0 編集部が注目した重点ポイント
① 欧州拠点の新設で海外事業をさらに拡大する
当第2四半期より、オランダにGlico Europe B.V.を新たに設立し、グループ会社として追加しました。欧州市場への本格的な進出と事業基盤の構築を目的とした構造的変化であり、グローバル展開を加速させる重要なマイルストーンです。これにより、海外事業におけるキャリア機会がさらに拡大する可能性があります。
② チルド商品の出荷回復で売上高が成長する
前年に発生したシステムトラブルによるチルド商品の出荷停止影響から脱し、当第3四半期の売上高は前年同期比9.8%の増収を記録しました。特に乳業事業では「カフェオーレ」や「プッチンプリン」の出荷が戻り、大幅な回復を見せています。主力ブランドの市場競争力を改めて証明する形となりました。
③ 「アーモンド効果」が健康カテゴリーを牽引する
健康・食品事業において、主力ブランドの「アーモンド効果」が好調を維持し、増収を達成しています。植物性プロテインを配合した新商品の発売など、付加価値の高い商品開発が成果を上げています。健康志向の高まりを背景に、単なる嗜好品に留まらない「おいしさと健康」の価値提供が同社の成長ドライバーとなっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 上期 決算説明会資料 P.5
売上高
2,647億円
(前年比 +9.8%)
営業利益
90億円
(前年比 ▲28.8%)
経常利益
108億円
(前年比 ▲29.1%)
当第3四半期累計の業績は、売上高が2,647億円と前年を大きく上回りました。これは、前期に発生したシステムトラブルに伴うチルド商品の出荷停止影響が解消されたことや、海外事業、特に中国での好調が寄与したためです。一方で、営業利益は90億円に留まりました。主な要因は、原材料価格の高騰に加え、システム関連費用や万博関連コストの増加、さらに国内での高収益商品であるアイスクリームの不振が響いたためです。
通期業績予想に対する営業利益の進捗率は82.0%に達しており、期初計画からは下方修正されているものの、現在の修正計画に対しては実績の積み上がりは順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 上期 決算説明会資料 P.8
健康・食品事業
事業内容:「アーモンド効果」や「SUNAO」、パピコ、アイスの実などのアイスクリーム製品、レトルト食品(DONBURI亭など)を展開。
業績推移:売上高は369億円と微増(前年比+0.3%)。利益面では原材料高とアイスの不振により、3億円の営業損失を計上。
注目ポイント:「アーモンド効果」が植物性ミルク市場で圧倒的シェアを誇り、「健康価値」を付加した商品群へのシフトが急務です。健康志向の強い消費者へアプローチするための、マーケティングやR&D(研究開発)における専門性が強く求められています。
乳業事業
事業内容:BifiXヨーグルト、カフェオーレ、プッチンプリンなどの乳製品、飲料、デザートの製造販売を担当。
業績推移:売上高は502億円と前年比20.0%の大幅増収。出荷停止の反動で売上は急回復するも、利益は46億円の損失。
注目ポイント:供給体制の正常化が進んでおり、失ったシェアの奪還が最大の課題です。顧客起点のバリューチェーン再構築を掲げており、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用したサプライチェーンの高度化を担える人材が不可欠です。
栄養菓子事業
事業内容:ポッキー、ビスコ、プリッツ、カプリコなどの主力菓子ブランドを国内外に展開する中核事業。
業績推移:売上高は442億円(前年比+2.2%)と堅調に推移。営業利益は22億円(前年比▲32.8%)と利益率は低下。
注目ポイント:発売92周年の「ビスコ」をリニューアルするなど、ロングセラーの現代化を推進中。喫食頻度の向上を目指したデータ分析に基づいた販促戦略の立案など、高度な分析スキルを持つマーケターの活躍の場が広がっています。
海外事業(中国・ASEAN・米国等)
事業内容:中国でのポッキー販売や、タイ・フィリピンでのアーモンドミルク展開、米国でのクラブパック販売等。
業績推移:売上高は648億円(前年比+10.1%)、営業利益は72億円(前年比+8.5%)と増収増益を達成。
注目ポイント:中国の1・2級都市での接点拡大や、欧州拠点の新設など、積極的なグローバル投資が継続されています。各地域の商習慣に精通し、現地法人と連携してクロスリージョナルでの事業成長を推進できる国際的な感覚を持つ人材が重要視されています。
食品原料事業・国内その他事業
事業内容:小麦たん白等の食品原料販売、Greenspoon(宅食事業)や受託販売、卸売販売子会社の運営。
業績推移:国内その他事業の売上高は585億円(前年比+17.3%)と大きく成長。子会社Greenspoonの連結化が寄与。
注目ポイント:Greenspoonの連結化に見られるように、新規事業・D2C領域の強化を推し進めています。既存のビジネスモデルに捉われない、柔軟な発想で事業成長をプロデュースできるリーダーシップが求められています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 上期 決算説明会資料 P.25
2025年度から2027年度を対象とする「新中期経営計画」では、売上高年成長率5〜10%、営業利益年成長率10〜15%という野心的な目標を掲げています。特にROE(自己資本利益率)6〜8%の達成を指標としており、事業別ROIC(投下資本利益率)の導入による収益管理の徹底を打ち出しています。
国内事業では、素材由来の健康価値(乳・カカオ・アーモンド)を起点としたバリューチェーンの再構築が急務です。海外事業では、今回新設された欧州拠点を含め、クロスリージョナルブランドの育成に向けた投資を継続します。また、米国拠点においては、追加関税の影響によるコストアップリスクを認識しており、生産性の向上や価格改定などの柔軟な対応が必要です。経営体制として、「おいしさと健康」の価値をグローバルに広げるための価値創造案件の増加を主眼に置いており、これまでの食品メーカーの枠を超えた挑戦が期待されています。
4 求職者へのアドバイス
同社は、システムトラブルからの「完全復旧」を超えた、デジタル・AIを活用した「ビジネスモデルの進化」を加速させています。単に商品を売るだけでなく、パーパスである「すこやかな毎日、ゆたかな人生」に基づいた「健康価値の提供」をどのようにグローバルへ波及させるか、という視点が志望動機に深みを与えます。特に、欧州拠点の新設やGreenspoonの連結化など、新規領域・市場への挑戦に自身の専門スキルがどう貢献できるかを具体化すると非常に説得力が高まります。
- 「新中期経営計画における事業別ROICの導入は、現場の意思決定や商品開発プロセスにどのような変化をもたらしていますか?」
- 「オランダのGlico Europe B.V.新設にあたり、日本本社から欧州市場へ向けて、どのような独自の価値を最も優先して伝えようと考えておられますか?」
- 「素材(乳・カカオ・アーモンド)を起点としたバリューチェーンの再構築において、中途採用者が持つべき最も重要な専門性やマインドセットは何だとお考えですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
コンプライアンスの徹底を非常に意識
コンプライアンスの徹底を非常に意識しているように感じる。不定期に法務部門からの研修も行われ、社員教育が行われている。
(30代前半・法人営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]管理職になるのが難しい
全社的に管理職になるのが非常に難しく、45歳以上の非管理職の割合が非常に高いです。実力があってもなかなか昇格できません。
(40代前半・管理関連職・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年12月期 上期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。