エンの転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

エンの転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

エンの2026年3月期通期決算は、engage事業の承継決定とback check買収、AI新会社設立など事業ポートフォリオ再構築が進みました。「なぜ今エンなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

engage事業の承継により経営資源の集中を進める

2026年4月1日付で非正社員領域を中心とするengage事業をカカクコムへ事業承継(株式譲渡85.1%)することを決定しました。これにより、グループの経営資源を主力の「エン転職」やミドル・ハイクラス向け人材紹介、AI×HRなどの成長分野へ再配分する構造改革を本格化させています。

back check買収によりリファレンスチェック分野を大幅強化する

リファレンスチェックサービスを展開するback checkを完全子会社化(2025年3月期3Qより新規連結)し、自社サービス「ASHIATO」と統合しました。顧客基盤とテクノロジーを融合することで、120〜160億円規模とされるリファレンスチェック市場での圧倒的ポジション確立を進めています。

人件費と広告宣伝費の最適化で収益構造の改革を着実に実行する

2025年3月期から2027年3月期までの構造改革期において、単体人件費を19.9%削減、単体広告宣伝費を29.2%削減する計画を着実に推進しています。費用効率化を図りつつ成長分野へ積極投資する体制を整えています。

1 連結業績ハイライト

2026年3月期通期は減収減益となったものの、事業ポートフォリオ見直しと徹底した費用効率化により次期再成長への足固めを完了しました。
構造改革を通じた再成長シナリオ

出典:2026年3月期 通期 決算説明資料 P.4

売上高

59,093百万円

前年同期比 -10.0%

営業利益

3,962百万円

前年同期比 -32.7%

経常利益

4,191百万円

前年同期比 -29.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

2,616百万円

前年同期比 -65.7%

当連結会計年度の売上高は前年同期比10.0%減の59,093百万円、営業利益は32.7%減の3,962百万円となりました。主力の「エン転職」における前期までの投資抑制影響や「engage」での広告宣伝費削減が売上減につながった一方、グローバル人材紹介を展開するエンワールド・ジャパンがコンサルタント増員や生産性改善により売上を伸ばすなど、一部事業で成長の力強さを見せています。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅減益(65.7%減)となった主な要因は、前年度に投資有価証券売却益(タイミー株式の売却益5,456百万円)を特別利益として計上していた反動によるものです。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主力メディアの構造改革から、ハイキャリア人材紹介、新規買収領域、海外展開まで、多角的な領域で専門人材の需要が高まっています。
連結業績概要(新セグメント別)

出典:2026年3月期 通期 決算説明資料 P.17

国内HR 採用サービス(メディア)

【事業内容】「エン転職」「engage」「ミドルの転職」「AMBI」などの求人情報メディアを展開しています。

【業績推移】売上高は37,707百万円(前年同期比11.8%減)、営業利益は6,876百万円(前年同期比25.3%減)となりました。

【注目ポイント】「エン転職」は過去の投資抑制影響で減収となったものの、営業強化により利用企業数は増加に転じるなど復調の兆しを見せています。「engage」の事業承継に伴い、リソースを「エン転職」や「ミドルの転職」「AMBI」へ集中再配分する方針です。質の高い求人原稿作成や顧客伴走力を高める企画・企画提案営業のプロフェッショナルが求められています。

注目職種:法人営業(RA)、インサイドセールス、求人制作ディレクター、WEBマーケター

国内HR 採用サービス(エージェント)

【事業内容】「エン エージェント」やグローバル人材紹介を行うエンワールド・ジャパンによる人材紹介事業です。

【業績推移】売上高は10,852百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は1,628百万円(前年同期比23.4%増)と大幅な伸びを達成しました。

【注目ポイント】エンワールド・ジャパンにおけるコンサルタント増員と生産性改善が寄与したほか、「エン エージェント」での高年収帯決定件数増加が業績を牽引しました。「ミドルの転職」「AMBI」が保有する膨大な求職者データベース(480万人超)を活用した自社人材紹介の拡大余地は220〜300億円と非常に大きく、コンサルタントの採用・育成を急ピッチで進めています。

注目職種:キャリアコンサルタント(CA/RA)、バイリンガル人材紹介コンサルタント

国内HR 採用サービス(その他・RPO/ATS/リファレンス)

【事業内容】ゼクウ(派遣向けATS)、VOLLECT(RPO事業)、back check(リファレンスチェック)等を展開しています。

【業績推移】売上高は2,533百万円(前年同期比41.1%増)、営業利益は790百万円(前年同期比66.7%増)と高成長を継続しています。

【注目ポイント】(注:back checkは2025年3月期3Qより新規連結のため前年同期との単純比較不可)。ゼクウの取引単価向上やVOLLECTの大型案件受注増加に加え、新規連結したback checkが業績拡大に大きく寄与しています。ミスマッチ防止や採用業務効率化を支援する SaaS/BPO 領域において、事業開発やソリューション営業の機会が拡大しています。

注目職種:SaaS営業、RPOコンサルタント、カスタマーサクセス、プロダクトマネージャー

国内HR 教育・評価サービス

【事業内容】タレントマネジメントシステムや入社後のオンボーディング・離職防止ツール「HR OnBoard」等を提供しています。

【業績推移】売上高は1,752百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は453百万円(前年同期比11.9%減)となりました。

【注目ポイント】人件費増加等で減益となったものの、入社後の定着・活躍を支援するサービスの利用企業数は順調に伸長しています。「入社成功(=入社+入社後活躍)」を理念に掲げるエンの強みを活かし、クライアント企業の組織課題解決を伴走支援する人材が重要視されています。

注目職種:組織・人事コンサルタント、カスタマーサクセス

海外 採用サービス(ベトナム・インド等)

【事業内容】ベトナム市場シェアNo.1の「vietnamworks」「Navigos Search」や、インドでの人材紹介・ITエンジニア派遣を展開しています。

【業績推移】売上高は6,464百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は1,264百万円(前年同期比99.0%増)と倍増に近い大幅利益増を達成しました。

【注目ポイント】ベトナムにおける景気回復に加え、インドや米国でのITエンジニア派遣ビジネスが順調に成長しました。徹底したコストコントロールと高成長市場でのシェア拡大により、グローバル領域における存在感が急速に高まっています。

注目職種:グローバルプロジェクトマネージャー、海外事業立ち上げ・営業コンサルタント

非HR 国内 営業代行サービス(エンSX)

【事業内容】エンSXによる営業・マーケティング支援(B2Bセールス代行)ビジネスを提供しています。

【業績推移】売上高は1,784百万円(前年同期比10.0%減)、営業利益は220百万円(前年同期比24.5%増)となりました。

【注目ポイント】社外(直販以外)への外販売上比率が前年比125%に増加するなど収益性が向上しています。独自の営業メソッドを活用したB2B支援ニーズに応える専門営業人材が活躍しています。

注目職種:セールスコンサルタント、アカウントマネージャー

3 今後の見通しと採用の注目点

構造改革2年目となる2027年3月期は、事業集中とAI領域での新会社設立・連携を推し進め、中長期の劇的な再成長を狙います。
2027年3月期通期連結業績計画 エグゼクティブサマリー

出典:2026年3月期 通期 決算説明資料 P.26

2027年3月期の通期計画では、売上高50,000百万円(前期比15.4%減)、営業利益2,800百万円(前期比29.3%減)、当期純利益5,464百万円(前期比108.9%増)を予定しています。売上高の減収計画は、売上約70億円規模であったengage事業の承継(控除)に伴う影響が主因であり、engage事業を除いた実質ベースでは前期比3.9%減にとどまる見通しです。

また、当期純利益が大幅増加(108.9%増)となる背景には、2026年4月1日発効の株式譲渡に伴い、2027年3月期第1四半期に関係会社株式売却益4,449百万円を特別利益として計上する見込みであることが挙げられます。

成長戦略面では、「エン PeopleX」の設立などAI×HRテクノロジー領域への投資を本格化。「エンの営業力」と「PeopleXの技術力」の連携により、AI面接・ロープレ機能などの独自ソリューションを展開します。不採算事業の整理・縮小と主力事業への再投資を完了させることで、2028年3月期からの本格的な再成長軌道への移行を目指しています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

エンは現在、経営資源を既存の主力領域(エン転職、ミドルの転職、AMBI、人材紹介)へ強力に「選択と集中」させています。志望動機を構築する際は、「engageの事業承継を経て、エン転職の再強化やミドル・ハイクラス人材紹介の急拡大(ポテンシャル220〜300億円)という成長フェーズに立ち会いたい」という視点や、「back check買収によるリファレンスチェック領域での市場拡大、エン PeopleX設立に象徴されるHR×AIの新たな製品開発に携わりたい」といった具体的な構造改革ストーリーと自身のスキルを紐づけるのが効果的です。

Q&A

面接での逆質問例

  • 「engage事業の承継に伴い、自部署におけるマーケティング予算や営業リソースの再配分は具体的にどのように変化していますか?」
  • 「ミドルの転職やAMBIの会員データベース(480万人)を活用した人材紹介の強化にあたり、キャリアコンサルタントに求められる役割や成果の指標はどのように進化していますか?」
  • 「back checkの統合やエン PeopleXの設立により、従来の採用サービスとAI/テクノロジーの連携がどのように現場の提案活動へ組み込まれていますか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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大手企業の求人も多く扱うので、社会貢献感はすごくある。 会社の理念にも共感しており、働き甲斐はあった。 直近、業績が芳しくないので、そこは心配。

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女性はかなり働きやすい環境だと思う。 育休・産休は当たり前に皆さん取っているし、復帰もしている。 また、管理職の女性割合が高く、キャリアアップも考えやすい環境だと思う。

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※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(エン)
  • 2026年3月期 通期 決算説明資料(エン)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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