0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期業績予想を上方修正し増収増益を見込む
2025年度上期の堅調な実績と最新の需要動向を踏まえ、通期の連結業績予想を上方修正しました。売上高は過去最高であった2022年度以来の8,000億円超えとなる8,188億円を見込み、営業利益も前年比で10.7%増の成長を計画しています。工場の稼働率上昇による利益率の改善も大きなポジティブ要因です。
② フィジカル AIの適用で自動化の敷居を下げる
生成AIやフィジカル AI(現実世界で動作するAI)の活用を加速させています。センシング技術とAIを組み合わせることで、ロボットが周囲の環境に応じて自律的に動く「ティーチレス(教示作業の不要化)」や、安全柵なしで導入できる協働ロボットを展開し、人手不足が深刻な製造現場における自動化需要を強力に牽引しています。
③ 次世代CNCの刷新でデジタルツインを実現する
ハイエンド工作機械向けの最新CNCシステム「FANUC Series 500i-A」への刷新を進めています。デジタルツイン(仮想空間での再現)により、実加工前に高精度な検証が可能となり、試し削りなしで良品を生産できる環境を目指しています。技術的な差別化により、欧州などの高級機市場での搭載率向上を狙う戦略的なマイルストーンです。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 資料 P.2
売上高
4,076億円
前年同期比 +5.1%
営業利益
860億円
前年同期比 +13.7%
中間純利益
798億円
前年同期比 +14.2%
2025年度上期の売上高は4,076億円(前年同期比+5.1%)、営業利益は860億円(同+13.7%)と増収増益を達成しました。特に中国市場において、FA(ファクトリーオートメーション)部門が好調に推移し、ロボット部門もEV関連や一般産業向けが大きく伸びたことが収益を押し上げています。営業利益率は21.1%となり、前年同期から1.6ポイント改善しました。
最新の通期営業利益予想1,759億円に対し、上期終了時点での進捗率は48.9%となっており、進捗状況は概ね順調と言えます。下期に向けては米国関税や地政学リスクを注視しつつ、さらなる拡販と経費削減を推進する方針です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 資料 P.9
FA部門(ファクトリーオートメーション)
事業内容:工作機械の脳にあたるCNC(数値制御装置)やサーボモータの開発・販売。世界トップクラスのシェアを誇ります。
業績推移:売上高1,039億円(前年同期比+4.5%)。インドの旺盛な需要と中国の設備投資により増収を確保しました。
注目ポイント:次世代CNC「FANUC Series 500i-A」の本格展開が始まっています。デジタルツインによる「試し削りなしの一発良品生産」を目指しており、工作機械とIT技術を高度に融合できる制御エンジニアの重要性が飛躍的に高まっています。
ロボット部門
事業内容:加工、搬送、溶接など多用途に使用される産業用ロボット、および安全柵なしで使用可能な協働ロボットを提供。
業績推移:売上高1,726億円(前年同期比+5.8%)。中国でのEV・一般産業向けが好調で、売上構成比も42.3%へ上昇。
注目ポイント:フィジカル AIを軸とした「自動化の敷居を下げる」取り組みが加速しています。ティーチレスやビジョンセンサ活用により、これまで自動化が困難だった多品種生産現場への導入が進んでおり、AI技術の実装スキルを持つ人材が求められています。
ロボマシン部門
事業内容:小型切削加工機(ロボドリル)、電動射出成形機(ロボショット)、ワイヤ放電加工機(ロボカット)の開発・製造。
業績推移:売上高635億円(前年同期比+11.5%)。インドのIT関連市場での需要増が売上増加を牽引しました。
注目ポイント:最新機種「ROBODRILL D74CS」を欧州に初投入するなど、加工安定性と生産性の向上を追求。ロボマシンと協働ロボットを組み合わせた「実用的な自動化システム」の提案に注力しており、生産技術の知見を活かせる環境です。
サービス部門
事業内容:全世界の拠点を通じて、納入済み製品の生涯保守・メンテナンスサービスを提供。「サービスファースト」を掲げます。
業績推移:売上高676億円(前年同期比▲1.3%)。中国での一部減少があったものの、米州や国内は堅調を維持しています。
注目ポイント:ITを活用したCX(顧客体験)を重視し、グローバルでのサービス体制強化を推進しています。製品が使われ続ける限り提供される「生涯保守」は同社の強固な収益基盤であり、顧客の信頼を支える最前線の専門職として活躍の場が広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 資料 P.14
今後の市場環境について、米国では製造業の国内回帰の動きにより堅調な投資が続くと見込まれています。中国においてもEVやIT関連の自動化投資が比較的堅調に進む見通しです。国内は様子見感が強いものの、深刻な人手不足により自動ニーズは極めて高い状況にあります。
経営陣は質疑応答において、ヒト型ロボット(ヒューマノイド)についても言及しており、生産現場で求められる性能や信頼性に基づき、自社の要素技術を活かした開発を注視しているとのことです。また、懸念される米国関税の影響については、価格転嫁を進めつつも、現時点で全体への大きな影響は限定的と認識されています。今後は「自動化しなければ物を作ることができない」フェーズに入ると予測されており、AI・IoT技術による差別化を担う人材の採用が、長期的な競争力維持に直結するでしょう。
4 求職者へのアドバイス
同社は現在、ハードウェアの圧倒的な信頼性に加え、「知能化」を最重要課題に掲げています。フィジカル AIやデジタルツインといったキーワードを軸に、自身のIT・ソフトウェアスキルがどのように製造現場の「自動化の敷居を下げる」ことに貢献できるかを整理すると、強い志望動機になります。
「工作機械の圧倒的なシェアを活かし、CNCとロボットのシームレスな連携をどう進化させるのか?」や、「将来的なヒト型ロボットの展開において、どのような要素技術の革新を重視しているか?」といった、技術の融合と将来像に関する質問が、高い意欲を示すために有効です。
5 転職者が知っておきたい現場 of リアル
仕事は比較的やりたいようにできる
仕事は比較的やりたいようにできる。研究に必要であれば、予算もふんだんにある。施設、設備も必要十分にあるので、必要なもので手に入らないものは通常無い。
(40代前半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]仕事の内容的には決して高給ではない
給料だけでいえば、ここの会社は他の会社よりはいいが、基本給だけで見れば業界では決して高いほうではなく、むしろ低いほうである。残業で稼いでいるだけで、部署によっては残業が少ないところもあるので高給ではない場合もある。体に自信がある方にはよいかもしれない。
(20代前半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度 第2四半期 決算説明会 資料
- 2025年度 第2四半期 決算説明会(電話会議) 質疑応答要旨



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。