0 編集部が注目した重点ポイント
① 西南水産を連結から除外して構造改革を推進する
当中間期において、不採算事業の経営再建(ターンアラウンド)を目的として、西南水産株式会社を連結範囲から除外しました。この決定は中期経営計画「Recipe 2」に基づいた事業ポートフォリオの強化の一環です。不採算領域から撤退し、成長領域へリソースを再配分することで、高収益体質への変革を加速させています。
② 養殖事業の利益が前年比73%増と劇的に改善する
水産事業において、中心的な成長ドライバーである養殖部門が収益を牽引しました。国内のブリ・ギンザケや南米サーモンの販売価格上昇に加え、生残率向上による養殖成績の改善が大きく寄与しています。水産事業全体の営業利益は前年同期比73.0%増の60億円に達しており、生産性の向上が目覚ましい成果を上げています。
③ 国内チルド事業がコンビニ販促で成長を加速させる
食品事業では、コンビニエンスストア向けのチルド事業(冷蔵管理された弁当・惣菜等)が極めて好調です。販売促進効果により、各段階の利益は10%以上の増益を達成しました。国内加工食品が原材料高騰で苦戦する中、チルド事業と海外食品の成長がそれを補い、食品事業全体の増益を実現しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 中間期 決算短信補足資料 P.3
4,529億円
+2.8%
197億円
+14.6%
212億円
+11.2%
142億円
+13.7%
2026年3月期の中間連結業績は、売上高・利益ともに増収増益を達成しました。特に営業利益は197億円と、前年同期比で25億円の増加を記録。日本国内のチルド事業が好調を維持し、養殖事業や北米の水産加工事業が改善に向かったことが主な要因です。中間配当については、計画通り2円増配の14円を予定しており、株主還元も強化されています。
通期計画に対する営業利益の進捗率は57.4%に達しており、中間期として極めて順調なペースで推移しています。下期に向けても、新工場の本格稼働や養殖体制の拡大により、さらなる飛躍が期待される内容です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 中間期 決算短信補足資料 P.11
水産事業
事業内容:国内外での漁撈、養殖、および水産物の加工・商事(トレーディング)を展開しています。
業績推移:売上高1,788億円(前年比1.8%増)、営業利益60億円(前年比73.0%増)。
注目ポイント:「養殖事業の高度化」を戦略の柱とし、2030年の国内ギンザケ1万トン体制、南米サーモン5万トン体制に向けた拠点の拡大を推進しています。海中給餌など最新のスマート養殖技術の検証も開始しており、テクノロジーを活用して水産業の生産性を抜本的に変革できる、技術系・企画系人材にとって挑戦的なフィールドです。
食品事業
事業内容:家庭用・業務用の冷凍食品、ねり製品、およびコンビニ向けチルド商品の製造・販売です。
業績推移:売上高2,517億円(前年比5.0%増)、営業利益168億円(前年比3.1%増)。
注目ポイント:国内ではワンプレート冷凍弁当「まんぞくプレート」が前年比170%以上の販売実績を記録。海外でも欧州での販売エリア拡大や、北米での家庭用シェア拡大が続いています。北米の新工場「ゴートンズ」が2025年9月より稼働を開始し、欧州でも増設が進むなど、グローバルな生産体制の増強を担う、生産管理やSCMの専門家を求めています。
ファインケミカル事業
事業内容:EPA・DHA等の高度精製技術を用いた医薬品原料、機能性原料、健康食品の製造・販売です。
業績推移:営業利益1億円(前年並み)。利益の多くが第4四半期に集中する計画となっています。
注目ポイント:医薬品原料のグローバル販売に向けたFDA登録などを開始しており、年度内の準備を進めています。独自技術(脱臭・乳化・酸化防止)を活かした商品の国内外展開を加速させており、高付加価値なウェルネス領域での事業開発に関心がある人材にとって、大きなやりがいがあるフェーズです。
物流事業
事業内容:冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を通じ、グループ内外の物流を支えています。
業績推移:売上高83億円(前年比1.2%増)、営業利益12億円(前年比6.5%減)。
注目ポイント:「物流の2024年問題」を背景とした人員増に伴う人件費増加や燃料費上昇が利益を圧迫しています。これに対し、インフラコストの最適化やロジスティクスの強靭化を喫緊の課題としており、現場主導で物流構造を改革できる実務経験者が不可欠となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 中間期 決算短信補足資料 P.15
ニッスイは現在、2027年度を最終年とする中期経営計画「Recipe 2」の飛躍に向け、準備を着々と進めています。下期以降は、新設・増設した工場のフル稼働や、医薬品原料の販売実現を目指す方針です。特に海外事業の成長と養殖事業の高度化は、グループ全体の成長エンジンとして期待されています。
一方で、経営陣は不確実な外部環境への警戒を緩めていません。特に、トランプ政権発足に伴う通商政策の影響や、米国市場での消費者動向の変調、さらに白身魚や米の市況上昇といったリスクを注視しています。年末までの状況を精査した上で、年明け以降に年間見通しを再検討する柔軟な姿勢を見せており、急激な環境変化に即応できる適応能力の高い人材の価値が、これまで以上に高まっています。
4 求職者へのアドバイス
ニッスイは「人にも地球にもやさしい食をお届けする」という長期ビジョンに向け、バリューチェーンの強靭化を徹底しています。特に、2030年に向けた「養殖1万トン/5万トン体制」という具体的な目標や、北米・欧州での大規模な設備投資は、自身の専門スキルをグローバルな社会課題の解決に活かしたいと考える転職者にとって、非常に説得力のある志望理由となるでしょう。
- 「北米のゴートンズ新工場が稼働を開始しましたが、現地の生産効率を最大化するために、日本本社の担当者にはどのような役割が求められていますか?」
- 「2024年問題などのコスト増に対し、物流セグメントではDX(デジタル変革)を活用したどのような施策を検討されていますか?」
- 「養殖事業の高度化において、外部パートナーとの技術連携や共同開発で、中途採用者に期待される専門性があれば教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
さまざまな職種を経験でき知見を積み重ね
人事の他にもさまざまな職種を経験でき、それぞれに知見を積み重ね、実績を上げることができた。他で得た知見を活かしたり、エキスパートの協力を得て大きな成果に結びつけた経験は何物にも代えがたい。
(50代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 中間期 決算短信補足資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。