0 編集部が注目した重点ポイント
① 製造子会社2社を連結除外して経営効率を加速させる
2026年3月期第2四半期より、製造を担っていた第一三共プロファーマ及び第一三共ケミカルファーマの2社を連結範囲から除外しました。これは、コア事業である革新的医薬品へのリソース集中を鮮明にする構造的変化です。生産体制の再編により、グローバルな供給網の最適化が進むため、サプライチェーン管理や生産戦略部門でのキャリア機会が変革期を迎えています。
② 通期売上収益予想を1,000億円上方修正する
主力のがん治療薬「エンハーツ」や「ダトロウェイ」の販売が日本・米国で想定を上回り、好調に推移しています。これを受け、通期の売上収益予想を従来から1,000億円プラスの2兆1,000億円に引き上げました。成長ドライバーが明確であり、特にオンコロジー領域(がん領域)の専門人材にとっては、拡大する市場での挑戦が可能な、極めてポジティブな局面といえます。
③ 5DXd ADCs戦略がグローバルで結実する
独自の技術である「DXd ADC(抗体薬物複合体)」を用いた5つの重点製品価値を最大化する戦略が着実に進んでいます。当中間期にはエンハーツが四半期ベースで初の10億ドルを達成。この科学的優位性を背景に、研究開発から臨床開発、承認申請を担う高度専門職の採用ニーズは今後も世界規模で高まり続けることが予測されます。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 P.4
売上収益
9,754億円
+10.5%
コア営業利益
1,586億円
-4.8%
中間利益
1,308億円
-10.8%
※コア営業利益 = 営業利益から一過性の収益(資産売却益等)や費用を除外した、事業の本業による利益を示す指標。
売上収益は、グローバル主力品である「エンハーツ」の力強い成長や、新薬「ダトロウェイ」の売上寄与により、前年同期比926億円の増収となりました。一方でコア営業利益が微減となったのは、アストラゼネカ社との利益分割(プロフィット・シェア)の増加や、将来の成長に向けた研究開発費の積み増し(2,168億円)が主因です。
当中間期の通期予想に対する進捗率は、上方修正後の売上収益に対して46.4%、コア営業利益に対して45.3%となっています。修正後の高い目標に対しても、主力製品の勢いから判断して概ね順調な推移と言えます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 P.5
ジャパンビジネスユニット
【事業内容】
国内におけるイノベーティブ医薬品(新薬)およびワクチン事業を展開。リクシアナ、タリージェ等が主力製品です。
【業績推移】
売上収益2,499億円(+4.3%)。不眠症薬ベルソムラ等の貢献により増収となりました。
【注目ポイント】
エンハーツの「HER2低発現乳がん」に対する適応拡大など、国内市場でのプレゼンスが再拡大しています。新薬の市場浸透を支える専門的な医薬情報担当(MR)や、メディカル・アフェアーズの役割がこれまで以上に重要視されており、サイエンスに基づいた顧客価値提供ができる人材への期待が高まっています。
第一三共ヘルスケアユニット
【事業内容】
クリーンデンタルやミノン等のブランドを擁し、一般用医薬品(OTC)やスキンケア製品を提供しています。
【業績推移】
売上収益459億円(+8.0%)。主力ブランドの伸長により着実な成長を維持しています。
【注目ポイント】
消費者の健康意識の高まりを背景に、高機能製品のブランド育成に成功しています。eコマースの活用やデジタルマーケティングの深化が進んでおり、コンシューマービジネス特有のスピード感を持ってブランド価値を最大化できるマーケターや、EC戦略担当者にとっての活躍の場が広がっています。
オンコロジービジネスユニット(米欧)
【事業内容】
米国および欧州におけるがん製品の販売を担う、グループ成長の最注力ユニットです。
【業績推移】
売上収益2,730億円(+26.7%)。エンハーツの爆発的な成長が継続しています。
【注目ポイント】
米国・ドイツを中心に新規患者シェア1位を維持するなど、グローバル製薬企業としての地位を確立。世界水準の臨床開発や、アストラゼネカ社との戦略的提携を通じた高度な事業開発経験を積める環境です。グローバルキャリアを志向する開発職やコマーシャル人材にとって、これ以上ないステージといえます。
アメリカンリージェントユニット
【事業内容】
米国での鉄剤「インジェクタファー」やジェネリック注射剤(GE注射剤)の開発・販売を行っています。
【業績推移】
売上収益968億円(-10.5%)。主要製品の競合影響等により減収となりました。
【注目ポイント】
厳しい市場環境下で事業構造の再定義が求められています。既存製品のコスト競争力強化と、新規プログラムの導入が急務であり、製薬ビジネスのバリューチェーン全体を見渡し、収益改善や事業再編をリードできる変革型の人材にとって、自身の介在価値を発揮しやすい局面です。
EUスペシャルティビジネスユニット
【事業内容】
欧州における循環器領域等の製品(リクシアナ、Nilemdo等)の展開を担います。
【業績推移】
売上収益1,368億円(+15.8%)。脂質異常症治療薬の伸長が大きく寄与しました。
【注目ポイント】
循環器領域での強固な基盤を維持しつつ、新薬の大幅増収(121億円増)を実現しています。欧州各国で異なる規制や薬価制度に対応しながら、広域のビジネス戦略を立案・実行できるグローバルガバナンス人材のニーズが高まっており、国際感覚豊かなキャリア形成が可能です。
ASCA ビジネスユニット(アジア・中南米)
【事業内容】
中国、韓国、ブラジル等の新興国市場における製品展開を統括しています。
【業績推移】
売上収益1,179億円(+18.4%)。中国でのエンハーツ拡大が成長を牽引しています。
【注目ポイント】
巨大市場である中国をはじめ、新興国での高成長が続いています。各国の薬事規制対応やマーケットアクセス戦略が重要性を増しており、不確実性の高い環境下で柔軟な意思決定を行い、現地パートナーシップを構築できる国際経験豊富なプロフェッショナルが求められています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 P.11
第一三共は、現在の成長を支える「5DXd ADCs」の価値最大化に加え、持続的成長を担保する「Next Wave(次世代製品群)」への投資を加速させています。当中間期には、標的タンパク分解誘導剤(TPD)である「DS9051」や、新規抗原提示を増強するNMD阻害剤「DS5361」など、ファースト・イン・クラスを狙う新規モダリティ(治療手段)の試験開始が発表されました。
また、質疑応答で言及された通り、主要製品の売上好調は一過性ではなく「高いアンメットニーズ(未充足の医療需要)」に裏打ちされた継続的なものと認識されています。研究開発投資を4,600億円まで増額し、バイオテクノロジーの最先端に挑む姿勢を鮮明にしており、世界中のがん患者の人生を変える「サイエンスの力」を信じる人材にとって、最もエキサイティングなフェーズに突入しています。
4 求職者へのアドバイス
HINT 志望動機のヒント
第一三共が掲げる「5DXd ADCs and Next Wave」戦略を深く理解することが重要です。特に「エンハーツ」が世界各国の主要がん治療でシェア1位を維持している実績は、同社の科学的優位性の証です。「自らの専門性を、世界基準のイノベーティブ医薬品の創製・普及に活かしたい」という想いを、具体的な製品群や新規プログラム(TPD等)と結びつけて語ることで、強い説得力が生まれます。
Q&A 面接での逆質問例
・「5DXd ADCsの価値最大化に向け、今後予定されている適応拡大のニュースフローに対し、私の職種ではどのようなスピード感と専門性が期待されますか?」
・「Next Wave戦略における新規モダリティの開発において、他部門(R&Dやコマーシャル等)との連携のあり方は、従来とどのように変化していますか?」
・「製造子会社の連結除外といった構造的変化を経て、グローバル供給体制の最適化に向けた中長期的な課題をどう捉えていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
自分のキャリアを自分でコントロールできる
育児と仕事の両立がしやすい環境が整っています。社内転職制度を利用して、自分のキャリアを自分でコントロールできる点が魅力です。研究開発本部での新薬開発プロジェクトに携わる中で、チームビルディングや調整力を養うことができました。
(40代後半・プロジェクトリーダー・男性) [キャリコネの口コミを読む]残業休日出勤は比較的多い
担当施設によるが、講演会などで残業・休日出勤は比較的多い。特に平日夜の講演会だと終了が21時ごろになるので、そこから片付けなど行うと22時頃の終了が多かった。休日出勤については代休取得可だが、営業所長やグループ長によっては取得しづらい雰囲気があるため、結局はGWなどにまとめて休暇を取る人がほとんど。
(30代前半・MR・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年度 第2四半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。