※本記事は、セガサミーホールディングス株式会社の有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年8月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セガサミーホールディングスってどんな会社?
コンシューマゲームやパチスロ機等の開発・販売を手掛ける、総合エンタテインメント企業です。
■(1) 会社概要
2004年にセガとサミーの経営統合により設立され、東京証券取引所市場第一部に上場しました。その後、トムス・エンタテインメントやタイヨーエレック等を連結子会社化して事業を拡大しています。2012年に韓国での統合型リゾート施設開発に向けた合弁会社を設立したほか、近年は欧米のゲーミング企業を相次いで買収しています。
従業員数は連結で9,237名、単体で408名です。筆頭株主は合同会社HS Companyで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位は外国法人等となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社HS Company | 20.11% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.54% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 常任代理人みずほ銀行決済営業部 | 7.17% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表取締役社長グループCEOは里見治紀氏が務めています。社外取締役比率は53.8%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 里見治紀 | 代表取締役社長グループCEO広報室管掌 | 2004年サミー入社。2005年セガ入社。セガ代表取締役会長CEO、サミー代表取締役会長CEO等を経て、2021年より現職。 |
| 里見治 | 取締役会長ファウンダー | 1980年サミー工業(現サミー)代表取締役社長。2004年セガサミーホールディングス代表取締役会長兼社長等を経て、2026年より現職。 |
| 深澤恒一 | 専務取締役 | 1990年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2003年サミー入社。セガサミークリエイション代表取締役会長グローバルCEO等を経て、2026年より現職。 |
| 内海州史 | 取締役 | 1986年ソニー入社。ワーナーミュージック・ジャパン代表取締役社長等を経て、2024年セガ代表取締役社長執行役員COOとなり現職。 |
| 星野歩 | 取締役 | 1995年サミー入社。2019年ジーグ代表取締役社長、2024年サミー代表取締役社長執行役員COO等を経て、2024年より現職。 |
| 石倉博 | 取締役常勤監査等委員 | 1990年公認会計士登録。2006年サミーネットワークス入社。セガ監査役、サミー監査役等を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、勝川恒平(元三井住友銀行常務執行役員)、メラニー・ブロック(Melanie Brock Advisory代表取締役)、石黒不二代(元ネットイヤーグループ代表取締役社長)、アンクル・サフ(京都パシフィックキャピタル代表取締役)、大久保和孝(大久保アソシエイツ代表取締役社長)、村崎直子(ノブリジア代表取締役社長)、牛島真希子(ジョーンズ・デイ法律事務所オブカウンセル)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エンタテインメントコンテンツ事業」、「遊技機事業」、「ゲーミング事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) エンタテインメントコンテンツ事業
コンシューマゲームやフリー・トゥ・プレイゲーム、アミューズメント機器の開発・販売のほか、アニメーション映画の企画・制作、玩具等の開発・製造を展開しています。幅広い世代の一般消費者や施設オペレーターを顧客としています。
主にゲームコンテンツの販売や配信、アミューズメント機器の販売、映像作品の販売等による収益を得ています。事業の運営は、セガ、セガフェイブ、トムス・エンタテインメントなどの国内子会社および海外の各種パブリッシング子会社が行っています。
■(2) 遊技機事業
パチスロ機およびパチンコ機の開発・製造・販売を展開しています。主な顧客は、全国のパチンコホールなどの遊技施設オペレーターです。
市場ニーズに応える遊技機の機器販売を主な収益源としています。事業の運営は、サミー、ロデオ、タイヨーエレック、サミーネットワークスなどが主に担っています。
■(3) ゲーミング事業
海外におけるオンラインゲーミング関連事業や統合型リゾートの運営、ゲーミング機器の開発・製造・販売を展開しています。カジノオペレーターや一般ユーザーを顧客としています。
ゲーミング機器の販売や、オンラインカジノオペレーターに対するプラットフォーム・コンテンツの提供等により収益を得ています。事業の運営は、セガサミークリエイション、GAN Limited、Stakelogic B.V.などが行っています。
■(4) その他
報告セグメントに含まれないその他の事業等を展開しています。主にグループ全体の管理業務や不動産賃貸等の付随するサービスから収益を得ており、セガサミーホールディングスなどが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね拡大傾向にあり、直近の2026年3月期には約4,875億円まで成長しています。一方で、経常利益は500億円台で安定して推移しているものの、2026年3月期は減損損失等の影響で当期利益が大幅に減少しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,209億円 | 3,896億円 | 4,689億円 | 4,289億円 | 4,875億円 |
| 経常利益 | 333億円 | 495億円 | 598億円 | 531億円 | 542億円 |
| 利益率(%) | 10.4% | 12.7% | 12.7% | 12.4% | 11.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 99億円 | 31億円 | 98億円 | 242億円 | 190億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増収となっており、それに伴って売上総利益も拡大しています。一方で営業利益は微減となっており、営業利益率も前期と比較してやや低下する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,289億円 | 4,875億円 |
| 売上総利益 | 1,927億円 | 2,154億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.9% | 44.2% |
| 営業利益 | 481億円 | 471億円 |
| 営業利益率(%) | 11.2% | 9.7% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が382億円(構成比23%)、給料及び手当が320億円(同19%)、研究開発費が290億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
エンタテインメントコンテンツ事業は主力IPの新作投入などで増収となりました。遊技機事業は主力タイトルの販売好調により大幅な増収を達成しました。ゲーミング事業は企業買収の影響で大幅な増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エンタテインメントコンテンツ事業 | 3,216億円 | 3,266億円 |
| 遊技機事業 | 971億円 | 1,321億円 |
| ゲーミング事業 | 55億円 | 253億円 |
| 調整額 | 48億円 | 35億円 |
| 連結(合計) | 4,289億円 | 4,875億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローとなっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 209億円 | 259億円 |
| 投資CF | -125億円 | -225億円 |
| 財務CF | -280億円 | -566億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「Captivate the World 感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」をグループのミッション・パーパスとして掲げています。「感動」や「共感」が溢れる社会を自社の製品・サービスで生み出すことで、世界中の人々の生活に「彩り」を提供し続けることを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、不確実性が高く将来予測が難しいVUCAの時代において、変化に適応するに留まらず変革を起こし続けるためのビジョンとして「Be a Game Changer(革新者であり続ける)」を掲げています。多様な人材の力を結集させ、グループ全体で共通のマインドやスタンスを重視する企業文化が特徴です。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期ビジョンの実現に向け、各事業の長期戦略としてエンタテインメントコンテンツ事業で「セガブランド価値向上」、遊技機事業で「業界No.1の地位確立」、ゲーミング事業で「第3の柱となる事業の確立」を目指しています。
・2025年3月期から2027年3月期の3ヵ年累計で調整後EBITDA2,300億円超
・同3ヵ年の平均でROE10%超
■(4) 成長戦略と重点施策
コンシューマ分野を成長分野、遊技機事業を基盤事業として位置付けています。エンタテインメントコンテンツ事業ではトランスメディア戦略を強化し、欧州事業での主力タイトルの成長を目指します。遊技機事業ではシェア拡大やコスト構造の変革を通じた収益基盤の強化に取り組みます。ゲーミング事業では買収した海外企業のPMIを推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「感動体験を創造し続ける」ための源泉は人材であるとの認識のもと、人や組織の進化・拡張を促す「Human Capital Development Goals」を掲げています。年齢や性別にとらわれず活躍できる環境づくりや、多様なユーザー志向に応えるためのマルチカルチャー人材の育成などを重点的に進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.1歳 | 4.9年 | 8,844,458円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.7% |
| 男性育児休業取得率 | 85.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 81.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 91.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、マルチカルチャー人財数(957名)、マルチカルチャー人財割合(24.5%)、エンゲージメントスコア(58.0)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 個人情報等の情報管理について
同グループは事業遂行上、顧客の機密情報や個人情報を間接的に入手し取り扱う機会があります。情報資産を保護するためセキュリティ強化等の措置を講じていますが、不測の事態で情報漏洩事故が発生した場合、損害賠償等による予期せぬ費用が発生し、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 遊技機事業の法的規制等について
遊技機事業において製品を販売する際は、風営法等に基づく技術上の規格に適合し、検定を受ける必要があります。法令や規則等に重大な変更が加えられた場合や、国際的なイベント開催に伴う販売自粛期間が設けられた場合には、同グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 事業別のリスクについて
エンタテインメントコンテンツ事業では高クオリティなタイトルの出現による競争激化、遊技機事業ではギャンブル依存症問題やユーザー嗜好の変化、ゲーミング事業ではコンプライアンス違反によるライセンス剥奪のリスク等が存在します。同社はそれぞれの事業特有のリスクに対する対策や体制強化を進めています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。