0 編集部が注目した重点ポイント
① 収益区分を変更しシステム関連収益を新設する
2025年度より営業収益の内訳を、従来の5区分から「システム関連収益」を加えた6区分へ変更しました。これは中期経営計画2027の初年度として、システム基盤の重要性を明確化するためです。転職者にとっては、IT・システム部門の貢献がより可視化される体制となっており、エンジニアの重要性が高まる構造的変化と言えます。
② 日本株市場の活況により全収益項目が増加する
日本株市場の活況を受け、営業収益は前年同期比9.2%増の893億円と好調です。特に現物の売買代金増加や、金利スワップ取引の担保管理収益が清算関連収益を大きく押し上げました。市場インフラとしての堅実な収益基盤を背景に、安定した環境で金融専門性を磨きたい求職者にとって極めて魅力的な実績となっています。
③ 通期業績予想を上方修正し成長を加速させる
上期の好調な進捗を踏まえ、2025年10月29日に通期業績予想の修正を発表しました。営業利益は前回予想から1.0%増の965億円を見込みます。市場ボラティリティ(価格変動幅)の影響は受けるものの、中核事業の成長性は高く、積極的なシステム投資やサービス拡充を推進できる経営体力があることを示しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第2四半期(中間期) 決算の概要 P.2
営業収益
89,322百万円
+9.2%営業利益
51,279百万円
+7.5%当期利益
34,553百万円
+6.9%
当中間期の連結業績は、営業収益が893億22百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益が512億79百万円(同7.5%増)と、増収増益の達成となりました。株券等の1日平均売買代金が6.28兆円(同9.5%増)に伸長したほか、金利スワップ取引に関連する収益が50億円以上増加するなど、清算部門も大きく貢献しています。営業費用についてはシステム維持・運営費が増加したものの、収益の伸びが上回り利益率を維持しています。
通期業績予想に対する進捗率は、営業利益ベースで53.1%(修正後通期予想965億円に対し)となっており、年度の半分を終えた時点として順調な推移です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第2四半期(中間期) 決算の概要 P.14
取引関連収益
事業内容:東京証券取引所等での現物株売買、大阪取引所等でのデリバティブ取引に係る手数料収益。
業績推移:収益は347億67百万円(前年同期比3.8%増)。現物株が好調な一方、デリバティブは減少。
注目ポイント:日本株市場の活況により現物取引料が9.6%増と大きく伸長しました。市場の流動性を支えるインフラ運営において、制度設計や市場監視の専門ニーズが継続しています。
清算関連収益
事業内容:日本証券クリアリング機構が担う、取引成立後の債務引き受けおよび決済保証業務。
業績推移:収益は230億59百万円(前年同期比32.1%増)。グループ最大の成長セグメント。
注目ポイント:金利スワップ取引の担保管理収益が50億円以上増加。金利環境の変化に伴いリスク管理業務の重要性が急増しており、高度なクオンツスキルやリスク管理能力を持つ人材が不可欠です。
上場関連収益
事業内容:企業の上場審査および維持管理。新規・追加上場料や年間上場料から構成。
業績推移:収益は79億2百万円(前年同期比0.6%増)。新規上場料は減少も、年間上場料がカバー。
注目ポイント:ETFの純資産残高増加により年間上場料が6.4%増となりました。企業のガバナンス改革推進など、上場会社へのコンサルティング的アプローチが重要視されています。
情報・システム関連収益
事業内容:相場情報の提供(JPX総研)および、ネットワーク「arrownet」やコロケーションサービス。
業績推移:情報関連は162億80百万円(1.5%増)、システム関連は68億55百万円(3.2%増)。
注目ポイント:コロケーション利用料が8.8%増と堅調。低遅延取引へのニーズは高く、次世代インフラ構築に向けた高度なITアーキテクトの需要が継続しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第2四半期(中間期) 決算の概要 P.11
通期予想では営業収益1,760億円(前期比8.5%増)を見込み、過去最高水準を目指しています。特に「arrowhead 4.0」等の新システム稼働に伴う利便性向上や、コロケーションサービスの拡充により、非取引料収益の拡大を狙います。また、株主還元方針として配当性向60%以上を目標としつつ、今回修正で1株配当予想を維持したまま純利益目標を引き上げるなど、財務健全性と還元のバランスを維持しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速を掲げており、金融知識と最新技術を掛け合わせられる人材への期待は、今後さらに高まる見通しです。
4 求職者へのアドバイス
「市場インフラの変革」への意欲を軸にすることをお勧めします。今回の決算でシステム関連収益が独立したことは、ITが単なるサポートではなく「収益の柱」と再定義された象徴です。「最先端の取引環境を技術で支えたい」や「金融制度の設計を通じて日本経済の活性化に貢献したい」といった、公共性と成長性の両立に触れると強い共感を得られるでしょう。
- システム関連収益の区分新設により、開発現場での評価指標(KPI)にはどのような変化がありましたか?
- 清算業務での金利スワップ取引収益が急増していますが、この領域でのリスク管理体制の強化において、中途採用者に最も期待する専門性は何ですか?
- 中期経営計画2027で掲げる「収益基盤の多様化」に向け、JPX総研を中心とした新規事業創出に、現場レベルでどう関与できますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
この会社にいないとできない仕事が多い
日本では唯一といえるポジションにある企業であるため、この会社にいないとできない仕事が多いことはやりがいにつながると思います。
(30代後半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]官僚的な空気が強く残っている部署が多い
何もしなくてもお金が入ってくる組織であることから、官僚的な空気が強く残っている部署が多いことは驚きでした。
(30代後半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年度 第2四半期(中間期) 決算の概要
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。