0編集部が注目した重点ポイント
①売上高13.4%増、全利益段階で2月予想を上回る
2026年3月期通期の売上高は564億74百万円(前期比13.4%増)、営業利益は58億5百万円(同18.6%増)となり、2月5日公表の予想に対しても売上高で2.1%、営業利益で5.6%上回りました。スマートフォンや半導体(PC、AIサーバー向けなど)の需要が追い風となり、全ての利益段階で増益かつ予想超過を達成しています。
②産業用構造材料の利益が64.7%増と大きく伸びる
航空機内装用ハニカムパネルの需要回復(売上高は前期比2.2倍)と、世界的な水需要を背景とした水処理用FRP製圧力容器(同13.8%増)の好調により、産業用構造材料の売上高は29.3%増。操業度の向上と品種構成の良化も加わり、セグメント利益は29億1百万円(同64.7%増)、利益率は21.1%に達しました。
③米国に新会社を設立し、現地進出へ動き出す
決算期末後の2026年4月16日、米国カリフォルニア州の新会社「Arisawa Manufacturing America Inc.」(2026年2月25日設立、出資比率100%)への出資払込が完了しました。主要ビジネスである電子材料・産業用構造材料の米国進出の足掛かりとして工場を取得する予定です。当期業績には含まれない新拠点であり、今後は海外拠点の立ち上げや運営に関わるキャリア機会が広がる可能性があります。
1連結業績ハイライト

出典:株式会社有沢製作所「2026年3月期 連結決算の概要」 P.3
売上高
564億74百万円
前期比 +13.4%
営業利益
58億5百万円
前期比 +18.6%
経常利益
61億57百万円
前期比 +16.9%
親会社株主に帰属する当期純利益
49億95百万円
前期比 +25.8%
売上高は電子材料(前期比44億5百万円増)と産業用構造材料(同31億15百万円増)が全体を押し上げ、66億58百万円の増収となりました。営業利益は増収に伴う操業度の向上により9億12百万円増加し、営業利益率は10.3%と前期の9.8%から改善しています。当期純利益は助成金収入等の特別利益(前期の発生がない一時的な要因)も加わり25.8%増となりました。為替は期中平均1ドル149.61円と前期(151.69円)よりやや円高で、為替差益は前期の2億41百万円から1億51百万円に縮小しています。
2026年2月5日公表の通期予想に対する達成率は、売上高102.1%、営業利益105.6%で、計画を上回って着地しており、業績の進捗は順調だったと評価できます。好業績を受けて期末配当は1株当たり53円から78円へ増配され、年間配当金は122円(前期96円)となりました。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

出典:株式会社有沢製作所「2026年3月期 連結決算の概要」 P.6
電子材料
事業内容:FPC(フレキシブルプリント配線板=曲げられる薄い電子回路基板)用材料や、プリント配線板用のガラスクロス・プリプレグ(繊維に樹脂を含浸させた材料)などを生産。連結売上高の約6割を占める主力事業です。
業績推移:売上高358億82百万円(前期比14.0%増)、セグメント利益35億58百万円(同24.7%増)。全製品群で増収となりました。
注目ポイント:FPC用材料(有沢製作所)は10.6%増、子会社ThinFlexのFPC用材料は中華系スマートフォン向けが伸び17.0%増、ICGC・プリプレグは半導体向けを中心に34.4%増、プリント配線板(サトーセン)は6.9%増でした。当社製FPC材料の用途(数量ベース、当社推定)はスマートフォンが57.0%、タブレット/PC/スマートグラスが16.8%で、PC・AIサーバー向けなど用途の広がりに対応できる材料開発・品質の人材が重要になっています。
産業用構造材料
事業内容:水処理用FRP(繊維強化プラスチック)製圧力容器、航空機用ハニカムパネル、プリプレグ、引抜成形品、車載材料などを生産しています。
業績推移:売上高137億31百万円(前期比29.3%増)、セグメント利益29億1百万円(同64.7%増)。利益率は21.1%と4セグメントで最も高い水準です。
注目ポイント:航空需要の緩やかな回復でハニカムパネルが前期比2.2倍、世界的な水需要の増加で水処理用FRP製圧力容器が13.8%増、車載材料も38.8%増と幅広く伸びました。一方、2027年3月期は品種構成の変化によりセグメント利益21億円(8億1百万円減)を見込んでおり、収益性を維持・改善する生産技術やコスト管理の役割が問われる局面です。
電気絶縁材料
事業内容:ガラスクロス、ガラステープ、電気絶縁用プリプレグなど、電気を通さない性質を生かした材料を生産しています。
業績推移:売上高25億46百万円(前期比3.7%増)、セグメント利益2億64百万円(同55.5%増)となりました。
注目ポイント:インフラ関連向けの売上増に加え、収益改善効果が利益を押し上げました。規模は小さいものの採算改善が進んでいる分野です。ただし2027年3月期は売上高22億円、セグメント利益2億円と減収減益を見込んでおり、需要動向を見極めながら効率的な生産体制を維持する視点が求められます。
ディスプレイ材料
事業内容:3D表示フィルターなどの3D関連材料や、偏光利用部材を生産。利益率21.0%と高収益の分野です。
業績推移:売上高39億73百万円(前期比19.1%減)、セグメント利益8億33百万円(同51.8%減)と減収減益でした。
注目ポイント:3D関連材料(23.1%減)、偏光利用部材(17.2%減)とも前期を下回りましたが、3D関連材料は下期に入り復調傾向となり、売上高・利益とも2月予想を上回りました。2027年3月期は受注の回復傾向を背景に売上高42億円、セグメント利益10億円を見込んでおり、回復局面を支える開発・営業人材の役割が注目されます。
地域別売上高(日本・中国・その他の地域)
事業内容:顧客の所在地を基礎とした地域別売上高は、日本・中国・その他の地域の3区分で開示されています。海外売上高の比率は約58%です。
業績推移:日本239億45百万円(前期比16.3%増)、中国152億57百万円(同7.7%増)、その他の地域172億72百万円(同14.7%増)と、全地域で増収でした(増減率は短信数値から編集部算出)。
注目ポイント:有形固定資産は日本に加え中国・台湾にも保有しており、国内外で生産・販売を展開しています。さらに米国カリフォルニア州に新会社を設立し、工場を取得する予定です。海外拠点の拡大に伴い、語学力を生かした営業や現地拠点の生産立ち上げを担う人材の活躍の場が広がると考えられます。
3今後の見通しと採用の注目点

出典:株式会社有沢製作所「2026年3月期 連結決算の概要」 P.12
2027年3月期の連結業績予想は、売上高613億円(前期比8.5%増)、営業利益59億円(同1.6%増)です。スマートフォンや半導体の堅調な需要が続くとの想定から、電子材料は売上高406億円、セグメント利益45億円への拡大を計画しています。一方、営業利益は品種構成の変化により小幅な増益にとどまり、経常利益は支払利息の増大や為替差損の発生を見込んで57億円(同7.4%減)、当期純利益は前期の助成金収入等の特別利益がなくなるため40億円(同19.9%減)と予想されています。為替の前提は期中平均1ドル153.00円です。
財務面では、イノベーションセンターを中心とした設備投資により有形固定資産が増加し、短期借入金も60億62百万円増えました。ROIC(投下資本利益率)は26年3月期に6.8%となり、30年3月期の目標8%に向けた資本効率の改善が課題として掲げられています。株主還元は「DOE(株主資本配当率)6%」と「総還元性向80%以上」のいずれか高い方とする方針で、27年3月期の年間配当金は98円を予定しています。
決算短信では、米国の経済政策の動向や中東情勢を背景とした地政学的リスク、エネルギー価格の高騰など、先行き不透明な状況が続くとの認識も示されています。成長分野への投資と米国進出を進める中で、事業拡大と収益性の両立に貢献できる人材の採用が注目点となりそうです。
4求職者へのアドバイス
HINT志望動機のヒント
有沢製作所は、スマートフォンや半導体向けの電子材料から、航空機・水処理・車載向けの構造材料まで、素材技術を多様な産業に展開している点が特徴です。新製品売上高比率(単体・月次決算ベース)は26年3月期で44.0%、目標は50%以上と、新製品の開発で収益力を強化する方針を掲げています。「自分の技術や経験を、成長市場向けの新製品づくりや米国進出という新たな挑戦に生かしたい」という切り口は、同社の方向性と結びつけやすいでしょう。
Q&A面接での逆質問例
・「米国カリフォルニア州で工場取得を予定されていますが、立ち上げ期に日本から派遣される人材や、現地で求められる役割はどのようなものを想定されていますか」
・「2027年3月期は産業用構造材料で品種構成の変化による減益を見込まれています。収益性を高めるため、現場ではどのような取り組みを進めていますか」
・「新製品売上高比率50%以上という目標に向けて、配属予定の部署ではどのような開発テーマに力を入れていますか」
5転職者が知っておきたい現場のリアル
良くも悪くも昔ながらの会社
自分が担当している仕事さえやっていればよいという感じで、自分からチャレンジしてしたり、提案するなどできる雰囲気ではなかったです。 地元の優良企業ですが、良くも悪くも昔ながらの会社という感じです。
(購買・資材・30代後半・女性) [キャリコネの口コミを読む]契約が切れ辞められてむしろ良かった
派遣契約が切れたため退職しました。もともとしたい仕事ではなかったしとりあえず仕事があればいい、という程度で決めた仕事だったので、契約が切れ辞められてむしろ良かったと思います。 事務仕事担当でしたが、現場の正社員が移動してくるのでという事が会社側の契約終了の理由でした。
(購買・資材・30代後半・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社有沢製作所「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
- 株式会社有沢製作所「2026年3月期 連結決算の概要」(決算説明資料)



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