0 編集部が注目した重点ポイント
①第一三共ヘルスケアの株式を譲渡する
2026年4月にサントリーホールディングス株式会社との間で株式譲渡契約を締結しました。2026年6月から段階的に譲渡を行い、将来的には完全分離する計画です。経営資源をイノベーティブ医薬品事業へ集中させる方針であり、新薬開発やグローバル展開の領域で専門人材のキャリア機会が拡大します。
②2025年度売上収益が2.1兆円に達する
当期の売上収益は2兆1,230億円を記録しました。第5期中期経営計画で掲げていた目標値である1兆6,000億円を大幅に上回って達成しています。主力のがん製品であるエンハーツの驚異的な成長が業績を強力に牽引しており、グローバル市場で活躍できる実務経験者にとって魅力的な事業環境が構築されています。
③2030年度売上収益3兆円以上を目指す
新たに策定された第6期中期経営計画において、2030年度に売上収益3兆円以上、営業利益6,000億円以上という野心的な計数目標を公表しました。独自の強みであるADCs(抗体薬物複合体)技術の価値最大化に加え、次世代創薬技術の特定へ投資を行う計画であり、最先端サイエンスに挑戦できる体制がさらに強化されます。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度決算 および 第6期中期経営計画 説明会 P.7
売上収益
2,123,045百万円
+12.6%
コア営業利益
359,962百万円
+15.1%
営業利益
229,089百万円
-31.0%
※コア営業利益 = 営業利益から、固定資産売却損益や事業再編損益、減損損失、損害賠償や損失補償などの非経常的かつ多額の一過性損益を除外した、経常的な収益性を示す独自の指標
売上収益は2兆1,230億円に達し、欧米市場を中心としたがん領域製品の成長や為替によるプラス影響(218億円の増収効果)が大きく寄与しました。経常的な収益性を示すコア営業利益も3,600億円となり、開発投資の増加を吸収して2桁増益を維持しています。一方、営業利益は前年同期比で減少していますが、これは製造委託先への損失補償(757億円)や小田原工場投資中止関連損失など、第4四半期に一過性の費用(1,530億円)を集中的に計上したことが主な要因です。
当期は第5期中期経営計画の最終年度にあたりますが、策定時の売上目標1兆6,000億円およびがん領域売上目標6,000億円以上に対し、実績は売上が2兆1,230億円、がん領域が9,540億円に到達しており、経営戦略の進捗状況および成果としては極めて高い水準で目標を超過達成したと評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度決算 および 第6期中期経営計画 説明会 P.8
ジャパンビジネスユニット
【事業内容】国内市場におけるイノベーティブ医薬品(新薬)およびワクチン等の販売・流通を担います。
【業績推移】売上収益は前年同期比89億円増の4,858億円の増収となりました。
【注目ポイント】国内市場では抗凝固剤リクシアナや疼痛治療剤タリージェが堅調に拡大しています。さらに、がん製品であるエンハーツのHER2低発現乳がん対応や、遺伝子増幅を伴う固形がんへの適応拡大、新製品ダトロウェイの上市が相次いでおり、国内の医療従事者に対して高い専門性を持って高度な情報提供を行う医薬情報担当者の重要性が増しています。
第一三共ヘルスケアユニット
【事業内容】大衆薬(OTC医薬品)や化粧品、オーラルケア製品などの製造・販売を展開しています。
【業績推移】売上収益は前年同期比41億円増の907億円と手堅く推移しました。
【注目ポイント】クリーンデンタルやロキソニン等の主力ブランドが市場で高い支持を集めて増収を維持しています。なお、前述の通りサントリーHDへの段階的な株式譲渡契約が締結されており、今後は新会社としての運営体制構築が進められる見込みです。新薬事業とは異なる独自の一般消費者向けビジネスに携わりたい方に特有のキャリアフィールドを提供しています。
オンコロジービジネスユニット
【事業内容】米国子会社(第一三共Inc.)および第一三共ヨーロッパを通じたがん治療薬の海外販売・商業化を担当します。
【業績推移】売上収益は前年同期比1,450億円増の6,088億円と驚異的な爆発力を示しました。
【注目ポイント】欧米市場においてエンハーツが各適応症で新規患者シェア1位を維持しているほか、ダトロウェイの肺がん・乳がん領域での発売が利益成長を強力に後押ししています。グローバル市場における競争力の維持・拡大に向けて、世界水準の商業化戦略やパブリケーション、アライアンスマネジメントを統括できるグローバル基準の専門人材の主戦場です。
アメリカンリージェントユニット
【事業内容】米国市場を対象とし、注射用鉄剤やジェネリック(後発医薬品)の注射剤などの製造・販売を行います。
【業績推移】他社製品との競争激化に伴い、前年同期比350億円減の1,822億円の減収となりました。
【注目ポイント】主力の注射用鉄剤ヴェノファーやインジェクタファーが激しい市場競争に直面しており、売上・利益ともに減少傾向にあります。この厳しい環境変化を打開し、サプライチェーンの再効率化や、製造コスト管理の最適化を現地で主導できるような、米国での実務経験が豊富なオペレーション人材の活躍が期待されています。
EUスペシャルティビジネスユニット
【事業内容】欧州地域における、がん領域以外の医薬品(循環器疾患治療薬など)の販売・情報提供を行います。
【業績推移】売上収益は前年同期比391億円増の2,766億円と2桁成長を維持しています。
【注目ポイント】欧州では抗凝固剤リクシアナの安定した成長に加え、コレステロール低下療法薬であるNilemdoやNustendiが前年から大きく売上を伸ばして貢献しています。なお、新薬事業にリソースを集約する一環として、事業再編費用の発生が公表されています。欧州特有の複雑な薬価・保険償還環境をくぐり抜け、価格戦略を最適化できる海外薬価交渉・法務の専門性が必要です。
ASCAビジネスユニット
【事業内容】アジア、中南米地域における医薬品の製造・販売、および現地ライセンシー企業の管理を統括します。
【業績推移】売上収益は前年同期比398億円増の2,510億円と力強く推移しました。
【注目ポイント】中国やブラジルにおけるエンハーツの急速な市場浸透が利益成長を強力に支えています。中国市場では胃がん2次治療や早期乳がんの術前療法など複数の新適応症でプロモーションが相次いで立ち上がっており、新興国特有の規制動向を迅速に把握し、現地のライセンシーやパートナー企業とのアライアンスを円滑に進められるアジアビジネスのスペシャリストの存在が欠かせません。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度決算 および 第6期中期経営計画 説明会 P.54
2026年度(次期)の業績予想として、売上収益2兆2,800億円、新定義でのコア営業利益3,600億円を見込んでいます。中長期戦略としては、リクシアナの特許満了などの課題を乗り越えるため、エンハーツを含む「5DXd ADCs」の価値最大化に注力し、2030年度には売上収益3兆円以上、営業利益6,000億円以上の達成を計画しています。また、全社横断で計2,000億円以上のコスト最適化を実行する「Operational Excellence」や、2027年度の「Chief Commercialization Officer」ポスト新設によるグローバル商業化の一元化など組織改革が急ピッチで進んでいます。研究開発面では核酸医薬や標的タンパク質分解(TPD)などの新規モダリティ(治療手段)研究、AIを活用したデータ駆動型創薬へのシフトに向けて、サンディエゴやボストン、ミュンヘンといった世界拠点を拡張中であり、サイエンスを主導できる高度なR&D技術者やIT・DX専門人材のキャリア採用を強化していく方針が明示されています。
4 求職者へのアドバイス
HINT 志望動機のヒント
世界最高峰レベルの承認スピードを誇るADCs技術(エンハーツ等)を確立し、ヘルスケア事業の譲渡による「新薬事業への集中」を果敢に進めるなど、攻めのポートフォリオ変革を体現している企業です。選考の場では、単に大手としての安定性を評価するのではなく、「第6期中計が掲げる『2035年にがん領域でグローバルトップ5』という明確なマイルストーンに共感した」と述べた上で、「グローバル一元化が進む商業化組織において自らの国際実務経験を注ぎ込み、革新的な医薬品をいち早く世界の患者へ届ける体制構築に貢献したい」という熱意を具体的スキルと結びつけて語るのが非常に効果的です。
Q&A 面接での逆質問例
・「第6期中期経営計画では2,000億円以上のコスト最適化と戦略的人材配置を一体で進める方針が示されていますが、新しく参画する中途採用者が現場で生産性の飛躍的向上に貢献するにあたり、最初に打破すべき業務プロセス上の最大の課題は何でしょうか」
・「2027年度に向けてグローバルで商業化機能を一元管理する新組織の設置とChief Commercialization Officerの配置が計画されていますが、この組織改編期において、他社での上市経験を持つ即戦力人材に期待されるスピード感やリーダーシップのあり方について教えてください」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
残業・休日出勤は比較的多い
担当施設によるが、講演会などで残業・休日出勤は比較的多い。特に平日夜の講演会だと終了が21時ごろになるので、そこから片付けなど行うと22時頃の終了が多かった。
(30代前半・MR・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 第一三共株式会社 2025年度決算 および 第6期(2026-2030年度)中期経営計画 説明会(2026年5月11日発表)
- 第一三共株式会社 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)



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