【平均年収963.5万円】大成建設の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

震災復興や東京オリンピック・パラリンピックに関連するインフラ整備、昨今の外国人観光客増加に伴うホテル建設、さらには都市の再開発事業によるタワーマンションや高層オフィスビル建設などによって、建設業界の業績はバブル時代を思い起こさせるほどの好調ぶりです。

中でも俗に「スーパーゼネコン」と呼ばれる大成建設、鹿島建設、清水建設、大林組のうち、清水建設を除いた3社の2017年4月～12月期の純利益は過去最高を更新しました。

しかし一方で、これらゼネコン大手4社によるリニア中央新幹線の工事を巡り、入札談合事件が2017年12月に発覚しています。

良いニュースと悪いニュースが交錯する中、ゼネコン大手4社の2018年3月期連結決算が2018年5月15日に出そろいました。4社のうち大成建設と鹿島建設の2社は増収増益、独占禁止法違反の罪で起訴された大林組と清水建設は、罰金などの納付を見込んで特別損失を計上したことにより、減益となりました。

スーパーゼネコンは平均年収が高いことでも知られており、4社ともに東洋経済オンライン「平均年収ランキング」トップ100に入っています。今回は、その中でも大成建設にスポットを当ててみていきます。

それでは、大成建設の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。

なぜこれほどまでに業界全体の平均給与が高いのでしょうか？　その理由を追ってみましょう。

建設業界全体の業績が好調なのは前述の通りですが、大成建設においても高速大師橋更新工事や東京国際空港国際線施設建設工事、銀座線銀座駅等の工事など官民ともに多くの受注に成功しています。

このように好調が続いていることもあって、大成建設では社員の賞与を増額しています。

大成建設が発表した2018年3月期の連結決算では、売上高は前期比6.6％増の1兆5854億9700万円、当期純利益は1267億8800万円で過去最高益を更新した前期に比べ、さらに40％増の大幅な伸びとなり「3年連続過去最高益」を更新しました。
この背景には、建設事業の売上高増加に伴って完成工事の総利益が増えたことがあります。

大成建設の平均年収は、ここ3年ほどで約70万円上昇しており、利益を社員の待遇に還元する仕組みが整っていることが高年収の理由の一つです。また社員の平均年齢が42.9歳と高いことに伴い、年収が高くなっているという見方もできます。

東日本大震災の復興特需が徐々に落ち着きを見せ始めています。さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピック後は、その反動による不動産需要の大きな低下がほぼ確実です。また少子高齢化が進行する昨今、すでに地方で見られる大型再開発事業の需要低下が都心部でも近い将来起こりえます。

また「労務費」や「資材費」といった建設コストの上昇も問題です。資材費については現在下落傾向にありますが、労務費については将来上がると見られています。建設業界はひと昔前に言われた、いわゆる3K（きつい・汚い・危険）のイメージが強く残り、就職先として若い人には人気のない業界です。

国土交通省の資料によると、2016年の建設業の年代別就業者は55歳以上が約34％、29歳以下が約11％と高齢化が進んでおり、労働力確保のためのコストが将来増えてくることが予測されます。

さらに今回の大手4社によるリニア中央新幹線談合事件に限らず、これまでにも多くの談合事件が報道されてきました。これらの報道による社会的信用の低下が、建設業への就職を考える場合には大きな懸念点となります。

国内需要の伸び悩みは、海外でのプロジェクトを増やすことでカバーできます。実際に大成建設は、2018年3月期のアナリスト説明会の質疑応答で、M&Aや他社とのアライアンスも視野に入れ、海外での事業展開に向けた意思を明言しています。

また将来の労働力不足に備えて、建設業界ではICT（情報通信技術）やAI、ロボティクスなど最新技術の導入が盛んです。そういったパラダイムシフトを間近で見られる楽しみがある今は、ある意味で就職・転職するのに絶好のタイミングと言えるでしょう。

さらに大成建設には、地図を変えてしまうようなビッグプロジェクトに関わることができる大きなやりがいや喜びがあります。