セガサミーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セガサミーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の総合エンタテインメント企業です。エンタテインメントコンテンツ事業、遊技機事業、ゲーミング事業を展開しています。当期の連結業績は、売上高が8.5%減、営業利益が16.8%減、経常利益が11.1%減の減収減益となりました。


※本記事は、セガサミーホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セガサミーホールディングスってどんな会社?


ゲームやアニメ等のエンタテインメントコンテンツと、パチンコ・パチスロ等の遊技機事業を柱とする企業です。

(1) 会社概要


2004年にセガとサミーの経営統合により設立されました。2012年にフェニックスリゾートを完全子会社化(2024年に株式譲渡により除外)し、2017年には韓国・仁川に統合型リゾート「パラダイスシティ」を開業しました。2023年にはモバイルゲーム「Angry Birds」で知られるRovio社を買収し、グローバル展開を加速させています。

連結従業員数は8,147名、単体では414名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である合同会社HS Company、第2位は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は米国信託銀行のSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANYとなっています。

氏名 持株比率
合同会社HS Company 18.07%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 12.35%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 常任代理人株式会社みずほ銀行決済営業部 7.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表取締役社長グループCEOは里見治紀氏です。社外取締役比率は53.8%です。

氏名 役職 主な経歴
里見 治紀 代表取締役社長グループCEO広報室管掌 2004年サミー入社、2005年セガ入社。2012年同社取締役、2017年代表取締役社長COOを経て、2021年より現職。セガ代表取締役会長CEO、サミー代表取締役会長CEO等を兼務。
里見 治 代表取締役会長 1980年サミー工業(現サミー)社長。2004年セガ会長兼CEO。2004年同社設立に伴い代表取締役会長兼社長。2016年会長兼社長兼CEO兼COOを経て、2021年より現職。
深澤 恒一 取締役 専務執行役員グループCFO 1990年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2003年サミー入社。2004年同社執行役員。2016年常務取締役兼CFOを経て、2020年より現職。
内海 州史 取締役 1986年ソニー入社。SCEA VP、ディズニー・インタラクティブ・アジア代表、ワーナーミュージック・ジャパン社長等を経て、2019年同社入社。2024年より現職。セガ社長執行役員COO兼務。
星野 歩 取締役 1995年サミー入社。研究開発本部長、代表取締役常務等を歴任。2024年同社代表取締役社長執行役員COOを経て、2024年6月より現職。ジーグ代表職務執行者兼務。
石倉 博 取締役常勤監査等委員 1988年青山監査法人入所。公認会計士。2006年サミーネットワークス常務。2012年同社入社、グループ内部統制室長等を経て2024年6月より現職。


社外取締役は、勝川恒平(元銀泉社長)、メラニー・ブロック(Melanie Brock Advisory代表)、石黒不二代(ネットイヤーグループ創業者)、アンクル・サフ(京都パシフィックキャピタル代表)、大久保和孝(公認会計士)、村崎直子(元警察庁・弁護士)、牛島真希子(弁護士・米国公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンタテインメントコンテンツ事業」、「遊技機事業」および「ゲーミング事業」を展開しています。

(1) エンタテインメントコンテンツ事業


コンシューマゲーム、アミューズメント機器、アニメーション映像、玩具の開発・販売を行っています。主な顧客は一般消費者やアミューズメント施設運営者です。「ソニック」や「ペルソナ」、「龍が如く」などのIPを活用し、グローバルに展開しています。

製品・サービスの販売、ダウンロード課金、ライセンス供与等により収益を得ています。運営は主に株式会社セガ、株式会社アトラス、株式会社トムス・エンタテインメント、株式会社セガフェイブなどが行っています。

(2) 遊技機事業


パチンコ・パチスロ機の開発、製造、販売を行っています。主な顧客は全国のパチンコホールです。規制環境の変化に対応しながら、遊技性の高い製品を提供し、市場の活性化に取り組んでいます。

パチンコホールへの製品販売により収益を得ています。運営は主にサミー株式会社、株式会社ロデオ、タイヨーエレック株式会社などが行っています。

(3) ゲーミング事業


カジノ機器の開発・製造・販売および統合型リゾート(IR)の運営を行っています。主な顧客は海外のカジノ運営会社やIR施設利用者です。韓国仁川でのIR運営や、北米等へのゲーミング機器提供を行っています。

カジノ機器の販売やIR施設におけるカジノ、ホテル、リゾート施設の利用料から収益を得ています。運営はセガサミークリエイション株式会社や持分法適用関連会社のPARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績推移を見ると、売上高は3,000億円台から4,000億円台へと拡大傾向にあります。利益面では、経常利益率が10%台で推移しており、安定した収益性を維持しています。当期においては売上高・経常利益ともに前期を下回りましたが、当期純利益は増加しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,777億円 3,209億円 3,896億円 4,689億円 4,289億円
経常利益 17億円 333億円 495億円 598億円 531億円
利益率(%) 0.6% 10.4% 12.7% 12.7% 12.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 100億円 99億円 31億円 98億円 242億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は減少しましたが、売上総利益率は上昇しました。販管費は増加傾向にあり、営業利益率は低下しています。研究開発費の増加などが影響していると考えられます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,689億円 4,289億円
売上総利益 1,978億円 1,927億円
売上総利益率(%) 42.2% 44.9%
営業利益 579億円 481億円
営業利益率(%) 12.3% 11.2%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が317億円(構成比22%)、研究開発費が279億円(同19%)を占めています。売上原価の内訳については、具体的な記載がありませんでした。

(3) セグメント収益


エンタテインメントコンテンツ事業は微増収となりましたが、遊技機事業は反動減により大幅な減収となりました。ゲーミング事業は大幅な増収を記録しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
エンタテインメントコンテンツ事業 3,198億円 3,216億円
遊技機事業 1,332億円 971億円
ゲーミング事業 19億円 55億円
調整額 139億円 48億円
連結(合計) 4,689億円 4,289億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金の範囲内で投資と借入返済を行っており、財務体質は健全です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 669億円 209億円
投資CF -1,145億円 -125億円
財務CF 798億円 -280億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」をミッション/パーパスとして掲げています。不確実性が高い時代において、変化に適応するだけでなく変革を起こし続ける「Be a Game Changer」というビジョンのもと、世界中の人々の生活に「彩り」を提供し続けることを使命としています。

(2) 企業文化


多様な人財が個性を発揮し連携するために必要な共通のマインドセットとして、「セガサミー5つの力」を定めています。これは代表取締役会長が大切にしてきた「人間力」を手本にしたコンピテンシーであり、「ミッションピラミッド」の実現に向けた社員一人ひとりの行動指針となっています。

(3) 経営計画・目標


2025年3月期からスタートした中期計画では、スローガン「WELCOME TO THE NEXT LEVEL!」を掲げ、2027年3月期までの3ヵ年で以下の数値目標の達成を目指しています。

* 3ヵ年累計調整後EBITDA 2,300億円超
* 3ヵ年平均ROE 10%超

(4) 成長戦略と重点施策


コンシューマ分野を成長分野、遊技機事業を基盤事業と位置づけています。エンタテインメントコンテンツ事業では、ゲームだけでなく映像や商品化を展開するTransmedia戦略や、モバイルを中心としたグローバル展開を強化します。ゲーミング事業は、M&Aを通じてオンラインゲーミング市場への進出を図り、第3の事業の柱としての確立を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「Human Capital Development Goals」に基づき、感動体験の創り手として多様な人財を集め、個々の強みを発揮できる環境づくりを進めています。特に、グローバル展開を支える「マルチカルチャー人財」の採用・育成や、女性管理職比率の向上、従業員エンゲージメントの維持・向上に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.6歳 3.9年 9,396,101円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.1%
男性育児休業取得率 84.6%
男女賃金差異(全労働者) 75.2%
男女賃金差異(正規雇用) 77.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 91.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、マルチカルチャー人財比率(24.8%)、エンゲージメントスコア(57.5)、教育投資額(約4.8億円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人情報等の情報管理


事業遂行上、顧客の機密情報や個人情報を取扱うため、セキュリティ強化等の対策を講じています。しかし、不測の事態により情報漏洩事故が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 遊技機事業の法的規制等


遊技機事業は風営法等の法的規制を受け、製品販売には検定通過が必要です。法令や規則の変更、自主規制の強化などにより、製品開発や販売スケジュールに影響が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) コンプライアンス、法令違反


提供製品による権利侵害や不具合、訴訟リスクに加え、ゲーミング事業におけるライセンス維持のための厳格な法令遵守が求められます。重大な違反があった場合、ブランド毀損やライセンス剥奪のリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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