0 編集部が注目した重点ポイント
①営業利益は81億円へ減益も中計計画を上回る
2026年3月期の営業利益は前期比47.0%減の81億円にとどまったものの、中期経営計画「NGP-2」の期首計画値である75億円を6億円上回って着地しました。原材料高や為替変動、欧米拠点の出荷調整といった逆風下でも、構造改革と利益体質の強化を着実に進めています。
②中間体の出荷再開で27年3月期営業益35%増へ
主要顧客との品質管理体制高度化に伴い出荷延期となっていた海外医薬品中間体が第4四半期より再開しました。これにより、2027年3月期の通期営業利益は前期比35.3%増の110億円へと急回復する見通しであり、ファインケミカル分野の体制強化に向けた採用拡大が期待されます。
③中国新拠点を連結化しグローバル拠点を拡充する
当期より中国に「高砂香料(張家港)有限公司」を新規連結したほか、中東市場を狙うドバイ拠点の新設を決定しました。成長市場である新興国やアジア圏への積極的な製造・販売基盤の拡充を進めており、海外事業の推進を担うグローバル人材のキャリア機会が拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算説明会 P.8
当連結会計年度の業績は、売上高が前期比1.8%減の2,250億92百万円、営業利益が同47.0%減の81億32百万円となりました。前年に発生した米国での新基幹システム導入に伴う期ずれ需要の反動や、ファインケミカル事業での品質管理体制高度化に伴う医薬品中間体の出荷延期、さらに原材料価格の高騰や円安による調達コスト増が損益を圧迫しました。一方で、政策保有株式の縮減を進めた結果、投資有価証券売却益44億26百万円を計上し、当期純利益は95億25百万円を確保しています。
中期経営計画「NGP-2」との比較においては、計画していた売上高2,100億円、営業利益75億円をいずれも上回る着地となっており、中計の進捗状況としては順調な水準を維持しています。為替の期中平均レートは1米ドル150円(前期比1.2%円高)、1ユーロ169円(前期比3.1%円安)で推移しました。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算説明会 P.10
日本セグメント
【事業内容】 国内におけるフレーバー、フレグランス、アロマイングリディエンツ、ファインケミカルの製造販売および不動産賃貸事業を展開しています。
【業績推移】 売上高は前期比4.6%増の769億68百万円となった一方、営業利益は同86.7%減の5億94百万円と大幅な減益となりました。
【注目ポイント】 飲料向けフレーバーが堅調に推移し増収を牽引したものの、ファインケミカル部門における米国向け医薬品中間体の輸出減少や原材料高が利益を大きく圧迫しました。第4四半期に出荷が再開したことを受け、今後は製造プロセスの高度化と採算管理を徹底できる人材の投入によって、収益性の本格回復を牽引する体制構築が不可欠となっています。
米州セグメント
【事業内容】 北米および中南米地域における各種香料製品およびファインケミカル製品の製造・販売を担っています。
【業績推移】 売上高は前期比16.5%減の555億75百万円、営業利益は同64.8%減の9億8百万円と減収減益を記録しました。
【注目ポイント】 前期に新基幹システム導入に伴う出荷増加の反動が出たことに加え、医薬品中間体の受入延期が重なりました。来期はホームケア向けフレグランスや新興国向けフレーバーの伸長が見込まれており、サプライチェーンの再構築と顧客深耕を両立できるグローバルビジネス経験者が求められる局面を迎えています。
欧州セグメント
【事業内容】 欧州地域を中心に、調合香料およびアロマイングリディエンツの研究開発・製造販売を手掛けています。
【業績推移】 売上高は前期比7.8%増の423億95百万円、営業利益は同67.4%減の8億円となりました。
【注目ポイント】 ドイツ子会社が好調を維持したものの、フランス子会社での新基幹システム導入に伴う出荷調整および減価償却費等の販管費増加が利益を圧迫しました。今後はドイツ子会社へのシステム展開も控えており、基幹システム刷新に伴う業務効率化と現場定着を主導するプロジェクト管理スキルの重要性が高まっています。
アジアセグメント
【事業内容】 中国、東南アジア、インド市場等における各種香料の製造販売を展開しています。(注:当期より高砂香料(張家港)有限公司を新規連結)
【業績推移】 売上高は前期比0.7%増の501億53百万円、営業利益は同14.2%増の56億50百万円と増収増益を達成しました。
【注目ポイント】 中国子会社における飲料およびファブリックケア向け出荷の伸長に加え、東南アジアでの原材料調達最適化が奏功し売上総利益が改善しました。新興国市場の旺盛な需要を取り込むため、中国新工場の安定稼働や地域密着型の製品開発を牽引できる調香師・技術営業の活躍フィールドが広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算説明会 P.20
2027年3月期の通期連結業績は、売上高2,400億円(前期比6.6%増)、営業利益110億円(前期比35.3%増)、経常利益115億円(前期比20.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益94億円(前期比1.3%減)を見込んでいます。前期に足を引っ張った医薬品中間体の出荷本格化に加え、米州やアジアにおけるホームケア・パーソナルケア向けフレグランスの拡大が増収増益を後押しします。中東情勢の緊迫化に伴う原油高や原料調達コスト上昇への懸念があるものの、販売価格への転嫁や原料最適化によって影響を最小化する方針です。
設備投資は鎌倉新研究所の土地取得が一巡したことで217億円から140億円へと減少する一方、研究開発費は190億円へ増額し、先端科学による競争力ある技術創成を加速させます。研究開発、グローバル製造管理、サプライチェーン改革を牽引できる高度専門人材の採用意欲は極めて堅調です。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
高砂香料工業は、フレーバー・フレグランスのみならず、触媒技術や連続フロー技術を活用したファインケミカル(医薬品中間体等)という強力な事業柱を持つ点が大きな強みです。2026年3月期は品質管理体制高度化に伴う一時的な出荷遅延に見舞われましたが、第4四半期より出荷を再開し、来期は大幅な業績回復を計画しています。
志望動機を構築する際は、同社が掲げる中長期ビジョン「Vision 2040」や中期経営計画「NGP-2」で注力されている「グローバルサプライチェーンの最適化」や「高付加価値スペシャリティ製品の拡充」に対し、自身の専門性やオペレーション改善経験をどう還元できるかを具体的に言語化することが有効です。
面接での逆質問例
質問例1:「ファインケミカル事業において、海外医薬品中間体の出荷が再開し来期大幅増益を見込まれていますが、主要得意先との品質管理体制の高度化を経て、製造・開発現場における品質基準や求められる専門スキルにどのような変化が生じていますか?」
質問例2:「フランスやドイツなど欧州各拠点で新基幹システムの導入が進められていますが、グローバル全体でのデータ連携やサプライチェーン最適化に向けて、現在どのような部門間連携の課題や人材ニーズが存在しますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
退職金や保険制度などの基本的な部分は整っている
組合の上限が25時間/月。120時間/半年。残業の多い少ないは部署によって異なる。退職金や保険制度などの基本的な部分は整っている。家賃補助制度が最近変更されたが、恩恵を受けられる人と受けられない人の格差があり不満が広がっている。
(30代前半男性・技術・正社員) [キャリコネの口コミを読む]寮制度が充実している
仕事があってやらざるを得ないのに、残業を許可されない。部署(の忙しさ)によって残業可能な時間上限が異なっている。残業がほぼない部署と日常から残業が多い部署が分かれている印象を受ける。寮制度が充実しているが、その分住宅手当は2万円程と会社規模に対して薄い印象を受ける。
(20代後半男性・技術・正社員) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日発表)
- 2026年3月期 決算説明会資料(2026年5月25日発表)



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