小林製薬の転職研究 2025年12月期3Q決算に見るキャリア機会

小林製薬の転職研究 2025年12月期3Q決算に見るキャリア機会

小林製薬の2025年12月期3Q決算は、広告再開により国内売上が回復基調。一方で、国内外で約25%のSKU削減や経営体制刷新を伴う「構造改革」を断行中です。「新小林製薬」への再生プロセスにおいて、転職希望者がどの事業で、どのような変革の役割を担えるのかを整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

新体制でのガバナンス改革を断行する

2024年7月の代表取締役交代を経て、創業家依存からの脱却を目的とした抜本的な経営体制刷新を推進しています。社外取締役の増員や外部からの会長招聘、リスク管理体制の再編により、透明性の高い経営執行会議を新設。組織の「同質性」を排除し、健全な意思決定を可能にする「新小林製薬」への変革は、キャリア採用者にとっても風通しの良い環境創出に繋がっています。

国内外で計583SKUの最適化を完遂する

中長期の成長に向けたリソース確保のため、国内全製品の約26%(291品目)の削減を決定しました。国際事業でも約25%を削減し、2026年末までの完了を目指します。これにより生産ラインの切替回数を年間375回減らす見込みです。不採算分野から成長分野へ人員・資金を集中させる構造改革は、マーケティングやSCM(供給網管理)のプロフェッショナルが活躍する大きな機会となります。

品質保証体制を機能別本部へ移行し強化する

紅麹事案の再発防止に向け、2025年1月より信頼性保証本部の役割を明確化し、機能別本部への移行により第一線の専門性を強化します。8月には特定成分以外の混入検出手順を導入開始。品質管理を「コスト」ではなく「最優先価値」と位置づける意識改革を全社で進めており、高度な品質管理スキルを持つ人材の需要が全社的に高まっています。

1 連結業績ハイライト

広告再開により国内売上は回復基調に。特別損失計上の一方で、通期営業利益計画は据え置き、堅調な進捗を見せています。
連結業績サマリー

出典:2025年12月期第3四半期 決算説明会 P.10

売上高 1,120億円 ▲2.1%
営業利益 114億円 ▲32.3%
純利益 68億円 +27.4%

2025年12月期第3四半期累計の業績は、売上高1,120億円(前年同期比2.1%減)、営業利益114億円(同32.3%減)となりました。広告活動の停止や通販の定期購入解約が響き減収減益となりましたが、7月からのTV広告本格再開により、第3四半期(7-9月)単体では売上高が前年比4.1%増と回復に転じています。また、製品回収関連の特別損失33億円を計上したものの、広告再開の期ずれ等によるコスト抑制もあり、利益面では底堅さを見せました。



第3四半期累計の営業利益は、通期予想140億円に対して進捗率82.1%に達しており、業績は順調に推移しています。当初計画に対して営業利益は約40億円上振れて着地しており、通期目標の達成に向けて確かな手応えを得ている状況です。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

国内事業は広告再開を機に再成長へ。国際事業は地域ごとにメリハリをつけた展開を加速させています。
国内事業カテゴリー別業績

出典:2025年12月期第3四半期 決算説明会 P.13

国内事業

事業内容:医薬品、衛生雑貨品、芳香消臭剤等の開発・販売、および自社通販サイトの運営。

業績推移:累計売上高814億円(2.4%減)。Q3単体では、TV広告再開により+3.5%の増収を達成。

注目ポイント:「熱中対策 肌キンキンボディミスト」など今春発売の新製品が21億円の増収に寄与。また、インバウンド需要が82億円(前年同期は73億円)と拡大傾向にあります。今後は通販サイトの自社販売終了などのリソース再編を経て、高付加価値な主力製品への投資を強化します。

注目職種:ブランドマネージャー、デジタルマーケティング、国内営業(ドラッグストア担当)

国際事業(全地域)

事業内容:米国、中国、東南アジアを中心とした「熱さまシート」「カイロ」「アンメルツ」等の展開。

業績推移:累計売上高301億円(1.7%減)。米国は12.4%増と好調、中国・東南アジアは需要減で苦戦。

注目ポイント:米国では厳冬によるカイロの伸長に加え、新製品のサプリメントが貢献。一方で中国・東南アジアは前年の感染症特需の反動を受けましたが、在庫調整は解消傾向にあります。グローバルでのSKU最適化により、各市場の文化に合わせた製品開発への集中投資が可能になります。

注目職種:海外営業企画、グローバルSCMスペシャリスト、海外事業推進

3 今後の見通しと採用の注目点

構造改革による収益基盤の強化を完遂。今後は「新小林製薬」としての行動規範に基づいた再成長を加速させます。
中長期に向けたSKU最適化の目的

出典:2025年12月期第3四半期 決算説明会 P.17

通期業績予想は売上高1,710億円、営業利益140億円を据え置いています。今後の焦点は、Q3までの利益上振れ分をQ4にどれだけ将来への追加投資に回せるかです。特に広告宣伝費の再投入や、中国新棟への投資など、来期以降の成長ドライバー構築に重点が置かれます。

採用面での注目は、現在作成中の「新たな行動規範」の発出です。組織風土改革プロジェクトが進行しており、年末には全社に向けて新たな行動指標が示される予定。従来の「同質性」を打破し、多様性を確保する人事評価制度の導入(2025年12月予定)など、外部人材がその専門性を発揮し、正当に評価される仕組み作りが加速しています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「新小林製薬」を創り直すというフェーズは、既存の枠組みに捉われない変革のリーダーシップを求めています。特に品質管理体制の再構築や、リソースの取捨選択(SKU最適化)に伴うSCMの再設計など、具体的な構造改革の実行に貢献できることを伝えると、経営陣の現在の課題認識と合致し、高い評価に繋がりやすいでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

「2026年末までに完了予定のSKU最適化において、余剰となったリソースを具体的にどのような新規カテゴリーや技術投資に振り分ける計画ですか?」といった質問は、資料を読み込んでいる意欲を示しつつ、自身のキャリアが将来の成長領域のどこにフィットするかを確認する良い機会になります。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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ニッチな商品で市場をリードする力がある

ニッチな商品で市場をリードする力があり、利益率も高いのが魅力です。特にドラッグストアとの強固な関係があり、安定した販売網を築いています。

(40代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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マーケティングに重きを置きすぎている

マーケティングに重きを置きすぎるあまり、時折本質を見失うことがあるのは課題です。特に、過去の食品関連の問題はその一例で、企業全体に影響を及ぼしました。

(50代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 小林製薬株式会社 2025年12月期第3四半期 決算説明会資料(2025年11月11日発表)
  • 小林製薬株式会社 2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月11日発表)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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