ソニーグループの進化:総合電機メーカーからグローバルコングロマリットへ
セグメント名 (略号) |
主な事業内容 | 売上高 (億円) |
売上比率 | 営業利益 (億円) |
利益比率 |
---|---|---|---|---|---|
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS) | プレイステーション事業(ハード・ソフト・ネットワークサービス) | 43,000 | 約33% | 4,800 | 約34% |
音楽(Music) | 音楽制作・音楽出版・配信プラットフォーム | 18,500 | 約14% | 3,550 | 約25% |
映画(Pictures) | 映画配給・TV番組制作・メディアネットワーク | 15,000 | 約12% | 1,250 | 約9% |
エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S) | テレビ・オーディオ・カメラ等の家電電子機器 | 22,800 | 約17% | 1,800 | 約13% |
イメージング&センシングソリューション(I&SS) | CMOSイメージセンサー等の半導体 | 19,600 | 約15% | 2,800 | 約19% |
金融サービス(Financial Services) | 生命保険・損保・銀行 | 13,000 | 約9% | 1,700 | 約12% |
※2025年3月期(FY2024)実績、同年度営業利益比率目安(報道・会社資料・決算書より編集部集計)
ソニーグループ株式会社の平均年収は1,113万円
ソニーグループ株式会社(持株会社・単体)の最新の平均年収は1,118万円(2025年3月期)です。直近数年間も右肩上がりの傾向が続いており、2024年3月期は1,113万円でした。
■ソニーの平均年収推移
決算期 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) |
---|---|---|---|---|
2025年3月期 | 1,118万円 | 42.5歳 | 15.8年 | 2,212人 |
2024年3月期 | 1,113万円 | 42.4歳 | 15.8年 | 2,109人 |
2023年3月期 | 1,101万円 | 42.4歳 | 16.4年 | 2,445人 |
2022年3月期 | 1,084万円 | 42.6歳 | 16.7年 | 2,839人 |
2021年3月期 | 1,044万円 | 42.2歳 | 16.5年 | 2,973人 |
出典:ソニー・有価証券報告書
ソニーグループ株式会社は、上場大手企業の中で高い給与水準を誇る企業のひとつです。なお、上記のデータはソニーグループ株式会社(持株会社)単体の年収データです。グループ全体の給与水準を必ずしも反映するものではありません。
従業員数(単体)は再編後、2,200人前後で推移しています。
なお、2021年4月のグループ組織再編により、従来のソニー株式会社は「ソニーグループ株式会社(持株会社)」へと商号変更し、本体は経営管理やグループ監督などの本社機能に特化しました。
一方、エレクトロニクス(家電・AV機器)、半導体(イメージセンサー)、ゲーム(PlayStation)、音楽、映画、金融サービスといった各事業は、それぞれ独立した事業子会社としてグループ傘下に分社化されました。
この結果、持株会社本体(ソニーグループ株式会社)に所属する従業員は主に経営企画・財務・監査・コーポレート・ガバナンス部門等に限定され、単体の従業員数が再編後2,200人前後で安定して推移するようになったという背景があります。
ソニーグループ株式会社の年代別平均年収・年収中央値
■最新データに基づく年齢層別の年収実態
ソニーグループ株式会社(持株会社)単体における年代別の平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値は、以下の通りとなります。
- 平均年収・年収中央値ともに着実な伸びがみられ、2022年と比べても各年代で+1〜2%の上昇が続いています。
- 管理職比率が高まる40代以降は年収の分布幅が広がるため、中央値と平均値に乖離がみられます。
- 一般職層の中央値としても800万円台後半〜1,000万円台前半(30〜40代)は業界内で非常に高い水準です。
- ボーナスは一般的に月収の3.5~4.0ヶ月分が目安となります。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 670万円 | 44万円 | 118万円 | 600万円 |
30代 | 930万円 | 60万円 | 165万円 | 835万円 |
40代 | 1,150万円 | 74万円 | 205万円 | 1,040万円 |
50代 | 1,370万円 | 87万円 | 240万円 | 1,230万円 |
※有価証券報告書、キャリコネ口コミ、各種統計等を元に、編集部で独自に算出
ソニーグループ株式会社と競合他社の平均年収を比較
ソニーの競合や同業界である日立製作所、三菱電機、日本電気、パナソニック、シャープの6社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、ソニーが1084.5万円、日立製作所が896.9万円、三菱電機が806.7万円、日本電気が814.4万円、パナソニックが758.6万円、シャープが736.9万円です。
この6社の中で最高額はソニーの1084.5万円で、最低額がシャープの736.9万円。その差はおよそ348万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではソニーは1番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) |
---|---|---|---|---|
ソニー | 1084.5万円 | 42.6歳 | 16.7年 | 2839人 |
日立製作所 | 896.9万円 | 42.7歳 | 19.3年 | 29485人 |
日本電気 | 814.4万円 | 43.6歳 | 18.5年 | 21350人 |
三菱電機 | 806.7万円 | 41.1歳 | 16.9年 | 36700人 |
パナソニック | 758.6万円 | 45.7歳 | 22.5年 | 55088人 |
シャープ | 736.9万円 | 45.5歳 | 22.7年 | 5674人 |
ソニーの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
では一体、ソニーはなぜ業界内でも群を抜いて年収が高いのでしょうか? 理由を探っていきましょう。
ソニーグループ株式会社の年収が高い理由
■成長戦略に欠かせない人材流出を防ぐ
年収が高い理由の一つは、厳しい人材獲得競争です。
中国の通信機器メーカーである華為技術(ファーウェイ)は、新卒技術者の初任給40万円で採用する方針を固め、新卒の「青田買い」をしようと積極的な姿勢を見せています。また東芝やシャープなど、電機メーカー大手が経営機器に直面している最中、理科系の学生の間では、実力次第で高額給与が望める外資系企業の人気が上昇しているのです。
ソニーはこのような動向の中で、成長戦略の中枢となるIoT(モノのインターネット)AI(人工知能)などの開発をするIT人材の確保を行うべく、新卒採用を33%増加させる方針であると表明しています。
また中堅人材の流出を食い止めるため、過去最高額の年間一時金6.9か月分とあわせて、年収ベースで約5%の賃上げに踏み切りました。AIなど先端技術の開発競争に勝ち抜くためには、月額の基本給に当たるベース給も引き上げる必要があると判断したことになります。
今春の労使交渉では、月収ベースで3%以上の賃上げをすると答えた企業は、わずか22.2%だったことが日本経済新聞の3月14日の調査でわかりました。電機大手メーカーの年収の増加率が2~3%代のなか、ソニーは過去最高益の好業績を反映し5%もの賃上げを実現したのです。
ソニーグループ株式会社の給与制度
■エンジニア職にも嬉しいジョブグレード制度を導入
ソニーでは、2015年からジョブグレード制度を導入し、役職ではなく役割で見ています。それまでは年功序列の要素が残ることが課題でしたが、新制度では年功序列の要素を完全に廃し、「役割」にのみ着目して評価をする仕組みとなりました。
社員は、プロフェッショナルとして貢献するグレード「I(インディビジュアルコントリビューター等級群)」と、管理職として貢献するグレード「M(マネジメント等級群)」の2つの道が用意され、個人のグレードに合わせて給与が支払われます。
新入社員は全員が「I」に属しますが、等級I5から昇格する段階で、等級I6と等級M6のどちらかに分かれます。旧制度では、管理職にならなければ給与が上がらなかったため、技術を究めたいエンジニアには不評でしたが、この制度にしたことで等級I6以上の上級専門職を目指すことができる道を開いたのです。
ソニー社員の給与明細(キャリコネ)
30代に入ると、さらにアップ!
20代・経理(非管理職)の 給与明細
30代・経理(非管理職)の 給与明細
ボーナスの有無の差は想像以上!
20代・営業管理・賞与なし(非管理職)の 給与明細
20代・営業管理・賞与あり(非管理職)の 給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
ソニーグループ株式会社の見落としがちな留意点、課題は?
前期では過去最高益をたたき出したソニーですが、通算純損益でマイナス4237億円の赤字が消えていないことは、懸念材料の一つです。東洋経済オンラインに掲載された「過去10年で結局赤字だった440社ランキング」では、ソニーは5位という結果でした。
自己資本率においては、ソニーはここ数年14%~15%の低い水準を維持しています。一般的に、自己資本率は高いほど倒産の心配が少なく、経営は安定していると言われています。純資産は負債とは異なり、返済義務がないためです。しかし自己資本率が38.0%の日立製作所と比較すると、ソニーは大きく見劣りしていることがわかります。
ソニーグループ株式会社には年収以外にメリットはある?
ここまでソニーの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
赤字が残っているという不安要素はあるものの、業界内でも抜群の高水準の給与であることは間違いありません。人材投資に力を注ぐ姿勢は、同業他社との今後の明暗を分ける可能性が大いにあります。
電機事業以外のソニーの屋台骨であるゲームや音楽事業は、事業と技術との垣根を越えた挑戦が予想されています。あるアナリストは「ゲームや音楽はソニー独自の武器だ。」と高い評価をしています。また前社長である平井氏は、現在のソニーを「感動企業」と銘打っており、それぞれの事業で期待ができます。
ソニーは、その企業規模や報酬のいずれをとっても、就職者・転職者のキャリアとして申し分ない企業です。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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ソニーグループ株式会社は、グローバルコングロマリット(複合企業体)のソニーグループの持株会社です。かつては「六大総合電機メーカー」の一角として、テレビやオーディオ、半導体などエレクトロニクス分野を主軸に事業を展開してきました。
しかし、2021年の持株会社制への移行を契機に経営構造を大きく転換し、現在では【6つの主要セグメント】を軸に、多岐にわたる事業会社を傘下に持つ世界的なコングロマリットへ進化しています。
ソニーグループの最新事業セグメント(2025年3月期)