0 編集部が注目した重点ポイント
①構造改革に伴う損失処理で減益に着地する
当期は赤字事業の整理・見極めを進め、豪州原料炭事業や豪州中古車事業での減損損失を計上した結果、当期純利益は前期比6.3%減の1,036億円となりました。不採算事業の抜本的見直しにより、今後は高収益領域へ経営資源を集中させる方針であり、成長分野での事業再生やマネジメント人材の採用機会が拡大しています。
②豪州インフラ等のM&Aで事業群を拡大する
当連結会計年度において豪州インフラ開発のCapella社や樹脂製造の日本エイアンドエルを新規連結しました(前年は未連結のため単純比較不可)。中計2026で掲げる“KATI”モデルに基づき事業のカタマリ化を推進しており、インフラ開発や脱炭素領域で専門人材の活躍機会が拡大しています。
③次期は過去最高益1,300億円を目指す
2027年3月期は、構造改革に伴う赤字改善や新規投資の収益貢献をテコに、当期純利益1,300億円と過去最高益の更新を見込む計画です。強固な非資源基盤を確立し、年間配当も1株当たり180円へ増配する方針であり、新規ビジネス創出や事業経営を牽引できる中核人材の需要が高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算資料 中期経営計画2026 -Set for Next Stage- 進捗 P.15
収益
2兆7,574億円
前期比 +9.9%
売上総利益
3,675億円
前期比 +6.0%
当期純利益
1,036億円
前期比 ▲6.3%
基礎的営業CF
1,364億円
前期比 +0.9%
※基礎的営業CF = 会計上の営業キャッシュ・フローから運転資金増減等を控除したもの(事業本来のキャッシュ創出力を測る指標)
双日の2026年3月期は、省エネ関連や航空機関連の取引増加により収益が2兆7,574億円と増収となりました。一方で、豪州原料炭事業の市況下落や生産低迷、豪州中古車事業での減損損失計上など、中計2026に基づく構造改革に伴う損失処理を実施したことで、当期純利益は1,036億円と前期比6.3%の減益となりました。
当期は通期の決算実績となりますが、期中見通しの1,150億円に対して進捗率90%と未達で着地しました。ただし、赤字事業の処理を一巡させたことで次期に向けた反転攻勢の環境は整っており、基礎的営業キャッシュ・フローも1,364億円と高水準を維持しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算資料 中期経営計画2026 -Set for Next Stage- 進捗 P.20
自動車
事業内容:完成車トレーディング、組立製造・卸売、小売、品質検査、販売金融等を展開。双日オートグループジャパンやパナマのPetroautos S.A.などの関係会社を有しています。
業績推移:売上総利益660億円(+0.8%)、当期純利益▲53億円(前年は16億円の黒字、前期比▲69億円の減益)。中南米は好調も豪州中古車事業の減損計上等により赤字となりました。
注目ポイント:中南米ではパナマやブラジル等で販売事業を買収し地域ドミナントを構築中ですが、豪州中古車事業の立て直しが急務です。仕入・販売体制の一元化や業務プロセスの改革を推進できる事業再生・リテールマネジメント人材が強く求められています。
注目職種:事業再生マネージャー、海外ディーラー統括、営業戦略担当
航空・社会インフラ
事業内容:民間機・防衛関連機器の代理店販売、ビジネスジェット、交通・都市インフラ等を展開。双日エアロスペースやジャブコン、インドネシアのPT. Puradelta Lestari等を有します。
業績推移:売上総利益275億円(+2.2%)、当期純利益155億円(+27.0%)。防衛関連や航空機関連取引の増加に加え、北米貨車リース事業の一部売却益により増益となりました。
注目ポイント:代理店ビジネスからアセット・運航管理ビジネスへと業態を進化させています。防衛需要の取り込みやビジネスジェット事業の機体数拡大が進展しており、航空宇宙分野の知見や海外インフラ開発を牽引する専門人材の採用が加速しています。
注目職種:航空宇宙ビジネス開発、海外インフラ開発マネージャー、運航管理担当
エネルギー・ヘルスケア
事業内容:再生可能エネルギー、省エネサービス、病院PPP、産業機械等を展開。McClure Companyや豪州Capella Capital、双日マシナリー等の関係会社を有しています。
業績推移:売上総利益659億円(+63.9%)、当期純利益319億円(+41.2%)。省エネ事業の新規連結や太陽光・ガス小売事業売却益、Capella社新規連結により大幅増益となりました。
注目ポイント:当期より豪州インフラ開発のCapella社(注:前年同期は未連結のため単純比較不可)や米豪の省エネ企業を傘下に収めました。PPP(官民連携)やデータセンター向け省エネなど、脱炭素ソリューションを創出するプロジェクト推進人材が不可欠です。
注目職種:再エネ・脱炭素事業開発、PPPインフラ投資担当、省エネソリューション営業
金属・資源・リサイクル
事業内容:石炭、鉄鉱石、合金鉄、アルミナ、資源リサイクル等を展開。石炭鉱山投資のSojitz Developmentや鉄鋼製品を扱うメタルワン等の主要関係会社を有しています。
業績推移:売上総利益170億円(▲52.6%)、当期純利益48億円(▲83.6%)。豪州原料炭事業における市況下落や生産効率の低迷、減損損失の計上等により大幅減益となりました。
注目ポイント:原料炭市況の悪化を受けて構造改革に伴う事業整理を進めています。資源価格の変動リスクを低減させつつ、クリティカルミネラル(重要鉱物)やリサイクルなど新領域へのポートフォリオ変革を主導する人材が中長期的に必要とされています。
注目職種:資源投資アナリスト、リサイクル事業開発、鉱物トレーダー
化学
事業内容:有機・無機化学品、合成樹脂、高機能材料の貿易・製造を展開。日本エイアンドエルや双日プラネット、インドネシアのPT. Kaltim Methanol Industri等を有します。
業績推移:売上総利益725億円(+11.2%)、当期純利益200億円(0.0%)。メタノール価格低迷の影響を、新規連結した日本エイアンドエルの利益貢献で補い横ばいで着地しました。
注目ポイント:当期に樹脂製造の日本エイアンドエル(注:前年同期は未連結のため単純比較不可)を連結子会社化し、従来のトレードから製造領域へと業態を拡張しました。製造現場とグローバル商流を融合させ、高付加価値な化学ソリューションを開発する技術営業人材が求められます。
注目職種:機能性樹脂技術営業、化学品トレーダー、海外事業管理
生活産業・アグリビジネス
事業内容:化成肥料の製造・販売、建材、製紙原料等を展開。タイのThai Central Chemical(TCCC)やフィリピンのAtlas Fertilizer、双日建材等の主要関係会社を有します。
業績推移:売上総利益335億円(▲4.6%)、当期純利益59億円(▲7.8%)。コメ価格下落や原料高に伴う海外肥料事業での取扱数量減少等により減益となりました。
注目ポイント:東南アジアでの高度化成肥料事業において圧倒的なシェアを持ちます。足元の需要低迷を打開するため、データ活用による営業高度化や原料購買力の強化を推進しており、海外アグリビジネスのサプライチェーン改革を担う人材が求められています。
注目職種:アグリ事業開発、海外肥料営業、建材ソリューション企画
リテール・コンシューマーサービス
事業内容:食料流通、水産、商業施設運営、外食・流通等を展開。双日食料、マリンフーズ、双日ライフワンのほか、持分法適用会社のロイヤルホールディングスやJALUX等を有します。
業績推移:売上総利益709億円(+8.7%)、当期純利益142億円(+24.5%)。水産事業や国内リテールの堅調推移に加え、国内商業開発運営事業の一部売却益により増益となりました。
注目ポイント:水産事業のグローバル展開や、ベトナムでの食品卸・小売などリテールバリューチェーンの再編を推進しています。消費者のニーズを捉えた商品企画や海外リテール事業の再生・運営をリードする事業経営人材の存在感が増しています。
注目職種:食品・水産バイヤー、リテール事業統括、商業施設プランナー
その他
事業内容:ITシステム・ネットワーク、物流、保険、各種調査業務等を展開。双日テックイノベーションや双日ロジスティクス、双日インシュアランス等の関係会社を有しています。
業績推移:売上総利益148億円(+10.5%)、当期純利益166億円(+130.6%)。持分法適用会社であったさくらインターネット株式の一部売却に伴う利益等により大幅増益となりました。
注目ポイント:双日テックイノベーションを中心とするIT機能は、全社のDX戦略「Digital-in-All」を牽引する重要基盤です。商社の多様な事業現場にAIやデジタル技術を実装し業務変革を起こすITスペシャリストが強く求められています。
注目職種:社内DXコンサルタント、ITアーキテクト、国際物流企画
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算資料 中期経営計画2026 -Set for Next Stage- 進捗 P.23
2027年3月期の通期見通しは、売上総利益4,400億円(前期比+19.7%)、当期純利益1,300億円(同+25.5%)と、過去最高益の更新を見込む意欲的な計画です。前期に実施した豪州石炭事業や中古車事業などの構造改革費用が一巡し、赤字改善(約+100億円)や既存事業の伸長(約+60億円)、中計2026での新規投資からの利益貢献(約+120億円)を積み上げる道筋を描いています。
中計2026では「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げ、“KATI”モデルによる事業のカタマリ化や、AI活用を起点とするDX戦略「Digital-in-All」を推進しています。単なるトレーディングにとどまらず、事業会社へ深く関与して企業価値を高める「事業創出」と「事業経営」を両輪で牽引できるプロ人材の採用が今後さらに強化される見通しです。
4 求職者へのアドバイス
面接でアピールすべき「志望動機」のヒント
双日は「事業や人材を創造し続ける総合商社」を目指し、自ら事業会社を経営し価値を高めるビジネスモデルへの転換を強力に推進しています。面接では、単に商社でのグローバルなトレーディングを志望するのではなく、「買収先企業の統括や事業経営(バリューアップ)に直接携わりたい」「“KATI”モデルやデジタル技術を活用し、新たな事業のカタマリを創造したい」といった、当事者意識と事業創出への強い意欲をアピールすることが極めて有効です。
面接で聞いておきたい「逆質問」の例
- 中計2026で推進されている豪州Capella社や日本エイアンドエルなどの大型投資先において、中途入社者がPMI(買収後の統合プロセス)や経営実務に関わる具体的な機会やキャリアパスについて教えていただけますか。
- 全社で推進されているDX戦略「Digital-in-All」において、各営業本部と双日テックイノベーション等のグループ機能がどのように連携し、現場主導のビジネスモデル変革を実現されているのかお聞かせください。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
海外での実務経験を積む機会が提供されます
働きがいを感じる環境が整っており、自由度の高いビジネス展開が可能です。特に、若手社員に対するキャリア支援が充実しており、20代のうちに海外での実務経験を積む機会が提供されます。
(30代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS会計基準〕(連結)
- 2026年3月期 決算資料 中期経営計画2026 -Set for Next Stage- 進捗


