0 編集部が注目した重点ポイント
① 二輪車事業はアジアで伸長し単独増収増益を達成する
コア事業であるMC(二輪車)事業が、2025年第3四半期単独において増収増益を達成しました。特にインドネシア、タイ、フィリピンといったアセアン市場での出荷が需要を上回るペースで好調に推移しています。新興国市場における強固な販売網と製品力が、グループ全体の収益基盤を支える重要な役割を担っています。
② 独Brose社の事業買収によりSPV事業の規模を拡大する
2025年3月に新会社Yamaha Motor eBike Systemsを設立し、独自動車部品メーカーBrose社のe-Kit事業を買収しました。この構造的変化により、欧州での開発・サービス体制が大幅に強化されています。電動アシスト自転車(SPV)事業を戦略事業と位置付け、独自の競争優位性を確立するためのキャリア機会が拡大しています。
③ 事業再編に伴う減損損失計上により営業利益は減少する
2025年1月より新設されたOLV(アウトドアランドビークル)事業において、米国市場の需要停滞や関税影響、さらに固定資産の減損損失を計上したことで、連結営業利益は前年比56%の1,124億円に留まりました。現在、不採算領域の適正化とコスト管理を徹底する構造改革のプロセスにあり、組織の若返りや変革が求められています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料 P.4
2025年第3四半期累計の売上収益は、マリン事業のウォータービークルやOLV事業の販売減少により、前年同期比で減収となりました。利益面では、成長に向けた研究開発費の増加に加え、OLV事業での減損損失や米国における関税のマイナス影響が大きく響き、大幅な減益を余儀なくされています。
一方で、第2四半期に公表された通期修正予想(営業利益1,200億円)に対する進捗率は93.7%に達しており、期末に向けて順調な推移を見せています。厳しい外部環境下でも、コア事業の収益力とコスト管理の徹底により、修正後の目標達成は確実視されています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料 P.10
ランドモビリティ事業(MC・SPV)
事業内容:二輪車、電動アシスト自転車(e-Bike)、ドライブユニット(e-Kit)の開発・製造・販売。
業績推移:売上収益1兆2,280億円(前年比99%)。MC事業の3Q単独増益が寄与するも、通期では微減収減益。
注目ポイント:2025年より「MC事業」へ名称変更し、グローバルブランドの統一を推進。SPV事業では独Brose社のe-Kit事業を統合プロセスにあり、欧州市場でのシナジー創出に向けた開発・企画人材のニーズが高まっています。※e-Kit事業は2025年8月より連結開始。
マリン事業
事業内容:船外機、ウォータービークル(WV)、ボート等の開発・販売。
業績推移:売上収益3,993億円(前年比96%)。船外機の欧米出荷は堅調も、WVの需要減により減収減益。
注目ポイント:「マリン版CASE」戦略のもと、電動推進機メーカーのTorqeedo社買収(2024年)に続き、環境技術の社会実装を加速。高付加価値な大型船外機へのシフトとカーボンニュートラル対応を両立させる高度な技術人材が活躍できるフィールドです。
アウトドアランドビークル(OLV)事業
事業内容:四輪バギー(ATV)、ROV、ゴルフカー等のオフロードモビリティ。
業績推移:売上収益1,114億円(前年比81%)。販売減少と減損損失により、263億円の営業赤字。
注目ポイント:2025年1月よりRV事業とゴルフカー事業を統合し、新設されたセグメントです。北米拠点の集約とシナジー創出による再生フェーズにあり、事業構造の再構築をリードできる経営管理や物流・SCMのスペシャリストの重要性が増しています。
ロボティクス事業
事業内容:表面実装機(サーフェスマウンター)、半導体製造後工程装置、産業用ロボット。
業績推移:売上収益759億円(前年比98%)。マウンターの減少を半導体装置の増加で補うも、営業損失が継続。
注目ポイント:生成AIや先端パッケージ向けの需要が伸長しており、半導体製造後工程装置の販売が増加しています。農業自動化のRobotics Plus社を2025年4月に子会社化するなど、非モビリティ領域での新価値創造に向けたAI・ロボティクス技術の融合が進んでいます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料 P.4 下部
通期の業績予想は第2四半期発表の数値を据え置いていますが、世界的な政策動向や金融環境の変化、米国での関税影響など、依然として厳しい事業環境が続く見通しです。こうした中、同社はコア事業を軸とした戦略推進とコスト管理の徹底、さらに投資の「選択と集中」を進める方針を掲げています。
成長領域においては、「ジャパンモビリティショー2025」への出展に見られる通り、AI技術による自律成長モビリティ(MOTOROID:A)や水素エンジン搭載二輪車(H2 Buddy Porter Concept)など、次世代技術の社会実装に向けた開発投資を強化しています。特に独Brose社のe-Kit事業との統合によるシナジー創出は、今後の成長を占う重要マイルストーンとなります。再編中のOLV事業での「守り」と、SPV・ロボティクスでの「攻め」の双方で、変革をリードできる即戦力人材への期待が高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「Revs Your Heart」の精神のもと、モビリティの枠を超えた新価値創造への姿勢が鮮明です。特にBrose社の買収を通じたe-Bike領域での欧州開発拠点化や、Robotics Plus社による農業自動化など、自社の強みを他領域へ拡張するフェーズに惹かれていることを強調しましょう。「既存事業の安定」と「新領域への挑戦」のバランスが取れた組織で、自身の技術や知見をどう社会実装に繋げたいかを語るのが効果的です。
面接での逆質問例
・「独Brose社のe-Kit事業統合において、日本とドイツの拠点間でのシナジーを最大化するために、現場レベルで現在直面している課題は何でしょうか?」
・「OLV事業の統合・再編プロセスにおいて、現場の組織文化や意思決定スピードにどのような変化が生じていると感じられますか?」
・「生成AIやロボティクス技術の社会実装において、非モビリティ領域(農業等)が占めるグループ内の将来的な重要度はどのように推移すると予測されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
努力が報われる環境が整いつつある
業務を進める上で、論理的な思考力が自然と養われます。特に、コミュニケーションを重視する文化が根付いており、チームワークを通じてプロジェクトを成功に導く経験が積めます。キャリア面では、若手の登用が進んでおり、努力が報われる環境が整いつつあります。全体として、長く働きたいと思える職場環境が整っていると感じています。
(40代前半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]技術を活かしきれていない部分がある
会社の強みである技術を活かしきれていない部分があり、今後の成長戦略が少し不安です。新しい事業に注力するのは良いですが、既存の強みをどう活かすかも考えてほしいところです。
(30代後半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- ヤマハ発動機株式会社 2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料
- ヤマハ発動機株式会社 2025年12月期 第3四半期 決算短信〔IFRS〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。