食品に強みを持つ地域密着型の店舗を展開し、一般消費者向けに食品などを提供しています。
収益は、スーパーマーケット店舗における食品や日用品等の商品販売から得ています。運営は主にヤオコー、せんどう、クックマート、文化堂が行っています。
■(2) ディスカウント業態
主に広域の顧客の「まとめ買い」ニーズに対応するため、圧倒的な品揃えと低価格を実現したディスカウント型のスーパーマーケットを展開しています。プロセスセンターの活用や自社でのシステム開発、効率的な店舗オペレーションなど、徹底的なローコストオペレーションを追求し競合他社との差別化を図っています。
収益は、ディスカウント型スーパーマーケット店舗における商品販売から得ています。運営は主にエイヴイおよびフーコットが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社は2025年10月に単独株式移転により設立されたため、当期が設立後最初の連結会計年度となります。当期はディスカウント業態を中心に既存店売上高が大きく増加し、堅調な業績を計上しています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 7,834億円 |
| 経常利益 | 357億円 |
| 利益率(%) | 4.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 259億円 |
■(2) 損益計算書
当期の売上総利益率は24.7%となっており、堅調な利益水準を確保しています。売上高の増加を主因とした営業総利益の増加が経費増を上回り、営業利益率も4.6%と安定した水準を維持しています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 7,834億円 |
| 売上総利益 | 1,936億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.7% |
| 営業利益 | 364億円 |
| 営業利益率(%) | 4.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」のキャッシュ・フロー状況です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.6%でいずれも市場平均を上回っています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 471億円 |
| 投資CF | -464億円 |
| 財務CF | 36億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「地域のお住まいのすべての方が、健康に毎日を楽しめる世界(ブルーゾーン)を実現する」をミッションに掲げています。健康の基盤である食と各地の多様な食文化を尊重し、地域密着型の個性豊かな企業集団を作り、すべてのステークホルダーが価値を生み出し分かち合える「地域の共通資本」となることを目指しています。
■(2) 企業文化
「チェーンとしての個店経営」「全員参加の商売」「徹底した現場主義」を運営方針としており、各店舗が主体的に考え行動する経営を重視しています。これはグループ各社が互いに学び合い、強みを発揮しながら成長する「自律と連帯」の考え方に基づくものです。「おかげさま」「自分事」「こだわる」「楽しむ」「進化する」という価値観を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
「500店舗、売上高1兆円」を長期の数値目標として掲げています。また、「売上高経常利益率4%以上」を継続的に確保することで、各ステークホルダーに対する適切な還元や持続的な成長を実現するための成長投資が可能になると考えています。
・500店舗、売上高1兆円
・売上高経常利益率4%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
第11次中期経営計画において、「グループでより強くなる」をテーマに、ライフスタイル業態とディスカウント業態の各社が自律的な成長を果たすことで商圏シェアの向上を図ります。あわせてグループ売上高1兆円に向けた基盤づくりを進めます。「昭和モデルから令和モデルへの構造転換」としてデジタル活用や省人化、循環型モデルへの移行に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「自ら動いて強みを磨き続ける人材」の育成を重視し、次世代の経営人材育成に取り組んでいます。従業員一人ひとりが働きがいを持てるよう、適切な賃上げや労働環境の改善を進め、「働きやすさ」と「働きがい」の両立を実現し、多様な人材がそれぞれの立場で価値を創出しながら成長できる組織風土の醸成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 35.4歳 | 7.3年 | 8,059,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.7% |
| 男性育児休業取得率 | 30.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 77.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 104.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 消費動向の変化
少子高齢化に伴うマーケットの縮小と「消費の二極化」が加速する中、節約志向の強い層向けの商品開発や価格対応に取り組んでいますが、こうした消費動向の変化への対応が遅れた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競争激化と特定事業分野への依存
スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニ、ECなどと競合しています。国内需要に依存した単一事業であるため、競争力が強化できない場合には業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 労働力不足と人件費の増加
労働集約産業であるスーパーマーケットにおいて、生産年齢人口の減少が課題です。賃上げや労働環境の改善等に取り組んでいますが、人材確保や店舗作業の削減などの施策が計画通りに進まない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 気候変動と環境問題
季節の商品販売動向に基づき計画を立てていますが、想定外の気候変動により売上の減少や過剰在庫を招くリスクがあります。また、脱炭素やリサイクルへの対応が遅れた場合にも事業に悪影響を及ぼす可能性があります。



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