【19年3月期】業績好調の大成建設 2兆円を超える工事繰越高が安心材料

【19年3月期】業績好調の大成建設 2兆円を超える工事繰越高が安心材料

大手スーパーゼネコンの大成建設。ここ数期は増収となっていたものの、今年度のキャッシュフローは大幅マイナス、減益に転じました。しかし、独自路線で中長期計画のプロジェクトを打ち出し、ポスト五輪の仕事量も堅調とのこと。財務分析を基に、会社の現状と今後の課題について整理します。


損益計算書(PL):減益も過去2番目の高水準

大成建設の2019年3月期決算は増収減益となりました。売上高は1兆6509億円で前期比4.1%増。その一方で営業利益は1533億円で同15.7%減、営業利益率は9.3%で同2.2pt悪化しています。

営業利益率悪化の要因は売上原価の増加です。売上原価は1兆4094億円で前期比6.9%、905億円も増えています。売上総利益は2415億円と同9.4%減となり、粗利率も14.6%で同2.2pt悪化しています。

ただし粗利率の悪化は手持ち工事の施工が着実に進捗したことによるものです。営業利益の水準も前期比では減少していますが過去2番目の高水準となっており、問題とはいえないでしょう。

販売費及び一般管理費も881億円で前期比4.0%増えていますが、増加分は34億円で金額は大きくありません。

親会社株主に帰属する当期純利益は1126億円で、前期比11.2%減。この要因は前期の純利益が大きかった反動であり、前々期以前と比べるとかなり好調な水準といえるでしょう。

なお、2019年11月8日発表の第2四半期決算では、通期業績予想を以下のように上方修正しています。売上高は変わりませんが利益が増えています。

  • 売上高:1兆7400億円(修正なし)
  • 営業利益:1480億円→1530億円
  • 経常利益:1490億円→1560億円
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:1030億円→1090億円

修正の理由について会社は「国内建設市場が堅調に推移していることを受け、当社グループの業績も順調に進捗している」ためとしています。

セグメント分析:建築事業が利益の過半数

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