エイチ・アイ・エスの転職研究 2025年10月期決算に見るキャリア機会

エイチ・アイ・エスの転職研究 2025年10月期決算に見るキャリア機会

エイチ・アイ・エスの2025年10月期決算は、全セグメントで増収増益を達成し、営業基盤が完全復調しました。2026年度は「助走期間」として、新組織Global DMCの設立やAIイノベーション本部の新設など、労働集約型ビジネスからの構造改革を推進。「攻め」に転じた同社でのキャリア機会を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

全セグメントで増収増益を達成し営業基盤が完全復調しました

2025年10月期は、主力の旅行事業に加え、ホテル事業や九州産交グループなど全てのセグメントで増収増益を達成しました。特に国内ホテル事業は高稼働・高単価が継続し過去最高業績を更新。純利益は一時的な事業整理費用の計上で減少したものの、本業の稼ぐ力はコロナ禍前を上回る勢いで回復しており、攻めの採用フェーズに移行しています。

組織改編によりグローバル受客ビジネスの展開を加速させます

2025年11月1日付で、グローバル事業の中核を担う新組織「HIS Global DMC」を設立しました。海外法人を統括し、日本以外のマーケット(non-Japanese)からの送客ビジネスを強化する方針です。これにより、世界各地の拠点でのキャリア機会が拡大するだけでなく、グローバル水準の営業力や企画力を持つ人材の重要性がかつてないほど高まっています。

AIイノベーション本部の新設により事業変革の助走期間を開始します

2026年度を新・中期経営計画に向けたスタートダッシュの「助走期間」と定義し、「AIイノベーション本部」を新設しました。AIやテクノロジーと「人の力」を協業させることで、従来の労働集約型ビジネスからの構造改革を断行します。IT・デジタル領域の専門職採用を大幅に強化しており、エンジニアやデータ活用人材にとって挑戦しがいのある環境が整っています。

1 連結業績ハイライト

旅行需要の着実な回復を背景に、売上高・営業利益ともに前年を上回る実績を記録。一過性費用の影響を除いた本業の収益性は大幅に向上しています。
連結業績サマリ

出典:2025年10月期 決算説明資料 P.1

売上高

3,731億円

+8.7%

営業利益

116億円

+7.1%

経常利益

113億円

+8.9%

2025年10月期の連結業績は、売上高が3,731億円(前年比8.7%増)、営業利益が116億円(同7.1%増)となり、全セグメントでの増収増益を達成しました。インバウンド需要が牽引役となり、訪日外客数が過去最高を更新したことが大きな追い風となりました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は47億円(同45.9%減)に留まりました。これはトルコ法人の事業縮小に伴う引当金の計上や、ホテル事業における約20億円の「資産の価値引き下げ(減損損失)」といった一過性の費用が影響したものです。

期初に掲げた業績予想に対しては、売上高が95.6%、営業利益が96.8%の進捗となりました。下半期において海外旅行やグローバル領域の伸長が一部鈍化したものの、主力セグメントの稼ぐ力は堅調に推移しており、本業の回復状況は「順調」と評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主軸の旅行事業が着実に伸長する中、ホテル事業や地域密着の九州産交グループが収益の柱として存在感を高めています。
セグメント別実績

出典:2025年10月期 決算説明資料 P.3

旅行事業

事業内容:国内外の旅行手配・企画・販売。2025年11月より「HIS Global DMC」体制へ移行し、グローバル展開を強化。

業績推移:売上高 3,091億円(前年比+8.9%)、営業利益 96億円(同+3.6%)。

注目ポイント:日本発海外旅行では添乗員付きツアー「Impresso」など高付加価値商材が好調に推移。また、北米マーケットからの受客件数が過去最高を記録するなどインバウンドも強力です。新設の「Global Sales本部」では地域横断的な法人営業(グローバルMICE)を強化しており、語学力や国際的な商習慣への対応力を持つ人材の活躍の場が広がっています。

注目職種:グローバル法人営業、海外拠点管理、高付加価値ツアー企画

ホテル事業

事業内容:「変なホテル」を中心としたホテル運営。マルチブランド戦略や他企業とのコラボレーションを推進。

業績推移:売上高 252億円(前年比+9.8%)、営業利益 36億円(同+18.7%)。

注目ポイント:国内ホテルが過去最高の売上・営業利益を達成。特に「変なホテル」はコラボルーム展開などが功を奏し、高単価・高稼働を実現しています。長期ビジョンとして「100軒・営業利益100億円」を掲げ、自己所有にこだわらない多様な開発スキーム(管理受託など)を導入予定。不動産開発や運営管理のプロフェッショナルが求められています。

注目職種:ホテル開発マネージャー、レベニューマネジメント、アセットマネジメント

九州産交グループ

事業内容:熊本県内を中心としたバス事業、航空代理店事業、大型複合施設の運営など。

業績推移:売上高 253億円(前年比+5.8%)、営業利益 8億円(同+185.5%)。

注目ポイント:台湾企業(TSMC)の進出による経済効果や訪日客の増加により、輸送・流通の両面で業績が顕著に推移。バスターミナルを併設する「サクラマチクマモト」の来館者数は年間1,400万人を超えました。地域活性化の核となる事業を展開しており、地方創生やモビリティサービスに関心の高い人材にとって非常に魅力的なフィールドです。

注目職種:地域活性化プロデューサー、商業施設運営管理、航空代理店業務

3 今後の見通しと採用の注目点

2026年度は更なる利益成長を見込み、AI活用とDEIB推進による「組織の質的変革」を断行する1年となります。
2026年10月期業績予想

出典:2025年10月期 決算説明資料 P.15

2026年10月期の通期予想は、売上高4,200億円(前期比12.6%増)、営業利益140億円(同20.4%増)と、大幅な増収増益を見込んでいます。質疑応答で言及された通り、前期に発生したトルコ法人の事業縮小に伴う一過性費用の消失が利益を押し上げる計画です。また、下半期には日本発海外旅行の取扱高増加も寄与する見通しです。

特筆すべきは「DEIB(多様性、公平性、包括性、属心)」への取り組みです。現在20%の女性管理職比率を30%へと引き上げる目標を掲げており、新卒採用中心の構成から専門職や中途採用の積極拡大へと舵を切っています。また、AI・テクノロジー領域ではアプリケーションエンジニアやセキュリティ、CX・データ活用人材に特化した採用を強化。ITとリアルな現場のホスピタリティを掛け合わせることで、業界ナンバーワンの座を盤石にする戦略です。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

HISは今、単なる旅行会社から高付加価値な「体験価値創造業」へと進化しようとしています。「新・中期経営計画0年度」という変革のタイミングにおいて、新設された「AIイノベーション本部」や「HIS Global DMC」といった新しい枠組みの中で、自身の専門性がいかに収益構造の改革に寄与できるかを語ることが重要です。特に、IT×ホスピタリティ、あるいは地域活性化×モビリティといった複合的な視点を持つことは強力なアピールとなります。

Q&A

面接での逆質問例

・「HIS Global DMCの設立により、国内の拠点と海外現地法人の連携のスピード感や役割分担はどのように変化していくのでしょうか?」
・「AIイノベーション本部が主導する事業変革において、現場の社員にはどのような新しいスキルの習得や意識の変化が期待されていますか?」
・「女性管理職比率30%という目標達成に向け、現在最も注力しているキャリアサポートや職場環境整備の具体策は何でしょうか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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柔軟な働き方ができる環境が整っている

勤務時間に関しては、部署によって異なる印象を受けました。残業が発生することもありますが、リモートワークが可能な部署もあり、柔軟な働き方ができる環境が整っています。特に子育て中の社員には時短勤務の選択肢があり、家庭と仕事の両立がしやすいと感じました。休暇については、旅行のための連休が比較的取りやすく、通常の休みも希望が通りやすいです。全体として、個々のライフスタイルに合わせた働き方が可能で、働きやすい職場だと思います。

(20代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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現状の給与水準では不安が残る

今後の長期的なキャリアを考えると、現状の給与水準では不安が残ります。 業務量に対して報酬が見合っていないと感じることもあります。 ただし、昇格には上司の推薦が必要で、試験を受ける必要があります。 数字だけでなく、上司の評価も重要な要素となるため、日頃のコミュニケーションが鍵となります。 給与制度や評価制度には改善の余地があると感じます

(30代前半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
  • 2025年10月期 決算説明資料
  • 2025年10月期 決算説明会におけるQ&A (要旨)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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