東京海上ホールディングスの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

東京海上ホールディングスの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

東京海上ホールディングスの2026年3月期2Q決算は、中間純利益が通期予想に対して75.4%と順調に進捗。政策株式の売却加速や米保険事業の買収など、余剰資本を成長投資へ回す攻めの姿勢が鮮明です。「なぜ今東京海上HDなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


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編集部が注目した重点ポイント

政策株式の売却を大幅に前倒しで実行する

2029年度末までの「政策株式ゼロ」に向けた取り組みを加速させています。2025年度上期だけで約5,800億円の売却を実行し、通期予想を年初計画から600億円引き上げ、6,600億円に上方修正しました。浮いた資本を成長投資へ回す姿勢が鮮明であり、財務基盤の健全化と事業拡大を同時に進める体制が整っています。

米国保険事業の買収でニッチ領域を強化する

2025年度中に、米国のIgnyte Insuranceのコレクタービークル(特定の車種愛好家向け)保険事業を約947億円で買収することを決定しました。これにより、収益性の高い専門領域での引受規模が約3倍に拡大します。北米を軸としたグローバルな専門人材の活躍フィールドが、さらに広がっていることが示唆されています。

IFRSへの完全移行で経営管理体制を刷新する

2025年度末より、会計基準を日本基準から国際財務報告基準(IFRS)へ移行します。これに伴い、保険負債の評価方法が経済価値ベースへ変更され、実力ベースの利益水準が大きく切り上がる見通しです。グローバル水準での透明性の高い経営管理が進むことで、国際的なキャリアを志向する人材にとって魅力的な環境へと変化しています。

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連結業績ハイライト

政策株式の売却益が利益を底上げ。通期純利益の予想に対する進捗は75%を超え、極めて好調な推移となっています。
2025年度第2四半期決算概要および通期業績予想

出典:2025年度 第2四半期決算概要及び通期業績予想 P.4

経常収益
4兆3,678億円
+0.6%
経常利益
8,802億円
-6.1%
中間純利益
6,868億円
-0.2%

2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、経常収益が4兆3,678億円と前年同期比でプラスを確保しました。利益面では、政策株式の売却加速により、売却益を含めた中間純利益は6,868億円と、前年同期並みの高水準を維持しています。独自の指標である「修正純利益(除く政策株式売却益)」においても、国内の料率改定効果や海外の好調な引受が牽引し、基調は引続き良好と判断されています。

親会社株主に帰属する中間純利益は6,868億円となり、通期予想の9,100億円に対する進捗率は75.4%に達しました。基準となる75%を上回っており、年度末に向けて業績は極めて順調に推移しています。

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事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

国内では収益構造の改革が結実し、海外では専門性を活かした引受拡大が利益を牽引する、攻防一体の事業ポートフォリオとなっています。
セグメント別利益の進捗状況

出典:2025年度 第2四半期決算概要及び通期業績予想 P.6

国内損害保険事業(東京海上日動)

事業内容: 自動車保険や火災保険を中心に、国内最大級のネットワークを持つグループの中核事業会社です。

業績推移: セグメント利益は6,010億円を計上。自動車・火災保険の料率・商品改定効果が着実に発現しています。

注目ポイント: 従来の「保険を売る」モデルから、料率の適正化や事故頻度の抑制を通じた収益構造の抜本改革が進んでいます。下期には自動車保険のレートアップ(+8.5%)も予定されており、収益改善を支えるデータ分析や商品開発の専門家が強く求められています。

注目職種: アクチュアリー(保険数理)、データサイエンティスト、法人営業(リスクコンサルティング)

国内生命保険事業(あんしん生命)

事業内容: 「あんしん生命」ブランドを展開し、医療保険や生存保障領域に強みを持つ生命保険事業です。

業績推移: セグメント利益は497億円。新商品発売に伴う販売拡大が続き、利益ベースで前年比大幅増益を達成。

注目ポイント: 2025年9月に発売した新商品が好調な滑り出しを見せています。リスクコントロール手法として再保険(ブロック出再)を戦略的に活用しており、財務的な柔軟性を持った攻めの営業展開が可能です。

注目職種: 商品開発(生保)、再保険実務、デジタルマーケティング

海外保険事業

事業内容: PHLY、DFG、TMHCCなどの有力拠点を通じ、北米・欧州・中南米等で損害保険・生命保険を展開。

業績推移: セグメント利益は2,244億円。主要拠点での好調な保険引受が利益の下支えとなっています。

注目ポイント: 北米を中心に「規律ある引受(アンダーライティング)」を徹底しています。キャピタル損の減少や適切なレート水準の確保により、安定的な利益成長を実現。グローバルな買収案件の管理や海外拠点との連携業務において、高い語学力と専門性を持つ人材のニーズが高まっています。

注目職種: 海外事業管理、アンダーライター(海外案件)、グローバル財務・法務

ソリューション・その他事業

事業内容: 資産運用、リスクコンサルティング、再保険事業など、保険周辺の多角的なソリューションを提供。

業績推移: セグメント利益は50億円。従来の「金融・その他」から名称変更し、提供価値の明確化を図っています。

注目ポイント: 単なる保険提供にとどまらない、顧客のリスク全体を最適化するコンサルティング能力の強化を急いでいます。グループ横断でのシナジー創出を担う、柔軟な発想力を持つ人材が期待されています。

注目職種: リスクコンサルタント、アセットマネージャー、経営企画

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今後の見通しと採用の注目点

政策株式の売却加速により、さらなる株主還元と成長投資の余力が生まれています。IFRS移行という歴史的な転換期も控えています。
今後の成長戦略と政策株式の売却状況

出典:2025年度 第2四半期決算概要及び通期業績予想 P.12

通期の業績予想については、親会社株主に帰属する当期純利益を9,100億円(対前期+13.8%)と見込んでいます。政策株式の売却予定額を6,600億円へ上方修正したことで、余剰資本を用いた「規律ある資本政策」がさらに推進されます。また、2025年度の1株当たり配当金(DPS)は、年初計画比+1円増配の211円となる予定で、14期連続の増配を実現する見通しです。

将来の成長ドライバーとして、北米におけるボルトオンM&A(既存事業を補完する買収)の継続的な実施が挙げられます。米国でのIgnyte Insurance買収はその象徴的な一手であり、今後もグローバル規模での組織統合やPMI(買収後の統合プロセス)を担える高度な実務人材の需要は極めて高い状態が続きます。また、IFRS移行に伴う高度な財務・会計知識を持つプロフェッショナルにとっても、キャリアを飛躍させる大きな機会となっています。

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求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「政策株式ゼロ」や「IFRS移行」といった、同社が今まさに直面している構造的変革に注目しましょう。既存の国内損保ビジネスの維持にとどまらず、浮いた資本を積極的に海外の「ニッチ・高収益領域」へ投資するダイナミズムを、自身のキャリアプランと結びつけることが有効です。特に「グローバルな専門性」を軸にした貢献を強調すると、現在の戦略的ニーズに合致しやすくなります。

Q&A

面接での逆質問例

「政策株式の売却加速により創出される資本は、今後具体的にどのような成長投資に優先配分される予定ですか?」「IFRSへの移行後、現場の業績管理や評価指標(KPI)にはどのような変化が予想されますか?」など、将来の経営の在り方に関わる質問が推奨されます。また、「Ignyte社の買収のように、ボルトオンM&Aが続く中で、現場のPMIにおいて中途入社者に期待される役割は何ですか?」といった、実務に踏み込んだ質問も効果的です。

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転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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福利厚生は抜群

福利厚生は抜群。社内の保養制度などは多くの社員が利用している。他の金融機関とくらべても、優れているように思う。社内のサークルイベントも数多くある。サークル内では、普段一緒に仕事をしない部署の人とも交流があり、顔が広くなる。

(20代前半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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物事の意思決定が遅い

大企業なので安定性、ブランド力はありますが、物事の意思決定が遅いと思います。

(20代後半・営業事務・管理事務・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
  • 2025年度 第2四半期決算概要及び通期業績予想

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。

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