セガサミーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セガサミーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セガサミーホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、エンタテインメントコンテンツ、遊技機、ゲーミングの3事業を柱とする企業です。直近の業績は、パチスロ機の販売が好調で増収となった一方、ゲーム分野の新作不振やM&A関連の減損損失計上等の影響により、当期純損失を計上しています。


※本記事は、セガサミーホールディングス株式会社の有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セガサミーホールディングスってどんな会社?


同社は、コンシューマゲームやアミューズメント機器、パチスロ機などの開発・販売をグローバルに展開しています。

(1) 会社概要


同社は2004年にセガとサミーの経営統合により持株会社として設立され、同年に東京証券取引所市場第一部に上場しました。2005年にアニメーション制作を手掛けるトムス・エンタテインメントを子会社化し、その後も組織再編やM&Aを通じて事業領域を拡大しています。2025年にはゲーミング事業の本格展開に向け、オンラインゲーミング市場向けプラットフォームを手掛けるGAN LimitedやStakelogic B.V.を買収しました。

現在の従業員数は連結で9,237名、単体で408名となっています。筆頭株主は創業者の資産管理等を行う合同会社HS Companyで、第2位および第3位には信託業務を担う金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
合同会社HS Company 20.11%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.54%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 常任代理人みずほ銀行決済営業部 7.17%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表取締役社長グループCEOは里見治紀氏です。社外取締役比率は53.8%です。

氏名 役職 主な経歴
里見治紀 代表取締役社長グループCEO広報室管掌 2004年サミー入社、2005年セガ入社。セガ代表取締役副社長等を経て、2021年より現職。
深澤恒一 専務取締役 1990年三和銀行入行。2003年サミー入社。セガ取締役やセガサミークリエイション代表取締役会長等を経て、2026年より現職。
内海州史 取締役 1986年ソニー入社。サイバード代表取締役社長やセガ代表取締役等を経て、2024年より現職。
星野歩 取締役 1995年サミー入社。同社研究開発統括本部長やジーグ代表取締役社長等を経て、2024年より現職。
里見治 取締役会長ファウンダー 1980年サミー工業代表取締役社長。セガサミーホールディングス代表取締役会長等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、勝川恒平(元SMBCベンチャーキャピタル社長)、メラニー・ブロック(Melanie Brock Advisory代表)、石黒不二代(元ネットイヤーグループ社長)、アンクル・サフ(元Goldman Sachsパートナー)、大久保和孝(大久保アソシエイツ社長)、村崎直子(ノブリジア社長)、牛島真希子(ジョーンズ・デイ法律事務所オブカウンセル)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンタテインメントコンテンツ事業」「遊技機事業」「ゲーミング事業」および「その他」事業を展開しています。

エンタテインメントコンテンツ事業


コンシューマゲームやスマートフォン向けゲーム(F2P)、アミューズメント機器の開発・販売、さらにアニメーション映画の企画・制作や玩具の開発などを行っています。全世界の幅広い世代のユーザーを対象に、多彩なIPを活用したデジタルおよびフィジカルなコンテンツを提供しています。

主な収益源は、プラットフォーム経由のゲーム販売代金やアイテムへの課金収入、アニメ・映像作品の配信・販売収入、グッズや機器の販売代金です。運営は主にセガ、セガフェイブ、トムス・エンタテインメントをはじめとする国内外のグループ子会社が担っています。

遊技機事業


全国のパチンコホール向けに、パチスロ機およびパチンコ機の開発・製造・販売を行っています。市場のニーズを捉えた斬新なゲーム性を持つ製品や、スマートパチスロをはじめとする新たなプラットフォームに対応した新機種を継続的に市場へ投入しています。

主な収益源は、パチンコホールに対する遊技機の販売代金です。部品の共通化やリユースを通じた原価改善を進めながら効率的な開発・製造体制を構築しており、事業の運営は主にサミーが中心となって行っています。

ゲーミング事業


海外市場におけるオンラインゲーミング関連事業や、カジノを含む統合型リゾートの運営、およびランドカジノ向けゲーミング機器の開発・製造・販売を展開しています。近年は北米などのiGaming市場に向けたB2Bプラットフォームの提供やコンテンツ開発を強化しています。

主な収益源は、カジノオペレーターから受け取るプラットフォームやコンテンツの使用料、およびゲーミング機器の販売収入です。セガサミークリエイションや、M&Aによりグループに加わったGAN Limited、Stakelogic B.V.などが事業を牽引しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、遊技機事業の好調やM&A等により売上高は増加傾向にありますが、直近では減損損失の計上等の影響により当期利益が大きく変動しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3,209億円 3,896億円 4,689億円 4,289億円 4,875億円
経常利益 333億円 495億円 598億円 531億円 542億円
利益率(%) 10.4% 12.7% 12.7% 12.4% 11.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 99億円 31億円 98億円 242億円 190億円

(2) 損益計算書


直近の損益状況を見ると、増収により売上総利益は増加しましたが、広告宣伝費や研究開発費などの増加により営業利益は微減となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4,289億円 4,875億円
売上総利益 1,927億円 2,154億円
売上総利益率(%) 44.9% 44.2%
営業利益 481億円 471億円
営業利益率(%) 11.2% 9.7%


販売費及び一般管理費のうち、その他が618億円(構成比37%)、広告宣伝費が382億円(同23%)、給料及び手当が320億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


遊技機事業は主力タイトルの販売好調により大幅な増収を達成しました。ゲーミング事業も企業買収の効果により売上高が大きく伸長しています。エンタテインメントコンテンツ事業は堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
エンタテインメントコンテンツ事業 3,216億円 3,266億円
遊技機事業 971億円 1,321億円
ゲーミング事業 55億円 253億円
その他 48億円 35億円
連結(合計) 4,289億円 4,875億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に分類されます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 209億円 259億円
投資CF -125億円 -225億円
財務CF -280億円 -566億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、Mission/Purposeとして「Captivate the World 感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」を掲げています。開発した製品やサービスを通じて感動や共感が溢れる社会を生み出し、世界中の人々の生活に「彩り」を提供し続けることを使命としています。

(2) 企業文化


不確実性が高く将来の予測が難しいVUCAの時代において、環境変化に適応するに留まらず、変革を起こし続けることを重視し、「Be a Game Changer(革新者であり続ける)」というビジョンを掲げています。多様な人材がそれぞれの個性を発揮し合いながら連携するマインドを大切にしています。

(3) 経営計画・目標


2030年の目指す姿の実現に向け、マテリアリティ(重要課題)への対応を進めるとともに、中期計画「WELCOME TO THE NEXT LEVEL!」を推進しています。
・2025年3月期〜2027年3月期の3ヵ年累計で調整後EBITDA2,300億円超
・同3ヵ年の平均でROE10%超

(4) 成長戦略と重点施策


コンシューマ分野を成長分野と位置づけ、グローバル規模での事業展開に向けた経営資源の集中を進めます。また、遊技機事業を基盤事業としてシェア拡大による収益基盤の強化を図ります。
・Transmedia戦略の強化によるIPの価値向上
・欧州事業への投資を通じた主力タイトルの成長
・ゲーミング事業における第3の柱の早期確立

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材が価値創造の起点であるとの認識のもと、グループ人事戦略「Human Capital Development Goals」を推進しています。多様な価値観を持つマルチカルチャー人材の育成や、性別や年齢に関わらず活躍できる環境整備、従業員エンゲージメントの向上を図り、中長期的な企業価値向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.1歳 4.9年 8,844,458円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.7%
男性育児休業取得率 85.7%
男女賃金差異(全労働者) 79.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 81.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 91.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職数(106名)、エンゲージメントスコア(58.0)、マルチカルチャー人財数(957名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人情報等の情報管理について

顧客の機密情報や個人情報を取り扱うため、情報管理規程の策定やセキュリティ強化などの不正アクセス防止措置を講じています。しかし、不測の事態により情報漏洩等の事故が発生した場合は、損害賠償による費用の発生やブランドイメージの毀損が生じ、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 遊技機事業の法的規制等について

遊技機の販売には風営法や関連法令に基づく検定が必要です。射幸性の抑制を目的とした法令や規則の重大な変更が加えられた場合、または国際的なイベント等に伴う販売自粛期間が設けられた場合には、同社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3) ゲーミング事業のライセンス規制

海外でのゲーミング事業においては、各国・地域の厳格な法令やレギュレーションを遵守し、当局承認の取得および維持を行う必要があります。コンプライアンス違反や法令違反によりライセンスが剥奪された場合、事業の継続や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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