0 編集部が注目した重点ポイント
① 東洋建設の連結子会社化を完了し成長基盤を強化する
大成建設は2025年9月30日付で東洋建設の連結子会社化を完了しました。海洋工事に強みを持つ同社の参画により、陸上土木との垂直統合を図り、技術・実績の両面でシナジーを創出します。これにより、インフラ・洋上風力発電などの海洋領域でのキャリア機会が飛躍的に拡大する可能性があります。
② 通期純利益予想を上方修正し過去最高益を目指す
建設事業の採算改善と政策保有株式の縮減進捗を背景に、通期の連結純利益予想を1,370億円へと570億円上方修正しました。これは過去最高益を更新する見通しであり、収益性の抜本的な改善が数字として現れています。安定した経営基盤のもとで、中長期的なプロジェクトに挑戦できる環境が整っています。
③ 配当金の下限設定を導入し株主還元の姿勢を明確にする
資本効率の向上と株主還元の充実を目指し、2025年度より「下限付き配当性向」を導入しました。これにより年間の配当下限を250円に設定し、業績成長をダイレクトに還元する仕組みを構築しています。PBR(株価純資産倍率)1倍超の早期達成に向けた強い意志は、組織全体の活性化にも繋がっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.2
売上高
9,078億円
(前年同期比 -4.7%)営業利益
812億円
+100.5%中間純利益
636億円
+41.9%
第2四半期の実績は、建築・開発事業の売上減少により減収となったものの、利益面では劇的な改善を見せました。特に単体での完成工事総利益率が土木21.9%、建築10.7%と大幅に好転し、営業利益は前年同期の約2倍に到達しています。M&Aによる東洋建設の連結化や、政策保有株式の売却益も収益を大きく押し上げる要因となりました。
通期予想に対する純利益の進捗率は46.5%(中間期時点)となっており、修正後の高い目標に対しても概ね順調に推移しています。営業利益ベースでは進捗率54.9%に達しており、下期に向けてさらなる上振れも期待できる堅調な状況と言えます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.14
土木事業
事業内容:道路、ダム、トンネル等のインフラ建設及び海洋土木工事を展開し、社会基盤を支えます。
業績推移:売上高2,910億円(前年同期比+5.1%)、営業利益398億円(同+47.3%)と増収増益を達成。
注目ポイント:適正価格での受注徹底により、利益率が21.9%と高水準を維持しています。2025年9月末から新規連結された東洋建設との連携により、浮体式洋上風力やCCS(二酸化炭素回収・貯留)などのグリーン・トランスフォーメーション領域でのフロントランナーを目指しており、先端技術に携わる機会が豊富です。
建築事業
事業内容:オフィスビル、工場、再開発マンションなどの建物建設を担い、都市の価値を創造します。
業績推移:売上高5,586億円(同-9.9%)、営業利益287億円(前年同期は16億円)と利益が急回復。
注目ポイント:大型案件の端境期により減収となりましたが、受注時利益率の向上により利益は大幅に増加しました。国内建築の受注残高は極めて豊富であり、DXを活用した施工プロセスの革新が急務となっています。BIM(3Dモデルによる設計施工管理)やロボット技術を現場へ社会実装するエンジニアへの期待が非常に高まっています。
開発事業
事業内容:不動産開発、賃貸、マンション分譲を展開し、ストックビジネスによる安定収益を担います。
業績推移:売上高766億円(同-2.6%)、営業利益125億円(同+6.8%)と堅調に推移しています。
注目ポイント:ホテルや物流施設など、専門性の高いアセットへの投資を強化しています。保有物件の時価と簿価の差額(含み益)は約900億円に達しており、資産の組み換えを通じた戦略的な投資・回収サイクルを推進しています。金融知識と不動産開発を掛け合わせ、新たな価値を創出できる人財が求められています。
その他事業
事業内容:受託研究、技術提供、物流、レジャー関連サービス等、建設に付随する多様なサービスを提供します。
業績推移:売上高75億円(同+16.6%)、営業利益10億円(同+4.2%)と成長を継続。
注目ポイント:グループの次世代技術研究所を通じた環境測定や先端研究が主軸です。建設の枠を超えた「サービス業」への転換を模索しており、新規事業開発のフィールドとしても注目されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.28
大成建設は、中期経営計画(2024-2026)の達成に向け、「収益体質の強化」と「資産の圧縮・入替」を強力に推進しています。東洋建設との統合により、海洋・陸上の双方で国内トップクラスの技術力を有することとなり、今後はグローバル展開や洋上風力発電などの新規領域での受注拡大を狙います。
特筆すべきは人的資本への投資姿勢です。人事制度の大幅改定(定年延長や勤務地選択制度の新設)を実施し、多様な人財が活躍できる環境を整備しています。また、埼玉県幸手市に完成した「グループ次世代技術研究所」を拠点に、ゼロカーボンビルや建設ロボットなどの革新的技術開発を加速させる方針です。これらの取り組みは、単なる建設会社から「持続可能な社会を創るパートナー」への変革を象徴しており、社会課題解決に意欲を持つ転職者にとって、非常に魅力的なフェーズにあります。
4 求職者へのアドバイス
「東洋建設との連結による海洋・陸上の統合シナジー」や「過去最高益を目指す収益構造の改革」への関心を伝えるのが有効です。また、新設されたグループ次世代技術研究所を活用した先端技術の社会実装など、同社が目指す「建設の工業化・デジタル化」に自身の専門性がどう貢献できるかを具体的に言語化しましょう。
- 「東洋建設との垂直統合により、現場レベルでの技術交流や共同プロジェクトは具体的にどのように動き出していますか?」
- 「人的資本投資の一環として人事制度が改定されましたが、キャリア採用者にとって最も恩恵を感じるポイントはどこにあると考えますか?」
- 「DXやBIMの導入現場が拡大していますが、現場監督がテクノロジーを活用して生産性を高めるためのサポート体制はどのように整備されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
大規模建設プロジェクトに関わる機会が多い
若手のうちから大規模な建設プロジェクトに関わる機会が多く、施工管理の全体像を学べる環境が整っています。
(40代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]他人との明確な差が見えにくい
評価制度については、他人との明確な差が見えにくいと感じることがあります。業務量には部署や担当によって偏りがあり、特に経験豊富な社員ほど多くのプロジェクトを抱えていますが、給与面での差はあまり感じられません。このため、評価に対する不満の声を耳にすることもあります。
(20代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。