出光興産の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

出光興産の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

出光興産の2026年3月期2Q決算は、燃料油マージンの改善により通期予想を上方修正。富士石油の子会社化や固体電解質の事業化加速など、エネルギー転換を見据えた構造変革が本格化しています。「なぜ今、出光なのか?」、変革期にある同社で転職希望者が担える役割を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

富士石油を連結子会社化し国内生産体制を最適化する

2025年11月5日付で持分法適用会社であった富士石油株式会社を連結子会社化しました。意思決定の迅速化を図り、グループ一体での生産体制最適化やインフラの相互活用を推進することで、年間30〜40億円規模のシナジー創出を見込んでいます。燃料油事業の構造改革を主導する経営企画や技術職のキャリア機会が拡大しています。

固体電解質の大型装置投資により次世代電池の事業化を急ぐ

全固体電池の鍵となる固体電解質の大型パイロット装置について、2025年度内に最終投資判断を行う予定です。2027〜2028年の市場立ち上げ、2030年の事業化というロードマップはスケジュール通りに進捗しており、研究開発から量産技術確立のフェーズへ移行しています。新領域での事業立ち上げに関わる専門人材の重要性が非常に高まっています。

ポリオレフィン事業を統合し基礎化学品の競争力を強化する

三井化学および住友化学との間で、国内ポリオレフィン(プラスチック原料)事業の統合に向けた基本合意を締結しました。海外の生産能力過剰によるマージン悪化という厳しい市場環境に対し、国内3社による再編で競争力の維持を図っています。業界再編のフロントラインで、事業ポートフォリオの変革を担うチャンスが生まれています。

1 連結業績ハイライト

原油価格下落や石炭市況の悪化により前年同期比では減益となりましたが、国内燃料油マージンが堅調に推移し、通期業績予想を上方修正しました。
2025年度 第2四半期決算ハイライト

出典:2025年度第2四半期 決算説明資料 P.9

売上高

38,057億円

-15.5%

営業利益+持分損益*

884億円

-22.4%

中間純利益*

774億円

-22.5%

*在庫影響除きベース

2025年度第2四半期(中間期)の業績は、売上高3兆8,057億円(前年同期比15.5%減)、在庫影響を除いた営業利益+持分法投資損益は884億円(同22.4%減)となりました。化学品の市況悪化や資源セグメントでの石炭価格下落が主な減益要因です。しかし、当初計画との比較では、国内燃料油マージンの下支えにより、営業+持分損益で60%、当期純利益で65%と高い進捗を見せています。

この堅調な進捗を受け、通期業績予想を上方修正しました。在庫影響を除いた当期純利益は、前回予想から250億円プラスの1,450億円を見込んでいます。通期予想に対する進捗率は半分を過ぎた時点で既に6割を超えており、業績は順調に推移していると判断されます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

燃料油・高機能材・電力再エネの各セグメントで収益基盤を強化。一方で基礎化学品と資源は市況影響を受け構造改革を急いでいます。
セグメント別 営業利益+持分法投資損益増減

出典:2025年度第2四半期 決算説明資料 P.16

燃料油(出光興産、昭和四日市石油、東亜石油等)

事業内容:原油調達、国内精製(北海道、千葉、愛知等)、石油製品の販売・輸出。

業績推移:損益705億円(前年比+77億円)。定期修繕コスト増をマージン改善でカバー。

注目ポイント:富士石油の連結子会社化により、意思決定の迅速化と生産最適化を加速させています。製油所の稼働率向上に向けたDX推進や、脱炭素燃料への転換(ブラックペレット等)を担うプロジェクトマネジメント人材の需要が高まっています。

注目職種:生産管理エンジニア、需給調整、プラント保守・保全

基礎化学品

事業内容:エチレン、パラキシレン、スチレンモノマー等の石油化学製品の製造。

業績推移:損益▲77億円(前年比-112億円)。海外マージン悪化が直撃。

注目ポイント:三井・住友との事業統合による抜本的な構造改革を推進中です。徳山事業所での不発弾処理による一過性の生産減もありましたが、業界再編を通じた収益性回復を目指しており、事業統合のプロセス管理(PMI)を担える人材が不可欠です。

注目職種:事業企画(再編担当)、海外営業・トレーディング

高機能材(潤滑油、電子材料、アグリライフ等)

事業内容:潤滑油、有機EL材料、機能化学品、農薬(アグリライフ)の展開。

業績推移:損益190億円(前年比+30億円)。潤滑油の海外販売が好調。

注目ポイント:海外潤滑油の堅調な利益貢献に加え、アグロ カネショウのグループ化によりアグリライフ事業を強化しています。特定のプロダクトに依存しない多角化が進んでおり、高付加価値製品のグローバルな用途開発を担う技術営業の募集が活発です。

注目職種:技術営業(潤滑油・電子材料)、海外事業開発

電力・再生可能エネルギー、資源

事業内容:太陽光・風力等の再エネ、石油・天然ガス開発(ベトナム等)、石炭事業。

業績推移:電力再エネは黒字化(7億円)。石炭は価格下落で92億円(前年比-237億円)。

注目ポイント:電力事業はトラブル解消により収益性が改善しています。資源開発ではベトナムのニソン製油所の金利低減策を協議中で、2030年頃の最終黒字化を目指しています。エネルギー転換期のダイナミズムを体感できるフィールドです。

注目職種:再エネ事業企画、電源開発、ファイナンス(海外事業管理)

3 今後の見通しと採用の注目点

一過性要因を除いた実力ベースでROE 10%の水準に到達。次世代材料への「攻めの投資」を加速させます。
固体電解質実用化ロードマップ

出典:2025年度第2四半期 決算説明資料 P.4

同社は、原油価格下落や不発弾処理など外的な一過性要因を除けば、利益水準は実質的にROE 10%相当に達していると分析しています。質疑応答で言及された通り、目指すべきは一時的なブーストではなく、これら様々な要因を含めた上での安定的なROE 10%の達成です。

将来の成長ドライバーとして期待されるのが、宇宙用CIGS太陽電池の実証実験や固体電解質の実用化です。大型パイロット装置の投資判断を控え、「量産・事業化」フェーズへ向けた体制構築が急務となっています。既存の燃料油事業で稼いだ利益を、これら次世代エネルギー領域へ大胆に再投資するサイクルが本格化しており、技術者や新規事業開発担当者にとって挑戦しがいのある環境です。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「エネルギーの安定供給と次世代への転換」を両立させる姿勢を強調しましょう。特に富士石油の連結化による供給基盤の強化や、全固体電池材料の実用化といった具体的なマイルストーンに触れ、自身の専門スキルがどのように事業構造の変革に寄与できるかを語ることが重要です。従来の石油元売りの枠を超え、ライフスタイルや先端産業のパートナーを目指す同社の変革への意欲をアピールするのが効果的です。

Q&A

面接での逆質問例

「富士石油との統合プロセスにおいて、現場レベルで最大化を目指している具体的なシナジーの領域はどこですか?」
「固体電解質の事業化に向けて、今後最も重要視されている技術的課題や量産上のボトルネックは何ですか?」
「基礎化学品の3社統合において、文化の異なる組織間で意思決定の迅速化を担保するために、現在取り組んでいる工夫を教えてください。」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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マネジャークラスの人々は比較的親切

一方で、工場勤務のため、通院などの際には柔軟に対応してもらえる点は助かります。また、マネジャークラスの人々は比較的親切で、他部署との連携もスムーズに行えることが多いです。

(40代後半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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持続可能なビジネスモデルの構築が急務

一方で、化石燃料の需要が続く現実を踏まえつつ、人口減少やカーボンニュートラルへの対応が求められています。これらの課題に対して真剣に取り組む姿勢が必要であり、特に環境問題に関心のある学生や人材にとっては、入社の選択肢として慎重に考える要素となるでしょう。世間の注目度が高い業界であるため、持続可能なビジネスモデルの構築が急務です。

(50代前半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 出光興産株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信
  • 出光興産株式会社 2025年度第2四半期 決算説明資料
  • 出光興産株式会社 2026年3月期 第2四半期 決算説明会Q&A

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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