ANAの採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
国内航空会社で国際線、国内線ともに最大規模を誇るANA。1952年12月に設立され、国内線が主軸でしたが1986年国際線定期便の運航を開始。英国スカイトラックス社が運営する「エアライン・スター・ランキング」で日本の航空会社として初めて5つ星を獲得し、現在まで7年連続で受賞しています。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間中には、多くの訪日外国人旅客の利用により、更に大きなビジネスチャンスが期待されているANAですが、社員の口コミでも「空港には国内外から多様なお客様がいらっしゃる為、その色々な場面に遭遇でき、お客様の素敵な思い出に関わる事が出来る点が魅力」「様々な職種の人たちが安全に飛行機を飛ばすという一つの目標に向かって真摯に向き合い取り組んでいる」と、安全を第一に、部門を越えた仲間とともに国際的な仕事に従事できる点が社員のやりがいにつながっています。
ANAグループの経営理念「あんしん・あったか・あかるく元気」という言葉のように、社員からも、「温かな真心を持っている人材が多い」「オフィスではフライト前後の乗務員に対して『いってらっしゃい』『おかえりなさい』という声が日常的に飛び交っていて社員同士の距離が近い」と評されることが多いようです。
仕事の進める際の特徴として、「航空機の安全性に直結する仕事なので、疑問に思う点は曖昧なままにせず、自らの考えを正確かつ簡潔に伝えるスキルが必要」「どの部門も若いうちから重要な仕事を任せてもらえるのでやりがいがある」「顧客は海外の航空機メーカーが大半なので、高い英語力は必須。相手の国の文化を踏まえ高度な英語力だけでなく、異文化を受け入れ多様性を尊重できる事が大切」という口コミが多数寄せられており、グローバルな環境で自身の成長を実感しながらキャリアアップできる事が伺えます。一方で、「悪天候などによりフライトの遅延や着陸空港の変更など、突発的なトラブル対応に追われることもある。お客様からの叱責に気持ちが折れそうになったこともあった」との声も見られるため、諦めない強い精神力も要求されると言えるでしょう。
チームワークでグローバル競争にチャレンジし続け、努力と挑戦のDNAを継承していく。そんな社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
■選考は何次まで?
ANAの選考プロセスは、WEB適性検査、書類選考と3回の面接です。1次面接、2次面接は現場社員と人事によるもの、最終面接では役員と人事による面接が行われます。
募集職種は、グローバルスタッフ職(事務)、グローバルスタッフ職(技術)、客室乗務職、運航乗務職(自社養成パイロット)、エキスパートスタッフ職(障がい者採用)と5つの職種に分かれています。グローバルスタッフ職(事務)では、国内外の事業所を含めたジョブローテーションが前提となる「プロフェッショナルコース」と、空港オペレーション部門(全国の空港部門、旅客部門、客室センター、フライトオペレーションセンター等)からスタートする「ポテンシャルコース」があるため、募集職種の全体像を把握した上で、「なぜその職種に応募したのか」を説明できるようにしておきましょう。
■面接内容の傾向は?
面接内容には、「数あるエアライングループの中からお客様に選ばれ、世界をリードし続けるために、たゆまぬ努力と挑戦を続ける」という社風が大いに反映されています。「ANAに入って成し遂げたい事は?」「転職先として航空業界を選んだ軸とその理由は?」「これまでの最も困難を感じたこととそれをどう乗り越えたのか?」「5年後、当社でどうなっていたいか英語で話してみて」という質問が多く出され、グローバルエアラインであるANAという舞台で活躍できるか、どんなに辛い状況でもチャレンジ精神を持って仕事に取り組める人材かどうかを確認されるようです。
また、専門性やこれまでのキャリアに関する質問だけでなく、「あなたを色に例えると?」「最近、誰かに感謝をしたことは?」「集団で行動する時にリーダータイプかサポートタイプか?」という人柄を問う質問も多く見られます。この様に、自己分析や人間性を確認される質問もあり、面接官が納得するまで深く掘り下げられますので、過去の経験に基づいて、論理的に自分の言葉で話せるかという点についても評価されるようです。
ANAの面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
ANAの面接対策攻略法(面接対策)
■ANAの中期経営戦略を理解した上で自己分析をする
ANAの面接を受ける上では、中期経営戦略を理解しておくことが不可欠です。
中期経営戦略は以下の図のように「エアライン収益基盤の拡充と最適ポートフォリオの追求」「既存事業の選択・集中と新たな事業ドメインの創造」「オープンイノベーションとICT技術の活用」の3つで構成されています。
経営戦略の中に、「未就航エリアへの路線拡大を図るとともに、海外エアラインとの提携も進化させる」という項目がありますが、これに沿った現職での経験をもとにした具体的なエピソードを紹介する事で、より強いアピールになります。例えば、「異なる文化、言語を持つ人と論理的な思考を持ってコミュニケーションを取った」「グローバルな舞台で自分の主張を相手に伝え、成果を出した」「会社全体の収益と成長に貢献できるように構想力を持ち行動した」といった経験談を伝えることがポイントになります。
また、ANAは、2016年度に設立した顧客資産会社「エーエヌエーエックス」を中心に、エーエヌエーグループが有するデータ等を分析・活用することで、ペイメント事業やファイナンス事業にも注力しています。面接で、「これまで積み上げてきた自社のノウハウと最新技術との融合を図り、新事業において収益の拡大を実現した」「イノベーティブな環境のもとで挑戦した」といった経験を伝えることは大きなアピールにつながります。
その他に、「独創的な価値開発により新市場で新たな付加価値を提案した」というエピソードを通して、ICT技術を活用しドローン事業などを手掛け、超スマート社会の実現で新たな価値を創出することを掲げているANAに合致する人材であることをアピールしましょう。
■「なぜANAに転職したいのか」を語るための他社研究も忘れずに
ANAの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ全日本空輸か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、ANAという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●日本航空株式会社(JAL)
●スカイマーク株式会社
ANAの採用面接で実際に聞かれた質問内容
このようにANAの採用面接を受ける前には、行動指針に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「安全を基盤とし、グローバルな視点を持って、ひたむきに努力し枠を超えて挑戦する」という社風を意識して、チャレンジ精神やチームワークを持って新しい価値を生み出してきたエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
24歳男性/労務【結果:3次面接で不採用】
25歳女性/客室乗務員【結果:入社】
32歳男性/オペレーション【結果:2次面接で不採用】
23歳男性/整備部【結果:入社】
ANAの採用面接に向けて
全日本空輸の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「数あるエアライングループの中からお客様に選ばれ、世界をリードし続けるために、たゆまぬ努力と挑戦を続ける」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
●全日本空輸の中期経営戦略を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ全日本空輸か」に対する応えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするように心がけましょう。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
元客室乗務員の大学講師(キャリア講座担当)