0編集部が注目した重点ポイント
①売上高と各段階利益で過去最高を更新
2026年3月期は、AIサーバーなどハイエンド市場向けの極薄銅箔が好調に推移したことに加え、非鉄金属相場の上昇や為替の円安による在庫要因の好転が大きく寄与し、売上高およびすべての利益項目で過去最高を更新しました。
②三井金属アクトを譲渡し事業を再編
自動車用ドアロックを製造・販売する「三井金属アクト」の全株式を2025年11月に譲渡しました。これにより、次期(2027年3月期)からは報告セグメントが再編され、「自動車部品」がなくなり、「機能材料」「金属」「その他の事業」の3本柱へと管理体制が移行します。
③全固体電池など次世代素材の量産化を進める
将来の成長ドライバーとして、次世代蓄電池である全固体電池向け固体電解質(A-SOLiD)の初期量産工場の建設を開始したほか、2026年4月には九州に先端材料開発センターを設立し、先端半導体分野等へのリソース投入を本格化させています。
1連結業績ハイライト
出典:決算説明資料 P.2
売上高
7,585億円 +6.5%
営業利益
1,309億円 +75.1%
経常利益
1,367億円 +78.9%
当期純利益
912億円 +41.1%
2026年3月期の通期決算は、売上高7,585億円、営業利益1,309億円と、前年を大幅に上回る好成績を収めました。機能材料セグメントにおいて、AIサーバー等に向けた通信インフラ用高周波基板用電解銅箔の需要が伸長したことや、金属セグメントにおいて亜鉛などの相場上昇と為替の円安による在庫要因の好転が業績を力強く押し上げました。
当期は通期決算であるため進捗率の概念はありませんが、期中の社内予想をも大きく上回る極めて堅調な着地となりました。一部の子会社売却に伴う関係会社株式売却損失などを特別損失に計上したものの、本業の収益力の高さが際立っており、過去最高の純利益を記録しています。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算説明資料 P.8
機能材料
事業内容:極薄銅箔、排ガス浄化触媒、機能粉、電池材料、レアマテリアルなどの製造・販売。
業績推移:売上高3,284億円(33.4%増)、経常利益665億円(65.0%増)。
注目ポイント:AIサーバー向けを中心とした通信インフラ用の高周波基板用電解銅箔や、半導体パッケージ基板向けの極薄銅箔の需要が非常に好調です。また、重希土類フリー磁石や次世代半導体チップ実装用キャリアなど、先端材料の開発・量産化に向けた投資を加速させており、素材開発や生産プロセス構築を担えるエンジニアが強く求められています。
注目職種:先端材料の研究開発(R&D)、プロセス技術、海外技術営業
金属
事業内容:亜鉛・鉛・銅・金・銀の製錬、および環境ビジネスとしての資源リサイクル事業。
業績推移:売上高3,766億円(15.9%増)、経常利益750億円(68.7%増)。
注目ポイント:非鉄金属相場の上昇や円安の恩恵を受け、利益が大きく伸長しました。今後はカーボンニュートラル実現に向けて、高度なリサイクル製錬ネットワークの強化に注力しています。有価金属の回収率向上や低炭素エネルギーの活用など、製錬技術のアップデートやプラント管理の最適化を推進できる環境・プラントエンジニアの活躍が期待されます。
注目職種:製錬・リサイクル技術のプロセスエンジニア、プラント設備管理
自動車部品(注:当期途中で譲渡済)
事業内容:自動車用ドアロックの製造・販売(三井金属アクト)。
業績推移:売上高512億円(46.6%減)、経常損失8億円。
注目ポイント:資本効率を意識した事業ポートフォリオ見直しの一環として、当部門の主要企業であった三井金属アクトの全株式を2025年11月に譲渡完了しました。そのため、上記の業績は2025年4月から9月までの6ヶ月間の実績のみを計上しており、次期からは報告セグメントから除外されます。今後は他の重点成長領域へと経営資源が集中される見通しです。
注目職種:該当セグメントでの積極的な新規採用は想定されません
その他の事業
事業内容:各種産業プラントエンジニアリング、伸銅品、パーライト製品、ダイカスト製品等の製造・販売。
業績推移:売上高1,364億円(0.4%増)、経常利益39億円(137.2%増)。
注目ポイント:一部の連結子会社を譲渡した影響がありつつも、国内グループ企業や海外向けの大型プラント工事案件の受注が堅調に推移し、大幅な増益を確保しました。グループ全体の生産基盤を支えるエンジニアリング機能の重要性が増しており、大規模プロジェクトを牽引できるプロジェクトマネージャーや設計人材が求められています。
注目職種:プラントエンジニアリング(機械・電気設計)、施工管理
3今後の見通しと採用の注目点
出典:決算説明資料 P.28
次期(2027年3月期)の通期見通しは、売上高8,300億円(9.4%増)、経常利益930億円(32.0%減)を計画しています。当期に利益を大きく押し上げた為替の円安や金属価格上昇による在庫要因等の好転影響が剥落することに加え、金属セグメントにおける大規模な定期修繕費用の計上が影響し、減益となる見込みです。
一方で、中長期的な視点では「統合思考経営」を軸に大胆な資源投入による成長の加速を企図しており、2026年度はバイサイドM&A(買収側としてのM&A)の予算枠を当初計画の240億円から600億円へと大幅に拡大しました。また、九州先端材料開発センターの設立や、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の全社展開など、次世代の競争力確保に向けた体制強化を進めており、これらの変革を牽引できるプロフェッショナル人材の採用需要が極めて高まっています。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
三井金属は、単なる素材提供にとどまらず、循環型社会の実現や次世代通信・半導体インフラの基盤を支える役割を担っています。自身が持つ技術力や専門性を活かして、社会的課題の解決と経済的価値の創出(統合思考経営)に貢献したいという熱意を具体的にアピールすることが重要です。特に、全固体電池などの新事業立ち上げや、AIインフラ向け素材への興味を志望動機に組み込むと説得力が増します。
面接での逆質問例
「2026年4月に設立された九州先端材料開発センターにおいて、産官学連携を推進する上で、中途入社者がどのような知見を持ち込み、どのようにリーダーシップを発揮することが期待されていますか?」
「バイサイドM&Aの予算枠が大幅に拡大されましたが、買収後の事業統合プロセス(PMI)や新規事業の立ち上げにおいて、現場レベルで現在最も不足しているスキルや人材要件について教えていただけますか?」
5転職者が知っておきたい現場のリアル
悪い意味で業務過多で潰されます
平社員であっても、上司がワンマンなタイプだと、通常業務に加えて、あらゆる雑務、資料作成、対外交渉がふられるので、良い意味で経験となり、悪い意味で業務過多で潰されます。
(30代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 決算説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。