淺沼組の転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

淺沼組の転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

淺沼組の2026年3月期通期決算は、選別受注の徹底で粗利率が向上し増収増益を達成。「なぜ今淺沼組なのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

①受注高2,171億円を達成し選別受注で利益率を高める

2026年3月期は戦略的な選別受注の高度化が実を結び、連結受注高が前期比20.2%増の2,171億5,500万円と大幅に伸長しました。手持ち工事が潤沢に積み上がったことで利益率や4週8閉所を確保できる案件への厳選が進み、売上総利益率も11.2%へ改善するなど収益基盤の強化が明確に表れています。

②シンガポール塗装会社を買収し海外事業基盤を広げる

ASEANでのリニューアル展開を加速するため、2026年6月にシンガポールのT3社を子会社化しました(前年は未連結のため単純比較不可)。現地3社体制の構築により海外リニューアル事業の拡大が加速しており、グローバルな施工管理やマネジメントに挑みたい技術者にとってキャリアの選択肢が大きく広がっています。

③初任給30万円と4年連続賃上げで人材投資を加速する

人材確保に向け新卒初任給を30万円へ引き上げ、4年連続の賃上げを実施するなど処遇改善を力強く推し進めています。新卒・中途採用数が前年比30名増の85名に達したほか、離職予防ツールの導入や全社員向けDX研修など人的資本への投資が活発化しており、長く安心して成長できる就業環境が整っています。

1 連結業績ハイライト

売上高・各利益ともに前期比増収増益を達成し、期初計画を上回る着地となりました。選別受注の成果により総利益率が向上し、年間配当は45円へ増配されています。
2025年度 実績 - 業績ハイライト(連結)

出典:個人投資家様向け会社説明会 P.27

売上高

1,752億9,400万円

前期比 +5.0%

営業利益

72億1,100万円

前期比 +5.0%

経常利益

70億4,800万円

前期比 +7.7%

親会社株主に帰属する当期純利益

51億8,100万円

前期比 +10.4%

2026年3月期の通期連結業績は、売上高が前期比5.0%増の1,752億9,400万円、営業利益が同5.0%増の72億1,100万円となり、全利益項目で増益を達成しました。国内土木事業の大幅な進捗や海外子会社の伸長に加え、徹底した選別受注により売上総利益率が前期比0.4ポイント改善の11.2%へ上昇したことが寄与しています。

通期計画に対する進捗評価としては、期初計画(売上高1,703億円、営業利益70億3,000万円)をいずれも上回っており、極めて堅調な業績進捗となりました。2月に上方修正した修正計画に対しては営業利益がわずかに届かなかったものの、純利益は修正計画比3.6%増と力強く上振れ着地し、年間配当も当初計画から3.5円増配の45円へと引き上げられました。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主力である建築・土木の両事業が安定した収益を創出しており、リニューアル事業や海外展開、建物維持管理を含むその他領域でも専門技術者のニーズが拡大しています。
事業概要(国内)

出典:個人投資家様向け会社説明会 P.7

建築事業

【事業内容】

倉庫・物流施設、工場、住宅、教育施設等の新築工事に加え、独自ブランド「ReQuality」を通じた中規模ビルの高付加価値リニューアルや耐震・環境配慮改修を幅広く手掛けています。

【業績推移】

売上高は前年同期比0.6%増の1,422億6,600万円、セグメント利益は同7.6%増の154億4,700万円となりました。選別受注の強化により単体完工利益率は10.5%へ上昇しました。

【注目ポイント】

脱炭素に貢献する「還土ブロック」などの特許技術や、居ながら工事の高度な現場対応力を強みに、大手が参入しにくい中規模改修で高収益を確保しています。付加価値提案型の改修需要が急増しており、環境技術の知見を持つ設計者や、既存建物の構造判断ができる施工管理技術者の存在感が一層高まっています。

注目職種:建築施工管理技士、意匠・構造設計、リニューアル工事担当技術者

土木事業

【事業内容】

上下水道、鉄道、道路、造成、治山治水などの社会基盤整備を中心に、シールドトンネルや3D地中可視化技術を活用した高度なインフラ整備・防災対策工事を展開しています。

【業績推移】

売上高は前年同期比31.2%増の292億5,200万円、セグメント利益は同12.1%増の30億5,400万円と大幅増収増益でした。民間大型案件の進捗が業績を大きく牽引しました。

【注目ポイント】

電線路や治山治水などの大型受注が積み上がり、受注高は前年比40.5%増と跳ね上がりました。全国統括部署の新設や積算体制の一元化により組織的な受注力が確立されており、3D施工支援や現場DXを牽引できる土木技術者や、大規模インフラ工事をリードできる監理技術者の活躍機会が急速に広がっています。

注目職種:土木施工管理技士、トンネル・シールド技術者、BIM/CIM推進担当

その他事業

【事業内容】

竣工後建物の維持管理・アフターメンテナンス事業、斎場や給食施設などのPFI事業(民間資金等を活用した公共施設整備)、不動産事業などを多角的に展開しています。

【業績推移】

売上高は前年同期比12.9%増の37億7,600万円、セグメント利益は同26.7%増の8億1,300万円となりました。関連事業が順調に進捗し、安定した収益を確保しています。

【注目ポイント】

新設された「GOOD CYCLE SERVICE部」を起点に、建物劣化診断から長期修繕計画まで一貫対応する体制が整備されました。ストック活用ビジネスの強化に伴い、ファシリティマネジメントや官民連携事業の企画運営に強みを持つ人材の採用需要が着実に高まっています。

注目職種:ファシリティマネジャー、アフターメンテナンス技術者、PFI事業企画担当

地域別動向(国内主要エリア・海外展開)

【事業内容】

関東・甲信越および近畿の中核2大拠点に加え、中部・北陸、中国・四国、九州・沖縄、東北、北海道で施工を展開し、海外ではグアム営業所およびシンガポール子会社を展開しています。

【業績推移】

国内完工高は関東576億円、近畿457億円、中部203億円が中核です。海外売上高は前年同期比42.3%増の160億8,200万円と大幅に伸長しました。

【注目ポイント】

国内では関西万博オランダパビリオンの施工実績や近畿・関東での大型物流施設・再開発案件の獲得が進んでいます。海外ではシンガポールのEvergreen社が業績を牽引し、2026年6月にはT3社を子会社化(前年は未連結のため単純比較不可)するなど、国内外の中核地域での統括力を備えた現場代理人・施工管理者の採用が急務となっています。

注目職種:エリア統括施工管理技士、海外プロジェクト管理担当、調達・積算担当

3 今後の見通しと採用の注目点

中期経営計画の最終年度に向けて選別受注をさらに徹底し、豊富な繰越工事を背景に売上総利益率の向上と業務効率化を両立させる計画です。
中期3ヵ年計画 業績計画(連結)

出典:個人投資家様向け会社説明会 P.29

次期(2027年3月期)の連結業績見通しは、売上高1,755億円(前期比0.1%増)、営業利益77億8,000万円(同7.9%増)、純利益51億8,000万円(同0.0%減)を計画しています。単体繰越工事高が2,406億円と過去最高水準に積み上がっていることから、無理な受注高追及を避け、選別受注の一層の高度化によって売上総利益率を11.5%まで高める方針です。また、現場業務を一元化するプラットフォームの導入やAI技術の活用によるDX推進で、時間外労働規制への対応と業務効率化を両立させます。高付加価値なリニューアル提案や生産性向上を主導できる実務経験者にとって、中核人材として参画する絶好のタイミングといえます。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

同社は単に規模を追うのではなく、受注時利益率や4週8閉所を確保する選別受注の徹底へと舵を切っています。また、独自ブランド「ReQuality」や自然素材を活用した「還土ブロック」「立体木摺土壁」など、環境負荷低減とデザイン性を両立するリニューアル技術に強みを持っています。志望動機では、建物のライフサイクル全体を見据えた高付加価値提案に魅力を感じていることや、初任給30万円引き上げ・4年連続賃上げなど人的資本への積極投資が行われる環境で腰を据えて専門性を磨きたい意欲を伝えると高い評価につながります。

Q&A 面接での逆質問例

面接では、経営計画の実行度や現場の働き方改革への具体的な取り組みについて質問することが有効です。

  • 「選別受注を高度化されている中で、作業所の4週8閉所の達成状況や現場のワークライフバランスを支える具体的な仕組みを教えていただけますでしょうか」
  • 「リニューアル事業で特許技術や高いデザイン提案を強みにされていますが、中途入社者がそうした付加価値提案のノウハウを早期に習得するための研修・サポート体制はありますでしょうか」
  • 「シンガポールでのT3社子会社化など海外リニューアル事業を拡大されていますが、国内の技術者が将来的に海外案件やグローバル連携に携わる機会はどの程度ありますでしょうか」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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楽な現場で全く残業をしていない人と同じ給料になることもある

仕事の規模は大きく億単位の仕事に携われるが常に忙しく全体的に余裕がなく教育の体制が整っていないと感じた。現場によってかなり当たり外れがあるのでかなりしんどい現場で残業をしていても、楽な現場で全く残業をしていない人と同じ給料になることもある。

(20代前半男性・施工管理・正社員) [キャリコネの口コミを読む]
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独身の方が優遇される傾向にある

残業が非常に多い事態が恒常化している。残業は減ってきているが、他業界からみれば多い状態が続いている。また残業体質が依然変わらない社員もいるため、残業=頑張っているという認識になってしまっている。家族手当、住宅手当など各種手当を廃止し、既婚独身に関わらず給与をフラットにする動きがあるが、独身の方が優遇される傾向にある。

(20代後半男性・技術・正社員) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 株式会社淺沼組 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日公表)
  • 株式会社淺沼組 2026年3月期 決算補足資料(2026年5月13日公表)
  • 株式会社淺沼組 個人投資家様向け会社説明会資料(2026年8月1日開催)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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