0 編集部が注目した重点ポイント
①東洋建設を完全子会社化し海洋土木分野を強化する
2025年12月に海洋工事の優れた技術と豊富な実績を持つ東洋建設株式会社を完全子会社化しました。陸上工事に強みを持つ大成建設グループに加わることで、土木事業等の総合力をさらに強化しています。前年は未連結のため単純比較はできませんが、インフラ更新や洋上風力分野での新規プロジェクトを担う専門人材のキャリア機会が大きく拡大しています。
②単体建築の利益率が11.9%へ好転し過去最高益を更新する
仕事量と生産能力を見極めた取り組む案件の精査を徹底し、適正工期・適正価格の確保を推進しました。単体建築事業の売上総利益率が前年度の4.4%から11.9%へ大幅に好転したことが主因となり、グループ営業利益、経常利益、純利益の各段階利益において過去最高益を更新する極めて高い収益性を達成しています。
③下限付き配当性向を40%へ引き上げ株主還元を充実させる
資本コストや株価を意識した経営(PBR向上への取り組み)を推進するため、2026年度より従来の30%から「下限付き配当性向40%」へと引き上げることを決定しました。次期は一時的な減益予想となるものの、年間配当は310円から380円へと増配を予定しており、中長期的な企業価値向上に向けた確固たる財務政策と持続的な成長への自信が示されています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算説明会資料 P.2
当連結会計年度の売上高は、単体建築事業における大型工事の施工量減少により前期比減収となったものの、利益面では極めて強力な成果を収めました。本業の儲けを示すグループ営業利益は、販管費の増加を売上総利益の伸びで完全に吸収し、前期比56.4%増という圧倒的な増益を達成しています。さらに、投資有価証券売却益546億円の計上を含む特別損益の好転も追い風となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,700億円まで伸長しました。
通期公表予想に対する進捗状況については、売上高が概ね目標通りの水準で着地した一方、営業利益は期初予想を27.0%上回り、親会社株主に帰属する当期純利益も予想を24.1%上回る大幅な超過達成となりました。中期経営計画で掲げた当初の数値目標を大きく凌駕しており、収益体質の強化という観点において年度計画の進捗は極めて順調かつ堅調であると高く評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算説明会資料 P.29
グループ国内建築事業
【事業内容】国内におけるオフィスビル、市街地再開発ビル、医療・文化施設、生産施設等の施工管理および設計実務全般、既存建物のリニューアル proposals を行います。
【業績推移】売上高は当社の施工量減少により前年比減収となったものの、適切な案件精査と物価転嫁が進み、セグメント総利益は1,483億円と劇的な利益率好転を達成しました。
【注目ポイント】市街地再開発関連や大規模改修(リニューアル)といった優位性のある分野への経営資源投入が成功しています。作業所と計画支援部門の連携によるフロントローディング(初期段階での負荷集中と品質の早期確定)を推進し、施工図・製作図の作図支援拡大で現場負担を大幅に軽減しています。適正工期・適正条件の確保を前提とした生産性の高いプロジェクト運営を担える建築施工管理人材が強く求められています。
グループ国内土木事業
【事業内容】道路・トンネル、地下調節池等の治山・治水インフラ、鉄道インフラの建設工事全般、および海洋土木工事における施工管理を担います。
【業績推移】売上高は7,202億円(前年比8.5%増)、セグメント総利益は1,440億円に上り、当社および子会社の利益率好転によって過去最高利益額を達成しました。
【注目ポイント】2025.12に完全子会社化した東洋建設(注:前年は未連結のため土木セグメントの対前年同期比データへの影響等において単純比較不可)がグループに加わったことで、陸上土木だけでなく海洋土木分野における競争力が飛躍的に向上しました。今後は浮体式洋上風力や共同調達などでの協業、および生産システムのDX推進が本格化するため、新しい技術シナジーの創出を現場でリードできる先進的な土木技術者の採用が加速しています。
グループ国内開発事業
【事業内容】大成有楽不動産等を含めた、オフィスビル・ホテル等の都市不動産の売買・賃貸・アセットマネジメント、および開発企画を推進します。
【業績推移】売上高は1,542億円(前年比5.1%増)、セグメント利益は239億円と、当社の高い利益率好転に支えられ、堅調な増益を維持しました。
【注目ポイント】投資案件の取得および手持物件の売却が極めて順調に推移しています。従来のオフィス開発にとどまらず、「プリンス スマート イン 大阪淀屋橋」などの専門性の高いホテルアセットへの投資や、既存資産の価値を高めるリニューアル型案件に注力しています。資金効率を意識した投資・回収のサイクルが速まる中、高度な開発アセットのソーシングやアセットマネジメント実務を担えるプロフェッショナルが活躍できる環境です。
グループ海外事業
【事業内容】東南アジア、南アジア(インド)をはじめとする海外市場での建築・土木工事の施工、および不動産開発事業を一体的に展開します。
【業績推移】過去に厳しい条件で受注した案件のリスクが顕在化した結果、当期は34億円のセグメント損失となり、一時的な業績下押しを経験しました。
【注目ポイント】今後の体制立て直しに向け、ベトナムなどの開発案件を起点としたリニューアル・内装工事の自社施工連携や、成長が著しいインド市場へのリソース集中を行っています。また、現地法人への大胆な権限移譲を進め、シンガポールに新たなイノベーション拠点を設立して現地スタートアップ等と最先端技術の実証を進めるなど、ガバナンスと現地化をハイレベルでコントロールできる国際経験豊かなマネジメント人材の必要性が高まっています。
グループエンジニアリング事業
【事業内容】大成設備等のグループ各社と連携し、医薬品分野や半導体関連工場の高度なクリーンルーム、省エネ環境機械システム等の設計・施工を行います。
【業績推移】旺盛な先端産業投資を背景に売上高417億円、セグメント総利益69億円を計上し、大成建設独自の差別化領域として極めて堅調な業績を維持しました。
【注目ポイント】事業規模の大幅な拡大を目指し、営業総本部に「エンジニアリング営業本部」を新設(2025年4月)して顧客ニーズにワンストップで応える体制を整備しました。さらにエンジニアリング本部に「エンジニアリング事業推進部」および「技術・DX推進部」を設置し、BIMやデジタル技術を用いた設計・施工機能の強化を急ピッチで進めています。伝統的なゼネコンの枠にとらわれないプラントエンジニアリングや建築設備系スペシャリストにとって、活躍の機会が急速に広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算説明会資料 P.17
次期となる2027年3月期(2026年度)の通期連結業績予想は、売上高2兆4,200億円(前期比15.8%増)、営業利益1,880億円(前期比0.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,510億円(前期比11.2%減)を想定しています。単体建築および土木事業における豊富な期首手持ち工事の進捗と大型工事の本格化に伴い、売上高は大幅な増収の見込みです。営業利益ベースでも売上総利益の伸びが販管費の増加をカバーし、前年度の高水準をしっかりと維持する計画となっています。
一方で、純利益段階においては複数の外部環境変化による一時的な押し下げ要因を織り込んでいます。具体的には、金利上昇に伴う支払利息の増加による営業外損益の悪化(金融収支でマイナス75億円影響)、政策保有株式売却益の減少に起因する特別損益の悪化に加え、大企業向け賃上げ促進税制の終了に伴う法人税負担の増加(法人税等でマイナス64億円影響)が計画に影響を与えています。また、2026年4月に連結子会社化したNeoSphere株式会社によるテレコム・インフラ事業の譲受など、M&Aによって新たにグループへ参画した企業とのPMI(統合プロセス)が今後本格化する見通しです。
中長期の成長投資計画においては、3か年で3,700億円(当初計画より200億円増額)への見直しを行い、人的資本投資やデジタル変革(DX)への配分を拡大しています。特に、360度カメラ画像と画像認識AIを用いた建設現場の施工状況自動図面化システムなど、最先端AIの利活用研修の強化や「ChatGPT Enterprise」の導入を積極的に推進しています。このように、単に現場の省人化を図るだけでなく、経営資源である技術や知見をデジタル化しAIによって組織的に利活用する実務を主導できる次世代の変革人材への注目度が極めて高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
大成建設は、仕事量と生産能力を見極めた厳格な案件選別と適正工期・価格の追求を徹底した結果、建築事業における劇的な利益率好転を成し遂げ、過去最高益更新という揺るぎない収益体質を証明しました。また、東洋建設の完全子会社化による陸海一体となった土木事業の総合力強化や、エンジニアリング分野、都市開発への投資拡大など、既存のゼネコンの枠に収まらない成長ポートフォリオを非常にスピーディーに構築しています。面接では、同社が推進する「働きやすさ・働きがいの向上」やAIなどのデジタル技術を用いた現場の負荷軽減(フロントローディング)に共感を示し、強固な収益基盤と積極的なM&Aがもたらす新たなグループシナジーの創出や生産性向上の挑戦に自らの専門スキルで貢献したいという意欲を具体的に伝えることが強力なアピールに繋がります。
面接での逆質問例
・当期実績では単体建築事業の売上総利益率が11.9%へと劇的に改善し、取り組む案件の精査の成果が数字として明確に表れていますが、これから中途採用で入社する実務者が、現場において「適正価格・適正条件での受注」の品質を維持・徹底していくために、具体的にどのような意識行動や本社サポート部門との共創プロセスを期待されていますか。
・「紙文化からの脱却」を掲げ、熟練者の技術や知見をデジタル化して「ChatGPT Enterprise」などのAIに利活用させるプロジェクトを推進されていますが、中途入社者がデジタル標準基盤である「T-BasisX」や画像認識AIなどの現場システムを早期に習得し、知的生産性を高めていくための教育・研修体制について詳しい現状を教えていただけますでしょうか。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
制度を活用するが難しい場合もあります
育児休業や有給休暇の制度が整っており、利用しやすい環境が整っています。ただし、現場の状況によっては制度を活用するのが難しい場合もあります。
(40代後半・コンサルティング営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 決算説明会資料



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