0 編集部が注目した重点ポイント
①ゲーミング企業2社を新規連結し海外事業を拡大する
当期の第1四半期よりGAN LimitedおよびStakelogic B.V.の2社を新規連結しました。前年は未連結のため単純比較はできませんが、海外でのオンラインゲーミング事業への本格進出により、グローバル展開を担うポジションでのキャリア機会が大きく拡大します。
②開発人員100名超を移管し主力フルゲームへ注力する
F2P(フリー・トゥ・プレイ)新作タイトルの苦戦や開発中止という進捗を踏まえ、中長期の成長戦略におけるGaaSの位置づけを見直しました。F2Pの開発人員の一部である100名超を主力IPを中心とするフルゲーム開発へ移管させており、今後は強みである国内スタジオの開発基盤で専門人材の需要が高まります。
③大型M&Aを凍結し200億円規模の自己株取得へ舵を切る
当期決算における減損損失の計上などに鑑み、キャピタルアロケーション方針の見直しを実施しました。当面の間は大型M&Aの実施を凍結することを決定し、確保していた資金を再配分して約200億円の自己株式取得を決議しました。今後はオーガニック成長と基盤再建を優先する健全な財務運営へシフトします。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算プレゼンテーション P.3
売上高
4,875億円 (+13.7%)
営業利益
471億円 (-2.1%)
経常利益
542億円 (+2.1%)
調整後EBITDA
166億円 (-73.3%)
※調整後EBITDA = 経常利益 + 支払利息 + 減価償却費 + M&Aに伴うのれん/商標権等の償却費 - 事業上の特別利益 + 事業上の特別損失(減損、タイトル評価減等) - 非支配株主に帰属する当期純利益(事業の経常的なキャッシュ創出力を測る指標)
当期の連結業績は、パチスロの主力タイトルの販売が非常に好調であった遊技機事業が全体を牽引し、売上高は487,542百万円と堅調な増収を達成しました。一方で、コンシューマ分野における新作の軟調や買収2社の連結開始に伴う営業損失の拡大により、営業利益は47,128百万円と微減となっています。さらに、Rovio社およびStakelogic社ののれん等に係る多額の減損損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は5,756百万円の赤字となりました。
当期は通期実績の確定ですが、当初公表していた中期計画目標(売上高5,000億円、経常利益760億円、調整後EBITDA790億円)の基準と比較すると、売上高が4,875億円、経常利益が542億円、調整後EBITDAが166億円に留まり、すべての指標で当初の想定を下回る形となりました。主力事業の不振や構造改革の実施により、中長期計画に対する進捗は遅れていると評価せざるを得ず、今後は「売り方改革」による早期の業績立て直しと収益性の改善が強く求められます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算プレゼンテーション P.5
エンタテインメントコンテンツ事業(コンシューマ・映像・AM&TOY分野)
【事業内容】
フルゲームやF2Pなどのコンシューマゲームの開発・販売、アニメーション映画の企画・制作・販売、およびアミューズメント機器や玩具の開発・製造・販売を展開します。
【業績推移】
当期の売上高は3,266億円(前期比1.6%増)と微増したものの、営業利益は324億円(前期比20.5%減)と大幅な減益を記録しました。
【注目ポイント】
フルゲーム新作の一部や買収したRovio Entertainment Ltdが軟調に推移した一方、トランスメディア展開に伴うライセンスアウト関連事業の収入は175億円(前期比31.6%増)と着実に成長しています。足元ではデータドリブンな「売る力」を強化するグローバルパブリッシングの変革を推進しており、地域ごとに分散していたデータ資産を統合するグローバル統合基盤の構築や、AI等を活用した分析プロセスの効率化を進めています。属人的な判断から標準化された運用体制への転換を図るため、経営資産としてのデータを高度に扱えるデジタルマーケティングやデータ分析の専門人材が強く求められています。
遊技機事業(サミー株式会社)
【事業内容】
サミー株式会社を主体として、パチスロ遊技機およびパチンコ遊技機の開発・製造・販売を一手に担っています。
【業績推移】
当期の売上高は1,320億円(前期比35.9%増)、営業利益は321億円(前期比60.5%増)と非常に力強い増収増益を達成し、全体の収益を牽引しました。
【注目ポイント】
『スマスロ北斗の拳 転生の章2』などの主力タイトルの販売が好調を維持し、スマートパチスロを中心に市場での圧倒的な稼働シェアを底上げしました。また、部材を極小化してホールの入れ替えコストを下げるとともに自社の利益率向上に寄与する新筐体「分離筐体(ユニット販売)」の本格展開をスタートさせており、次期の販売計画台数のうち約20%をこのユニット販売が占める想定です。市場が長期的な縮小傾向にある中、メーカーとホールが共存共栄するための新しいビジネスモデルの構築が進んでおり、次世代の遊技機開発を担う機械設計や制御開発のエンジニアにとって魅力的なフィールドが広がっています。
ゲーミング事業(セガサミークリエイション株式会社・買収2社・IR)
【事業内容】
セガサミークリエイション株式会社(SSC)によるゲーミング機器販売、買収したGAN LimitedおよびStakelogic B.V.によるオンラインゲーミング、および韓国の統合型リゾート(IR)『パラダイスシティ』の運営を行います。
【業績推移】
当期の売上高は253億円(前期比368.5%増)と急拡大した一方、営業損失は72億円(前年は7億円の損失)となりました。(注:当期より買収2社を新規連結したため、前年同期とは単純比較不可)
【注目ポイント】
北米向けのゲーミング機器販売が過去最高の売上を記録し、持分法適用関連会社であるパラダイスセガサミーの取込額も過去最高の45億円を達成するなど、既存事業は非常に好調です。一方で、当期より新規連結されたGAN社およびStakelogic社の業績取込(当期は変則的に9か月分)や、オランダの規制強化に伴うStakelogic社の減損損失の計上が利益を圧迫しました。次期は買収2社が12か月フルで連結され、米国でのB2Bソリューション提供に向けた次世代技術基盤「V2」への移行や、オランダ事業の構造改革を強力に推進する「Jカーブのボトム(投資のピーク)」に位置付けられています。海外の規制市場でのオンライン移植や、買収後の事業再生・PMIをリードできるタフなマネジメント人材・開発人材の活躍が期待されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算プレゼンテーション P.29
2027年3月期の通期計画は、売上高510,000百万円(前期比4.6%増)、営業利益44,500百万円(前期比5.6%減)と、全体で前期比で増収減益の見通しを立てています。ただし、前期に多額の減損損失を計上した反動から、親会社株主に帰属する当期純利益は32,500百万円と黒字転換を見込んでいます。エンタテインメントコンテンツ事業では主力IPのフルゲーム新作を4本投入し、アングリーバードやソニックの映画化に伴うトランスメディア展開を加速させる方針です。一方、遊技機事業では主力タイトル減少の反動減や部材高騰の影響を受け、ゲーミング事業でも米国B2B市場開拓に向けた開発人員の増強など先行投資により損失幅が一時的に拡大する見込みです。また、流動的な中東情勢によるサプライチェーンへのコスト影響も引き続き注視されています。資料内で言及されている通り、大型M&Aの凍結に伴い、今後は自社内の開発資源の最大化やオンライン移植といったオーガニックな成長基盤構築に注力する組織フェーズへと移行しており、中長期の事業再生とプラットフォーム刷新を牽引できるエンジニアの採用動向に大きな注目が集まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は現在、F2Pから主力IPを中心としたフルゲーム開発へ人員を再配置する戦略的シフトと、データドリブンなパブリッシング体制への「売り方改革」を推し進めています。志望動機を構築する際は、同社の誇る国内スタジオの強固な開発力やトランスメディア展開の可能性に共感を示した上で、自身の持つ高度なデータ分析力やグローバルマーケティングの知見を活かし、組織の変革期におけるヒットの最大化や再現性ある運用体制の確立に貢献したいという具体的な意欲をアピールすると非常に効果的です。
面接での逆質問例
・ゲーミング事業において、次期は「Jカーブのボトム」として先行投資と事業再生プログラムを強力に進める計画ですが、次世代技術基盤「V2」へのマイグレーションや米国市場向けのソリューション提供において、中途採用の専門人材には具体的にどのような成果やスピード感が期待されていますでしょうか。
・コンシューマ分野で取り組まれている「売り方改革」において、グローバル共通のKPI導入やAI等を活用したデータ分析プロセスの効率化が進む中、現場の開発チームとマーケティングチームの連携を強化する上で、現在乗り跨えようとされている最大の課題は何でしょうか。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- セガサミーホールディングス株式会社 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- セガサミーホールディングス株式会社 2026年3月期 決算プレゼンテーション



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