双日の転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

双日の転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

双日の2026年3月期3Q決算は、当期利益804億円と進捗率70%で順調。時価総額1兆円を突破し、豪州鉄道や米省エネ分野への巨額投資で事業変革を加速させています。「なぜ今双日なのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

エッセンシャルインフラ領域への投資を加速させる

中期経営計画2026に基づき、エッセンシャルインフラ(生活に不可欠な基盤)領域への成長投資が着実に進捗しています。当第3四半期までに、オーストラリアのインフラ開発企業「Capella社」を通じた案件構築や、米国の省エネ関連企業「Freestate社」の買収を実行しました。安定収益源となる「非資源事業」の比率を高めるポートフォリオ変革により、キャリアの安定性と新規事業開発の機会が共に拡大しています。

豪州鉄道事業への参入で事業基盤を大きく広げる

当期より、オーストラリアのリーディングカンパニーである「UGL社」の交通部門へ50%出資を行い、本格的な鉄道オペレーション機能を獲得しました。これにより、車両製造から運行・保守までを一気通貫で提供できる体制を構築しています。インフラ分野での専門性を磨きたい技術職やプロジェクトマネジメント職にとって、グローバル市場で大規模案件に携わる絶好のフェーズにあります。

化学・電池部材分野の製造業機能を強化する

化学セグメントにおいて、電池部材やABS樹脂などを手掛ける「日本エイアンドエル」を新規連結しました。これまでのトレード(貿易)主体のモデルから、製造・販売・研究開発までを網羅するビジネスモデルへと強みを拡張しています。素材メーカーや電池関連のバックグラウンドを持つ人材が、商社のネットワークを活用して事業を育てるという新たな活躍フィールドが生まれています。

1 連結業績ハイライト

当期純利益804億円を達成し、時価総額1兆円を突破。中期経営計画で掲げた目標に対し、順調な足取りを見せています。
決算サマリー

出典:2026年3月期 第3四半期 決算資料 P.4

収益 1兆9,858億円 +5.6%
売上総利益 2,706億円 +3.8%
当期純利益 804億円 +5.7%

2026年3月期第3四半期の業績は、収益・各利益項目ともに前年同期を上回り、堅調に推移しています。特に時価総額が1兆円の大台を超え、市場からの期待も高まっています。セグメント別では、エネルギー・ヘルスケアが省エネ関連事業の新規連結により大幅増益となったほか、航空・社会インフラも防衛・航空機関連の好調により利益を伸ばしました。

通期純利益予想1,150億円に対する進捗率は、第3四半期末時点で約70%に達しています。

この数値は同社の想定通りであり、通期目標の達成に向けて概ね順調なペースで推移していると評価できます。資産入替による利益計上や、新規投資案件からの収益貢献が後半にかけて積み上がる計画となっており、安定した経営基盤が維持されています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

各事業本部で「双日らしい成長ストーリー」の具現化が進んでおり、専門性を持つ人材の重要性が高まっています。
セグメント別利益推移

出典:2026年3月期 第3四半期 決算資料 P.10

自動車

事業内容:国内外での自動車販売、ディーラー運営、アフターサービスなどのバリューチェーン展開。

業績推移:当期利益14億円(前年同期比+2億円)。中南米の販売事業が好調に推移しました。

注目ポイント:国内ディーラー事業の苦戦や豪州中古車事業の回復遅れなど課題はありますが、中南米での高い競争力を維持しています。米国関税影響などのリスクを精査しつつ、収益性の低い事業の立て直しを加速させており、構造改革の専門知識を持つ人材が求められています。

注目職種:事業再生コンサル、海外営業、自動車流通スペシャリスト

航空・社会インフラ

事業内容:航空機代理店、ビジネスジェット、鉄道、産業都市インフラ開発など。

業績推移:当期利益124億円(前年同期比+33億円)。防衛・航空機取引の増加が寄与しました。

注目ポイント:貨車リース事業の一部売却や、豪州UGL社への参入により、ビジネスモデルの転換が進んでいます。特に社会インフラの「オペレーション機能」獲得に注力しており、現場運営や保守管理のノウハウを持つプロフェッショナルの需要が急増しています。

注目職種:インフラ開発、航空機リース、プロジェクトマネージャー

エネルギー・ヘルスケア

事業内容:再生可能エネルギー、省エネ関連サービス、LNG、病院施設運営など。

業績推移:当期利益210億円(前年同期比+122億円)。当セグメントが全社の成長を牽引しています。

注目ポイント:(注:当期より米Freestate社、豪Ellis Air社等を新規連結)。省エネ関連事業を「エネルギーソリューション」へと昇華させる戦略を推進中。脱炭素社会の実現に向け、既存のエネルギー知見にデジタル技術を融合できる人材の採用を強化しています。

注目職種:エネルギー技術コンサル、環境エンジニア、海外M&A担当

金属・資源・リサイクル

事業内容:石炭、鉄鋼(メタルワン)、ニオブ、アルミナ、リサイクル事業など。

業績推移:当期利益124億円(前年同期比▲79億円)。石炭市況の下落が主な減益要因です。

注目ポイント:市況に左右されやすい「資源」から、サーキュラーエコノミー等の「非資源」へのシフトを急いでいます。石炭事業では生産効率の徹底改善を経営主導で進めており、資産入替による筋肉質な組織への転換を担う人材が求められています。

注目職種:資源投資管理、環境ビジネス企画、リサイクル技術営業

化学

事業内容:合成樹脂、メタノール、電池部材、機能化学品の製造・貿易。

業績推移:当期利益160億円(前年同期比▲1億円)。メタノール価格低迷を新規連結で補いました。

注目ポイント:(注:当期より電池部材製造の日本エイアンドエルを新規連結)。製造業への強みの拡張が明確になっています。欧州でのトレードも底堅く、グローバルなサプライチェーン構築と、製造現場のオペレーション理解を兼ね備えたハイブリッドな人材が期待されています。

注目職種:化学品営業、工場管理、新素材開発マネージャー

生活産業・アグリビジネス

事業内容:肥料製造販売(タイ・比・越)、コメ・穀物、建材、製紙など。

業績推移:当期利益47億円(前年同期比▲15億円)。肥料の販売数量減少が響きました。

注目ポイント:東南アジアでの肥料製造をコアに、DX(デジタルトランスフォーメーション)活用による農業支援を強化しています。単なる「モノ売り」から、農家の収益向上に寄与するサービスプロバイダーへの変革を進めており、ITとアグリビジネスを繋ぐ人材にチャンスがあります。

注目職種:アグリテック企画、海外事業開発、SCM担当

リテール・コンシューマーサービス

事業内容:ベトナム小売(ミニストップ等)、水産、ロイヤルHD提携、不動産。

業績推移:当期利益89億円(前年同期比▲8億円)。水産・国内リテールは堅調でした。

注目ポイント:ベトナムでのリテールバリューチェーン構築が着実に進んでいます。「消費者起点」の事業創出を掲げ、ロイヤルホールディングスとの共創による新ホテルブランド立ち上げなど、従来の商社の枠を超えたBtoC領域のプロフェッショナルが活躍しています。

注目職種:マーケティング、店舗開発、商品企画

3 今後の見通しと採用の注目点

中期経営計画2026の折り返し地点を過ぎ、6,000億円超の投資計画は着実に積み上がっています。
中期経営計画の進捗

出典:2026年3月期 第3四半期 決算資料 P.15

双日は現在、2027年3月期を最終年度とする「中期経営計画2026」の真っ只中にあります。同計画では3年間で6,000億円超の新規投資を掲げており、これまでに約2,150億円の実行を完了しました。今後、計画の後半に向けてさらに案件が積み上がっていく見込みであり、投資案件の目利きから実行、その後のバリューアップ(事業価値向上)までを担える人材へのニーズはかつてないほど高まっています。

特に注目すべきは、「双日らしい成長ストーリー」として定義された3つの軸です。「新規投資の拡大」「既存事業を磨く」「外部パートナーとの共創」を同時並行で進めています。単なる投資回収だけでなく、自らオペレーションに入り込み、事業を「カタマリ」として育て上げる泥臭さと戦略性を兼ね備えた人材が、Next Stageでのさらなる成長の鍵を握っています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「非資源事業へのシフト」と「製造・事業運営への踏み込み」という明確な方向性を理解しましょう。単に貿易に関わりたいという動機よりも、「商社のリソースを活用して特定事業のベストオーナーとなり、その価値を最大化させたい」という姿勢を示すことが有効です。特に、新規連結された電池部材や省エネサービスなど、成長領域での具体案を盛り込むと、企業のニーズに合致しやすくなります。

Q&A

面接での逆質問例

・「中期経営計画2026の後半に向けた新規投資の積み上げにおいて、中途採用者に最も期待される専門スキルは何でしょうか?」
・「不芳事業の構造改革や撤退判断において、現場のリーダーにはどのような意思決定の権限が与えられていますか?」
・「オーストラリアの鉄道事業のように、オペレーションを自社で担う形態が増えていますが、現場への出向やハンズオンでの支援頻度はどの程度を想定されていますか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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部署によっては業務量に大きな差がある

部署によっては業務量に大きな差があり、特に営業部門の中でもエネルギー関連の部署は残業が多く、ワークライフバランスの確保が難しいと聞いています。全体として、部署によって働き方が大きく異なるため、自分のライフスタイルに合った部署を選ぶことが重要だと感じます。

(20代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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ユニークな事業展開が魅力的

再生可能エネルギーや次世代モビリティへの投資に加え、魚の養殖といったユニークな事業展開が魅力的です。特に、非資源分野への進出は新しい可能性を感じさせます。事業は成長を続けており、次のステージに進むための重要な局面に差し掛かっています。今後の展開に期待が持てる企業です。

(30代後半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 双日株式会社 2026年3月期 第3四半期 決算資料
  • 双日株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS会計基準〕(連結)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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