問題発生の背景に「グループ各社」の問題
8月1日、会見に臨んだのは、株式会社セブン&アイ・ホールディングスの代表取締役副社長と同執行役員、株式会社セブン・ペイの取締役営業部長、そして株式会社セブン&アイ・ネットメディアの代表取締役社長の4人でした。
セブン&アイ・ネットメディアは、「セブン&アイグループのデジタル戦略を支えるシステム企画、デザイン、開発、運用」を事業とする会社です。企業サイトの実績紹介には、
- セブン&アイの総合ECサイト「オムニ7」アプリ
- 「セブン-イレブン」アプリ
- 「アカチャンホンポ」アプリ
- 「ロフト」アプリ
- 「ヨークマート」アプリ
- 「アリオ」アプリ
といった、セブン&アイグループのスマホアプリが並んでいます。
セブン&アイ・ネットメディアはセブン&アイHLDGS.グループのオムニチャネル推進をその使命とし、グループの力、IT・ネット・メディアの力を結集し、この実現に邁進していきます。
今回問題が発生した「7pay」は、このうち「セブン-イレブン」アプリ上に搭載されたサービス。セブン&アイHDは「本事案発生の原因」について、
- 7payに関わるシステム上の認証レベル
- 7payの開発体制
- 7payにおけるシステムリスク管理体制
の3つをあげており、(2)の開発体制については次のように現状認識を説明しています。
「7payのシステムの開発には、グループ各社が参加しておりましたが、システム全体の最適化を十分に検証できていなかった点が今回の事案を引き起こした原因の1つではないかと認識しており、この点について、今後、更なる検証が必要と考えております」
ネット上では「7payの開発会社はどこだ?」と詮索する声があがっていますが、社外のベンダーや開発会社を束ねるプロジェクトマネジメントの一翼を、セブン&アイ・ネットメディアが担っていた可能性が高いです。
なお、2015年にオムニチャンネル「omni7」がオープンした際、当時の担当役員は「チームITの考えで、NTTデータ、NEC、NRI、Oracleの4社のITベンダーのチームで開発し、成功した」と明かしています。
11月から始まった「セブン&アイ」のオムニチャネル戦略とは?
https://news.mynavi.jp/article/20151210-7andI/セブン&アイ・ホールディングスは11月1日、リアルとネットを融合したオムニチャネル「omni7」をオープンした。果たしてその狙いはどこにあり、何を目指しているのか? この点について12月9日、セブン&アイ・ホールディングス 取締役 執行役員 CIO 鈴木康弘氏が東京・品川のホテルで開催された「ORACLE CLOUD DAYS TOKYO」の中で講演し説明した。
社員数は多くないのに「大変離職率が高い」
企業口コミサイト「キャリコネ」には、セブン&アイ・ネットメディアの現役社員・OBOGによる書き込みが残されています。
プロジェクトマネージャーを務めていた30代男性は、他社からの転職組。会社の内情について「社員数200名前後と少ないにもかかわらず、月に2,3名は退職者が発生する印象で、大変離職率が高い」と明かしています。
なにより、社員(担当エンジニア/主任エンジニア/マネージャー)のレベルが低いため、企画から開発、運営の全てのフェーズにおいて、大手ベンダーに依存している状況。内製化を推進しているものの、全く成果が出ていない。経営層と社員間で理想と現実のギャップが大きく、社員全体のモチベーションが低い。(2018.6.28)
大手ベンダー以外にも、開発パートナー企業と契約してチームを編成しているようですが、「技術力とマネジメント力のなさから、信頼を得ていない印象」と明かします。
経営層、マネージャー層、エンジニア層、人事層、全てにおいてレベルアップが必要と感じました。(2018.6.28)
ここで指摘されている内容は、今回「本事案発生の原因」であげられた問題に通ずるものと言えるでしょう。なお、この書き込みを残した男性社員は、このような環境に嫌気が差したのが、せっかく転職してきたこの会社をすでに退社しています。
「社長がお飾り状態になっている」
同じくセブン&アイ・ネットメディアで働いていた30代の女性プログラマは、会社の経営陣に対して「小売の考えでECサイトの運営はできない」などと不満を抱き、退社を決めました。
ネットの世界のスピードの速さや、システムを作るのにどれだけのお金と時間と人が必要なのか、もっとちゃんと勉強して理解して欲しい。(2018.1.29)
今回の会見に同席した田口社長に対しても、「社長本人に自信がなさすぎて、お飾り状態になっている」と断じています。田口社長は、そごう・西武出身で、IT推進室長や西武百貨店の店長を務めていた人。キャリアとしては「デパートの人」というべきかもしれません。
企業サイトのインタビューでは、「座右の銘」に「万事研修」を挙げ、「自分を一言で表現すると?」との問いに「蝸牛(かたつむり)」と自称する方。取締役の中には外資系ベンダー出身者などがいますが、社長の存在感は薄かったようです。
セブン&アイ・ネットメディアはセブン&アイHLDGS.グループのオムニチャネル推進をその使命とし、グループの力、IT・ネット・メディアの力を結集し、この実現に邁進していきます。
なお、会見によると、今後は「セブン&アイ・ホールディングスにグループ横断的に情報セキュリティを統括管理する組織」を設置するとのこと。逆にいうと、これまではグループ全体のセキュリティを、ホールディングスで統括管理していなかったということになります。
セブン&アイグループのECサイトは、以前はメーカーなどから「amazonに対抗できる勢力」として大きな期待を集めていたこともあります。今回の大失敗を教訓に、ぜひ社内の体制を整え直して「災い転じて福となす」としてもらいたいものです。
株式会社セブン&アイ・ネットメディア(Seven & i Net Media Co., Ltd.)の評判・口コミ・評価
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