0 編集部が注目した重点ポイント
① 音響機器事業へ「モビリティソリューション」を統合し組織を刷新する
2025年4月1日付の組織改正により、従来「その他」に含まれていた電子デバイス事業部が音響事業本部に編入され、「モビリティソリューション事業部」として再編されました。音響技術のシナジーを車載分野で最大化させる狙いがあり、デバイス開発と音響設計の融合による新たなキャリア機会が拡大しています。
② インド・フィリピン等の重点市場で売上成長を加速させる
新興国での音楽教育普及とマーケティング強化が実を結び、インドで3年間平均成長率+13%、フィリピンで同+48%という高い伸びを記録しています。2025年6月にはバンガロールに音響機器のエクスペリエンスセンターを開設するなど、グローバル展開を担う人材の重要性が一段と高まっています。
③ 150億円規模の自己株式取得により資本効率と株主還元を強化する
2025年11月4日の取締役会にて、総額150億円(2,000万株)を上限とする自己株式取得を決議しました。取得した株式はすべて消却する予定であり、ROE(自己資本利益率)5.1%からの改善を目指す姿勢を鮮明にしています。経営基盤の安定と資本効率の向上を同時に進めるフェーズにあります。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明会 P.4
売上収益
2,164億円
(前年同期比 -5.2%)
事業利益
128億円
(前年同期比 -37.4%)
中間利益
98億円
(前年同期比 +85.4%)
※事業利益:売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した、日本基準の営業利益に相当する指標。
2026年3月期第2四半期累計期間は、中国市場の低迷や欧州の回復遅れ、さらに前年に高水準だったプロフェッショナル音響機器の需要が一服したことで、売上収益・事業利益ともに前年を下回りました。一方で、中間利益が大幅に増加しているのは、主に金融収益の改善や法人税費用の調整によるものです。米国での追加関税影響(約52億円のマイナス要因)もありましたが、構造改革によるコスト削減(12億円)などで補う努力が続けられています。
通期予想については、期初想定よりも為替が円安に推移していることや下期の復調を見込み、売上収益を4,580億円(前回比+60億円)、事業利益を330億円(前回比+10億円)へと上方修正しました。通期利益目標に対する進捗率は、事業利益ベースで約39%に留まりますが、季節性の高い第3・第4四半期での挽回を計画しており、「概ね順調」な回復軌道にあると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明会 P.6
楽器事業
事業内容:ピアノ、電子楽器、管弦打楽器、ギター等の製造販売。世界シェアトップクラスの製品を多数保有。
業績推移:売上収益1,404億円(前年同期比 -3.3%)。中国・欧州でのピアノ販売減が響くも、ギターや管楽器は堅調を維持。
注目ポイント:伝統的なアコースティック技術と最新のデジタル技術を融合させた「ハイブリッドピアノ」や、日本での好調が続く管楽器部門が成長の核です。中国市場の低迷という逆風に対し、地域ミックスの最適化や高付加価値モデルへのシフトを推進できるマーケティング・企画人材が求められています。
音響機器事業
事業内容:業務用音響機器、ホームオーディオ、ICT機器、および新たに統合された車載用音響機器の開発・販売。
業績推移:売上収益677億円(前年同期比 -9.5%)。(注:当期よりモビリティ事業を統合した組替後の数値)
注目ポイント:プロ用音響の欧米需要は一服しましたが、モビリティ音響機器が日本国内で売上倍増するなど、車載向けビジネスが新たな収益源として急浮上しています。自動運転時代の車内空間デザインにおいて「音」の重要性が増しており、自動車業界との協業経験を持つエンジニアには大きな活躍の場が用意されています。
その他の事業
事業内容:自動車用内装部品、FA(ファクトリーオートメーション)機器、ゴルフ用品、リゾート事業など。
業績推移:売上収益83億円(前年同期比 +2.4%)。自動車用内装部品の好調が継続し、増収を達成。
注目ポイント:木工技術を活かした高級車向け内装部品が安定した収益基盤となっています。また、FA機器事業の復調も見込まれており、製造現場の自動化ニーズに応える技術職や、多角的な事業ポートフォリオを管理できる管理部門の人材にとって、技術の幅を広げる機会が豊富です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明会 P.25
今後の成長戦略として、同社は「強固な事業基盤の再構築」を最優先事項に掲げています。特に注目すべきは、インドネシアやベトナムでの音楽教育を通じたファンづくりです。現地の教育機関と連携し、リコーダーやキーボードを用いた教育プログラムを展開することで、将来的な楽器需要を創出する中長期的な施策が加速しています。
また、環境負荷低減の取り組みとして、管楽器のエントリーモデルでの梱包デザイン刷新が「Pentawards 2025」で金賞を受賞するなど、サステナビリティを商品価値に転換する動きも顕著です。質疑応答では、英国での再販売価格維持行為に係る集団訴訟のリスクについても言及されていますが、現時点では「財務上の影響を信頼性をもって見積ることができない」としており、法務・コンプライアンス体制の強化も重要な経営課題となっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
ヤマハは現在、単なる楽器メーカーから「音・音楽を原点に新たな価値を創出する企業」への変革期にあります。特に「モビリティ音響」や「ICT機器」といった成長領域への注力、そしてインドや東南アジアといった新興国市場での圧倒的なシェア獲得に意欲的です。「自身の専門性を、感性と技術が融合するグローバルな舞台で試したい」「音楽文化の裾野を広げながら、新たなビジネスモデルを構築したい」という想いは、現在の経営戦略と強く合致するでしょう。
面接での逆質問例
- 「モビリティソリューション事業部の再編により、開発プロセスや他部署との連携において具体的にどのようなシナジーを期待されていますか?」
- 「インドやフィリピンでの急成長を維持するために、現地法人の採用やガバナンスにおいて今最も求めている人材像を教えてください。」
- 「中期経営計画『Make Waves 2.0』から続く構造改革の中で、現場レベルで最も大きく変化した価値観や仕事の進め方は何ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
趣味を仕事にできる環境は理想的
自分が手掛けた楽器が、憧れのアーティストに使われる瞬間は、何にも代えがたい喜びです。音楽に情熱を持つ人にとって、趣味を仕事にできる環境は理想的です。
(30代前半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]安定性に欠ける部分があります
勤務時間は午後から夜にかけてが中心で、子育て中の方には少し厳しいかもしれません。給与は生徒数に応じた歩合制で、安定性に欠ける部分があります。
(30代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。