川崎重工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

川崎重工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

川崎重工業の2026年3月期2Q決算は、売上収益が過去最高を記録。防衛需要の拡大や水素サプライチェーンの商用化実証など、国家規模のプロジェクトが成長を牽引しています。「なぜ今、川崎重工なのか?」、転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのかを整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

防衛省向け事業の強化で利益基盤を拡大する

抜本的な防衛力強化という政府方針を追い風に、防衛航空機やヘリコプタ、潜水艦などの需要が増加しています。2025年度第2四半期において、防衛省向けの受注高は前年同期比+608億円と大きく伸長しました。特に下期に売上が偏る特性があるため、今後の業績貢献が期待されており、高度な技術力を活かしたキャリア機会が広がっています。

二輪事業の資本提携で成長投資を加速させる

2025年4月にパワースポーツ&エンジン(PS&E)事業を担うカワサキモータース(株)の株式20%を伊藤忠商事(株)へ譲渡しました。これにより非支配持分が増加し、パートナーとの連携を強化しています。この構造的変化により、米国市場でのシェア拡大や脱炭素・電動化対応への開発投資を効率化し、次世代製品の開発に関わるエンジニアの活躍の場が創出されています。

液化水素サプライチェーンの商用実証を開始する

2030年度までの商用化を見据え、世界初となる商用規模の地上式液化水素貯蔵タンクの製作を播磨工場で開始しました。総額約3,000億円規模の国家プロジェクト(NEDOグリーンイノベーション基金事業)として推進されており、水素を「つくる・はこぶ・ためる・つかう」全工程の技術開発が進んでいます。新規事業開発やプラント設計などの専門職ニーズが高まっています。

1 連結業績ハイライト

売上収益は中間期として過去最高を記録。事業利益は為替やコスト要因で減益となるも、通期予想は据え置いています。
連結業績サマリー

出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.5

売上収益 9,962億円 (前年同期比 +12.7%)
事業利益 357億円 (前年同期比 △25.2%)
親会社所有者帰属利益 220億円 (前年同期比 +61.6%)

※事業利益 = 売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費 + 持分法による投資損益 + その他の収益及び費用(事業の経常的な業績を測る指標)

2025年度第2四半期の売上収益は、パワースポーツ&エンジン事業やエネルギーソリューション&マリン事業が牽引し、中間期過去最高を更新しました。一方、事業利益は円高による為替差損や米国関税コストの上昇、増産投資に伴う固定費増などにより、前年同期から120億円のマイナスとなりました。しかし、航空宇宙分野における防衛省向け製品の納入が下期に集中することや、民間機用エンジンの整備事業(MRO)の拡大が見込まれるため、強気の見通しを維持しています。

事業利益の通期予想(1,450億円)に対する第2四半期末の進捗率は24.6%となっており、基準値の75%を大きく下回り、進捗が遅れている状態です。ただし、会社側は航空宇宙システムを中心に、例年にも増して顕著な下期偏重の利益構成を想定しており、通期目標の達成に自信を見せています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

防衛・エネルギーの好調に加え、航空エンジン整備やロボットの回復など、全事業で専門人材のニーズが高まっています。
セグメント別業績

出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.6

航空宇宙システム

事業内容

防衛省向け航空機・ヘリコプタの開発・製造、ボーイング向け機体分担製造、民間航空エンジン(PW1100G-JM等)の製造・整備(MRO)。

業績推移

売上収益2,425億円(前年比+3.5%)。事業利益は101億円(前年比△60%)となるも、下期に防衛省向け売上が偏重する計画です。

注目ポイント

防衛力強化に向けた予算増を受け、無人アセットやミサイル防衛などの新領域が拡大。民間機では旅客需要の回復によりエンジン整備需要(MRO)が旺盛で、サプライチェーン再整備や生産性向上を推進できる技術者が求められています。

注目職種: 航空機設計、生産管理、エンジン整備技師、防衛装備品開発エンジニア

車両

事業内容

国内外の鉄道車両(地下鉄、高速鉄道等)の設計・製造、車両状態監視システムの提供。

業績推移

売上収益1,193億円(前年比+37.1%)、事業利益49億円(前年比+206%)と大幅な増収増益を達成しました。

注目ポイント

ニューヨーク市交通局向けR211プロジェクトが順調に進捗し、さらに次世代車両R268の内示を受けるなど北米事業が盤石です。また、アジアの都市交通整備も活発で、国内外の大型プロジェクト管理やIoTを活用した保守サービスの開発が急務となっています。

注目職種: プロジェクトマネージャー、車両設計、制御システム開発、海外営業

エネルギーソリューション&マリン(ES&M)

事業内容

水素関連設備、ガスタービン、液化ガス運搬船、潜水艦、ゴミ焼却プラントの提供。

業績推移

売上収益1,873億円(前年比+17.1%)、事業利益199億円(前年比+65.8%)と極めて好調に推移しています。

注目ポイント

将来の水素利用を見据えた水素混焼型発電設備の受注が急増しており、2025年度の対応計画は440MWに達します。脱炭素ソリューション(KCC:CO2分離回収)や防衛艦艇主機など、環境と安全保障の両面で最先端のエンジニアリング能力が不可欠です。

注目職種: プラントエンジニア、機械設計(回転機・圧力容器)、水素技術開発、環境プロセス設計

精密機械・ロボット

事業内容

建設機械用油圧機器、半導体製造装置向けロボット、産業用ロボット、医療支援ロボット。

業績推移

売上収益1,170億円(前年比+6.9%)、事業利益42億円(前年比+121%)と回復基調にあります。

注目ポイント

中国の建機市場が輸出向けを中心に底打ちし、油圧機器の需要が改善。さらに、AI分野の成長に伴い半導体ロボットが2024年度後半から回復へ向かう見込みです。ロボットの自律化・遠隔操作など高度なソフトウェア技術者の需要が高まっています。

注目職種: 油圧システム設計、ロボット制御ソフト、AI/画像認識エンジニア、サービスエンジニア

パワースポーツ&エンジン(PS&E)

事業内容

二輪車(モーターサイクル)、四輪バギー(MULE/TERYX)、パーソナルウォータークラフト(ジェットスキー)、汎用エンジン。

業績推移

売上収益2,927億円(前年比+15.5%)。事業利益は48億円(前年比△67.7%)と、関税や販促費増が響きました。

注目ポイント

米国市場でのシェア拡大が継続しており、売上高は伸長しています。伊藤忠商事との資本提携により、北米流通網の強化や新機種の早期投入を図る戦略です。水素エンジン二輪車のデモランをフランスで実施するなど、次世代モビリティ開発でも業界をリードしています。

注目職種: 車体・エンジン設計、電動モビリティ開発、商品企画、海外マーケティング

地域別売上状況(全地域網羅)

日本:3,776億円 (+13.2%)
米国:3,255億円 (+16.4%)
欧州:1,027億円 (+4.5%)
アジア:1,358億円 (+5.6%)
その他:544億円 (+23.6%)

国内外全ての地域で増収を達成。特に日本と米国の貢献が大きく、グローバルに展開する各事業部において、異文化理解や多言語対応、国際法務などのスキルを持つ専門職の採用可能性が高まっています。

3 今後の見通しと採用の注目点

2025年度の通期売上高は2.3兆円超へ上方修正。下期に向けた利益の刈り取りフェーズに入ります。
通期業績予想

出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.16

2025年度の通期業績予想において、売上収益を前回公表から500億円引き上げ、2兆3,400億円と過去最高の更新を見込んでいます。事業利益は1,450億円の据え置きですが、航空宇宙システムの防衛案件や民間エンジンの増産など、下期の収益貢献が確実視されています。

注目すべきは、米国関税政策などの外部環境リスクを、価格転嫁や固定費の徹底した低減でカバーする経営体力です。また、質疑応答(想定)レベルでも言及されている通り、潜水艦事業等でのコンプライアンス事案を受けた体制再構築が進んでおり、ガバナンス強化を担う法務・監査系職種の重要性も増しています。さらに水素関連では、日独連携や日豪間でのサプライチェーン構築に向けた覚書締結など、国を越えた大規模提携が加速しており、新規事業の立ち上げ経験を持つリーダー層への期待が高まっています。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

「技術で社会課題を解決する」というナラティブが非常に強力です。特に、水素サプライチェーンの商用化という世界初の試みや、防衛力強化という国家的な使命に直接関われる点は、他社にはない魅力です。また、民間航空機エンジンのアフターセールス事業(MRO)の拡大に見られるように、製造だけでなくサービス領域での収益化を強化する戦略に共感し、自身の顧客対応力や工程改善スキルをどう活かせるかを伝えるのが効果的です。

Q&A 面接での逆質問例
  • 「航空宇宙システムにおける下期偏重の利益構造を安定化させるために、アフターセールス事業以外で取り組まれている具体的な施策はありますか?」
  • 「米国関税政策の影響が懸念されていますが、北米の2工場(アメリカ・メキシコ)をどのように活用してコスト競争力を維持していく方針でしょうか?」
  • 「液化水素の商用実証において、異業種他社との連携が鍵になると思いますが、プロジェクトチーム内での意思決定やコミュニケーションのスピード感について教えてください。」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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自分の仕事が社会に貢献していると実感

多様な製品を手掛けるこの企業では、街中で自社製品を見かけるたびに、自分の仕事が社会に貢献していると実感できます。特に、社会的意義のあるプロジェクトに携わる機会が多く、やりがいを感じる場面が多いです。大規模なプロジェクトに参加することで、成長の機会は豊富にあります。

(20代後半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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昇進試験の評価基準が不透明で対策が難しい

昇進試験は2回あり、1回目は多くの人が合格しますが、2回目は難易度が高く、合格率が低い。試験の評価基準が不透明なため、次回に向けた対策が難しいと感じます。

(40代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 川崎重工業株式会社 2025年度第2四半期決算説明資料(2025年11月11日発表)
  • 川崎重工業株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(2025年11月11日発表)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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