0 編集部が注目した重点ポイント
①機械事業が牽引し過去最高益を達成
厳しい需要環境の中にあっても、売上の増加やサービス案件の好調等により、機械セグメントが過去最高益を計上しました。全体の業績を強力に下支えし、多角化された事業ポートフォリオの強みを発揮しています。
②ポートフォリオ再編による基盤強化を実行
日本高周波鋼業の連結除外や、アルミ板製造資産の減損損失(△209億円)の実施など事業の選択と集中を進める一方、神鋼鋼線工業の完全子会社化を発表しました。資本の適正配置によるグループ経営基盤の強化を加速させています。
③リスクを織り込みつつ安定した収益を見通す
次期は中東情勢によるコスト増や販売減少のリスク(△100億円)を保守的に織り込みながらも、素材系事業の収益改善等によって経常損益1,200億円と2025年度並みを維持する見通しです。財務規律を維持し、将来の成長投資に備えています。
1 連結業績ハイライト
出典:決算説明資料 P.4
売上高
2兆4,365億円
前年同期比: -4.6%
営業利益
1,298億円
前年同期比: -18.2%
経常利益
1,213億円
前年同期比: -22.8%
親会社株主に帰属する当期純利益
937億円
前年同期比: -22.0%
2026年3月期通期の連結業績は、鉄鋼等を中心とした素材系事業でのコスト増やメタルスプレッドの悪化、および電力事業における燃料費調整の時期ずれ影響の縮小などにより、前年同期比で減収減益となりました。しかしながら、機械セグメントが既受注案件の進捗やサービス案件の増加により過去最高益を達成し、全体の業績を支えました。
通期の着地としては、不透明な事業環境の中で政策保有株式等の資産売却を実行して純損益を確保しており、目標に対して概ね順調な着地と言えます。また、純資産比率は46.4%まで向上しており、健全な財務体質への改善が着実に進行しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算説明資料 P.18
鉄鋼アルミ
事業内容: 線材条鋼、薄板、厚板、アルミ板などの製造・販売。
業績推移: 建設需要の停滞等による販売数量減やメタルスプレッドの悪化により、売上高9,969億円(-10.7%)、経常利益28億円(-88.0%)と厳しい状況でした。
注目ポイント: 当期は苦戦しましたが、次期はコスト改善と在庫評価影響の好転により増益の反転攻勢を見込んでいます。IT・半導体向けアルミ板などの成長分野での販売増が期待される中、コスト競争力を高める生産技術エンジニアや製造管理の役割がより重要になります。
注目職種:生産技術、品質保証、法人営業(IT・半導体領域)
素形材
事業内容: 鋳鍛鋼品、チタン、アルミ押出材、銅圧延品などの製造・販売。
業績推移: 自動車向け需要の低迷等があったものの、価格転嫁が進み売上高3,328億円(+5.0%)、経常利益87億円でした。
注目ポイント: 航空機向けや半導体向けといった先端産業での需要が継続して堅調に推移すると想定されています。高付加価値素材の供給において差別化を図るため、次世代素材の研究開発やグローバルサプライチェーンを構築する人材の活躍が期待されます。
注目職種:研究開発エンジニア、技術営業、サプライチェーン企画
溶接
事業内容: 各種溶接材料、溶接ロボットシステムの製造・販売。
業績推移: 価格転嫁の進展により、売上高964億円(+2.7%)、経常利益58億円(+11.5%)の増収増益となりました。
注目ポイント: 建設や造船等の幅広い産業で人手不足が深刻化する中、溶接の自動化・省人化ニーズが急増しています。次期も国内外での需要回復が見込まれており、ロボットシステムの提案から導入支援までを担うソリューション型の人材が求められています。
注目職種:ロボットシステムエンジニア、提案型技術営業
機械
事業内容: エネルギー・化学関連機器、圧縮機、各種プラント等の製造・販売。
業績推移: 売上の増加やサービス案件の好調により、売上高2,827億円(+6.6%)、経常利益467億円(+43.3%)の大幅増益を達成しました。
注目ポイント: 当期の全社利益を牽引した中核事業であり、等方圧加圧装置(IP装置)などの先端機器が好調です。また、製品納入後のアフターサービス事業の拡大が収益性を高めており、グローバルな保守運用やサービスネットワークを強化するプロジェクトマネージャーが熱望されています。
注目職種:サービスエンジニア、機器設計エンジニア、プロジェクトマネージャー
エンジニアリング
事業内容: 各種プラント(還元鉄、水処理、廃棄物処理等)や新交通システムの設計施工。
業績推移: 既受注案件の進捗により売上高は1,938億円(+10.9%)に増加しましたが、案件構成差等で経常利益は126億円と減益でした。
注目ポイント: 次期に向けては、脱炭素社会の実現に不可欠な還元鉄関連事業や、環境課題を解決する廃棄物処理関連事業などで複数案件の大型受注を見込んでいます。環境インフラの構築を直接手掛ける社会的意義の高いフィールドです。
注目職種:プラントエンジニア(プロセス設計・配管設計)、施工管理技術者
建設機械
事業内容: 油圧ショベルやクローラクレーン、環境リサイクル機械等の製造・販売。
業績推移: 売上高は3,895億円と前年並みを維持しましたが、補償金収入の剥落等により経常利益は123億円と減益でした。
注目ポイント: 欧州や東南アジアでの油圧ショベルの需要が回復基調にあり、次期は北米市場での販売増も想定し増収増益を見込む成長領域です。海外市場のダイナミズムを体感しながら、製品開発やグローバルな営業戦略を牽引する人材の需要が高まっています。
注目職種:海外営業、建機設計エンジニア、グローバルSCM担当
電力
事業内容: 発電所を通じた電力供給および熱供給事業。
業績推移: 発電所の定期点検延長や燃料費調整の時期ずれ影響等により、売上高2,032億円(-21.5%)、経常利益347億円と減収減益でした。
注目ポイント: 次期は定期点検が終了し稼働日数の増加を見込んでおり、安定した電力供給に貢献します。地域社会と産業活動の根幹となるインフラを支え、運用効率の最適化や次世代の脱炭素化技術に向けた運用知見を持つ技術者が欠かせません。
注目職種:プラント運転管理、電気計装技術者、保守メンテナンス
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:決算説明資料 P.11
次期(2027年3月期)の業績見通しにおいては、中東情勢を背景とした原油市況の高騰や原材料の調達コストアップといった、概算で△100億円規模のリスクを保守的に織り込んでいます。それでもなお、素材系事業の収益力改善や建設機械の海外販売増を見込み、売上高2兆5,600億円、経常損益1,200億円と、前年度並みの高い業績水準を維持する計画です。
注目すべきは、単なる現状維持ではなく、厳格な財務規律のもとでフリーキャッシュフローを確保し、次世代に向けたカーボンニュートラルや成長投資へ果敢に資金を振り向けている点です。特に神鋼鋼線工業の完全子会社化など、グループシナジーを極大化する事業再編も進行中であり、変革期を共に牽引できるタフで戦略的な人材が強く求められています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は鉄やアルミといった伝統的な素材領域から、過去最高益を達成した機械、環境プラント、電力インフラに至るまで、多彩な事業ポートフォリオを有しています。特定の事業セグメントへの興味だけでなく、これら複数の事業が連携して社会課題(カーボンニュートラル等)の解決を目指す姿勢への共感を伝えると説得力が増します。
面接での逆質問例
「直近の決算では中東情勢のリスクを織り込みつつも、将来のカーボンニュートラル投資に備えると拝見しました。配属予定の部署では、このような長期的な環境対応に向けて、今後数年間でどのような技術的・戦略的なチャレンジを計画されていますか?」など、足元の課題対応と未来の成長戦略を絡めた質問が効果的です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
多様な働き方を支援する制度がある
有給休暇は比較的取得しやすく、リモートワークも可能な環境が整っています。一方で、本社や間接部門では労働時間が短めで、ワークライフバランスを保ちやすいと感じます。多様な働き方を支援する制度があるため、個々のライフスタイルに合わせた働き方ができるのは魅力的です。
(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]実績として有給消化率の上昇に繋がる
実態としては有給で休みにしているケースが多く、実績として有給消化率の上昇に繋がるため、有給消化率はこの状況を鑑みたうえで評価する必要がある
(30代前半・生産・製造技術・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度 決算説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。