0 編集部が注目した重点ポイント
① インドイースト事業で減損を計上し黒字化を目指す
2026年3月期第2四半期において、インドイースト事業に関わる固定資産の減損損失87億円を計上しました。ウクライナ情勢によるコスト高止まりや競争激化が要因ですが、2025年7月上市の新製品投入やエタノール用販売拡大により、2026年度の黒字化を目指す構造的変化の真っ只中にあります。海外事業の立て直しという難易度の高いキャリア機会が存在します。
② スマート工場「水島工場」が本格稼働を開始する
国内製粉事業において、IoTやロボットを駆使した最新鋭の水島工場が2025年5月に竣工・稼働しました。これに伴い岡山・坂出の2工場を閉鎖し、生産体制の集約を完了させています。製造現場の自動化・デジタル化(DX)が急速に進展しており、技術系人材がローコストオペレーションの確立という先端プロジェクトに携われる環境が整っています。
③ ブランド刷新と生パスタ市場の創造で攻勢をかける
加工食品事業(日清製粉ウェルナ)では、主力ブランド「マ・マー」のリブランディングを実施しました。大谷翔平選手を起用した大規模プロモーションや、「生パスタ」の新市場創造に向けた新製品投入を加速させています。インフレ環境下でも高付加価値製品の販売は伸長しており、マーケティングや製品開発の専門性を発揮できるフィールドが拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 P.5
売上高
4,313億円
+0.4%
営業利益
226億円
Δ13.0%
純利益
103億円
Δ49.3%
当中間期の売上高は、エンジニアリング事業や中食・惣菜事業が堅調に推移し、前年同期比で増収を達成しました。一方で営業利益は、国内製粉の水島工場立上げ費用や豪州製粉の出荷苦戦により減益となりました。純利益の減少は、主にインドイースト事業の減損損失87億円の計上によるものです。
通期連結業績予想については、営業利益を当初の500億円から470億円へ下方修正しています。現在の進捗率は通期予想に対し48.1%となっており、基準の75%を大きく下回るため
評価としては進捗が遅れている状況です。しかし、下期は価格改定効果のフル寄与やメッシュクロス事業の回復により、大幅な増益を見込んでいます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 P.7
製粉事業(日清製粉 他)
事業内容:国内・海外における小麦粉、ふすま等の製造販売。主要会社に日清製粉、Miller Milling(米国)、Allied Pinnacle(豪州)など。
業績推移:売上高2,117億円(前年比Δ7.5%)、営業利益131億円(前年比Δ15.1%)。
注目ポイント:国内では水島工場稼働によるコスト構造改善が進行中。米国では高い販売マージンを維持しつつ供給力を強化。豪州ではインストアベーカリーとの連携や高食物繊維小麦粉「Wise Wheat」の拡販を推進しており、グローバルな需給管理能力を持つ人材が求められています。
食品事業(日清製粉ウェルナ、オリエンタル酵母 他)
事業内容:家庭用・業務用パスタ、プレミックス、パン酵母等の製造販売。ベトナムなど海外現地完結型事業も含む。
業績推移:売上高1,085億円(前年比+6.5%)、営業利益37億円(前年比Δ6.1%)。
注目ポイント:「マ・マー」のリブランディングに加え、ベトナムでの導入店舗数3,000店突破など、新市場開拓が加速。酵母・バイオ事業も堅調で、日清ファルマの事業再編による健康食品事業の統合も進行。ブランドマネジメントや海外BtoC展開の経験者が活躍できる環境です。
中食・惣菜事業(トオカツフーズ、ノムラフーズ)
事業内容:コンビニエンスストア向け惣菜、弁当の製造。冷凍惣菜(おせち、和惣菜)の製造販売。
業績推移:売上高843億円(前年比+7.3%)、営業利益34億円(前年比+0.5%)。
注目ポイント:販売増や生産性向上効果により増収増益。ノムラフーズでの「次世代型冷凍食品工場」建設(投資額約80億円)を決定。製造工程の自動化・省人化を最優先課題としており、製造DXや工場建設の専門人材が変革を牽引するフェーズにあります。
その他事業(エンジニアリング、メッシュクロス)
事業内容:プラント建設(日清エンジニアリング)、合繊メッシュ・金属メッシュ製造(NBCメッシュテック)。
業績推移:売上高268億円(前年比+32.1%)、営業利益26億円(前年比Δ20.0%)。
注目ポイント:エンジニアリング事業の売上高が前年比195%と爆発的に成長。メッシュクロス事業は太陽光パネル向け資材の在庫調整で苦戦しましたが、新スペック品の出荷開始で下期の回復を確信。プラント建設や高度なメッシュテクノロジー分野での専門職ニーズが高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 P.20
経営陣は、地域別に異なる市場環境に応じた戦略を明確にしています。米国では高い単価需要が底堅いことから、新工場建設という選択肢を含めたさらなる投資を検討中。国内では自動化技術による他社との差別化を狙い、中食・惣菜事業での攻めの投資を継続します。
質疑応答では、投資のリスクをより慎重に見極める必要性に言及されており、過去の減損の反省を生かしたより高度な投資判断能力を持つ人材への期待が高まっています。また、200億円規模の自己株式取得も発表され、資本効率を意識した経営が加速。コーポレート部門でも高いプロフェッショナリズムが求められるフェーズです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「食の安全・安心」という不変の使命感に加え、同社が現在注力している「製造現場のスマート化(DX)」や「高付加価値製品による市場開拓」に共感を示すのが効果的です。水島工場の本格稼働やノムラフーズの新工場建設など、具体的なプロジェクト名を挙げ、自身の専門性がどのように「生産性向上」や「新市場創出」に貢献できるかを語ることが重要です。
面接での逆質問例
- 「水島工場で培われた自動制御や荷揃えロボットの技術を、他拠点や他事業へ横展開する際の課題は何だとお考えですか?」
- 「米国製粉事業において新工場建設の選択肢を検討する際、中途入社の専門人材にはどのような役割を期待されますか?」
- 「インドや豪州での反省を踏まえ、現在、海外事業の投資判断プロセスにはどのような変化があったのでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
土日は完全に休める
土日は完全に休めると思って差し支えない。休日出勤がある場合も、部署ごとに定められた日数以内におさめられている。残業時間は厳格に管理なされている。
(20代後半・管理関連職・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社日清製粉グループ本社 2026年3月期 第2四半期決算短信
- 株式会社日清製粉グループ本社 2026年3月期 第2四半期決算説明会資料
- 株式会社日清製粉グループ本社 2026年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答概要



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。