栗田工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

栗田工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

栗田工業の2026年3月期2Q決算は、事業利益が前年比11.1%増と好調。半導体向けサービスの拡大とCSVビジネスの成長が収益を牽引しています。「なぜ今、栗田工業なのか?」を、水処理のサービス化戦略や新規事業の展望から整理。エンジニアや技術営業のキャリア機会を詳しく分析します。


0 編集部が注目した重点ポイント

報告セグメントを変更し電子市場の管理体制を強化する

2026年3月期第1四半期より、従来「一般水処理市場」に含まれていた欧米の電子装置事業の一部を「電子市場」セグメントへ移管しました。これにより、世界的な半導体需要の拡大に対し、地域を跨いだグローバルな責任体制が明確化されています。この組織再編は、同社が注力する電子産業でのキャリア機会をさらに広げる構造的変化といえます。

収益性の高い継続契約型サービスが業績を牽引する

装置の売り切りモデルから、超純水供給事業などの継続契約型サービス(リカーリングビジネス)への転換が着実に成果を上げています。電子市場の事業利益率は13.2%に向上しており、景気変動に左右されにくい安定した収益基盤の構築が進んでいます。技術的な専門性を長期的に顧客へ提供できる、エンジニアにとって魅力的な環境が整いつつあります。

CSVビジネス売上高が前年比11%増と成長を加速させる

顧客の環境課題を解決することで価値を創出する「CSVビジネス」が拡大し、全社連結で267億円に達しました。特に一般水処理市場ではモデル数が118件まで増加しており、節水や廃棄物削減といった社会的意義の高いプロジェクトに携われる機会が増えています。環境志向の強い専門人材の確保が、今後の成長のカギを握っています。

1 連結業績ハイライト

売上高・各段階利益ともに前年同期を上回り、通期計画に向けて順調な進捗を見せています。
2026年3月期上期業績概要

出典:2026年3月期 上期 決算説明会 P.4

売上高

1,983億円

+1.4%

事業利益

236億円

+11.1%

中間利益

172億円

+15.0%

※事業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費(恒常的な事業の業績を測る独自指標)

2026年3月期上期の連結業績は、売上高が前年比1.4%増、事業利益が11.1%増と増収増益を達成しました。特に事業利益率が11.9%(前年同期比1.0pt改善)に向上したことは特筆すべき成果です。為替レートの変動や中国での大型案件の反動といったマイナス要因を、日本およびアジアでのメンテナンスサービスや継続契約型サービスの伸長が打ち消しました。

通期予想に対する進捗状況については、売上高で46.7%、事業利益で43.7%となっており、同社は計画線で進捗と評価しています。受注高については足元の動向を踏まえ4,350億円へ上方修正されており、下期に向けた業績の下支えが期待できる状況です。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

半導体向けの「電子」と、幅広い産業を支える「一般水処理」の両輪で、高付加価値サービスへの転換が進んでいます。
CSVビジネスの拡大状況

出典:2026年3月期 上期 決算説明会 P.10

電子市場

事業内容:半導体や液晶パネル製造に不可欠な超純水供給システム、排水回収装置、精密洗浄サービスの提供。

業績推移:売上高901億円(前年同期比+0.5%)、事業利益119億円(同+11.6%)と収益性が大幅改善。

注目ポイント:中国での大型案件の反動減があったものの、日本やアジアでのメンテナンス需要が大幅に増加(前年比27%増)しました。また、水供給サービスも着実に伸長しており、安定した収益を生むサービス事業へのシフトが鮮明です。最先端の半導体プロセスに深く入り込む技術力が求められています。

注目職種:プラントエンジニア、フィールドサービス、超純水供給事業のオペレーション管理

一般水処理市場

事業内容:鉄鋼、石油化学、製紙、食品など多岐にわたる産業向けの工業用水処理薬品、装置、メンテナンス。

業績推移:売上高1,082億円(前年同期比+2.2%)、事業利益117億円(同+10.7%)と堅調に推移。

注目ポイント:付加価値の高いCSVビジネス(節水やCO2削減に貢献するサービス)が一般水処理セグメントの利益成長を支えています。日本での工事進捗に加え、北米での官公需向け装置案件も増加傾向にあり、国内外での事業拡大が続いています。顧客の生産プロセスに踏み込んだ提案型営業の重要性が高まっています。

注目職種:技術営業(薬品・装置)、土壌浄化エンジニア、海外拠点管理、サービス開発

3 今後の見通しと採用の注目点

中期経営計画「PSV-27」の達成に向け、半導体市場の成長取り込みと新規事業の創出に注力します。
中期経営計画PSV-27の全体像

出典:2026年3月期 上期 決算説明会 P.28

同社は、半導体市場がメモリやロジックを中心に長期的な成長(CAGR: +8.8%)を続けると予測しており、これに紐づく装置およびサービス事業の拡大を最優先課題としています。特にグローバルアカウント(世界トップメーカー)との関係強化を掲げており、北米や欧州、韓国などでの拠点展開を加速させています。

また、水処理の枠を超えた「新規事業」の創出も進んでおり、PFAS(有機フッ素化合物)対策やリチウム資源回収ビジネス、さらにはispace社との連携による「宇宙経済圏向け水循環ソリューション」など、将来の成長の柱となる種まきが行われています。

財務戦略においては、配当性向30%〜50%を目安とした長期的な増配方針を維持しつつ、成長投資(オーガニック・M&A)と株主還元のバランスを重視する姿勢を明確にしています。資本効率を意識した経営への転換は、組織としての健全性と成長性の両立を物語っています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

同社は現在、装置の販売から「水の管理」という継続的なサービスモデルへの移行を加速させています。志望動機では、単に技術を磨くだけでなく、「顧客の課題解決に長期的に寄り添いたい」という姿勢や、節水・脱炭素といった「環境価値と経済価値の両立(CSV)」への共感を強調することが、同社の戦略と合致しやすく効果的です。

Q&A

面接での逆質問例

  • 「セグメント再編により、欧米の電子市場向けビジネスと日本の技術チームの連携体制はどのように変化していますか?」
  • 「CSVビジネスの拡大にあたり、現場のエンジニアにはどのような新しいスキルや視点が期待されていますか?」
  • 「新規事業(PFAS対策やリチウム回収など)において、既存の水処理技術はどのように応用されているのでしょうか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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福利厚生は日本の企業の中でも充実している

扶養者の有無によっては家族手当なども支給されるため、福利厚生は日本の企業の中でも充実していると感じる。

(30代・企画営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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先輩社員の方が優遇されやすいケースがある

年功序列感も少なからず残っており、高い水準で同じレベルの業務を担当していても主任クラスへの昇格は、先輩社員の方が優遇されやすいケースがある。

(30代・企画営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
  • 2026年3月期 上期 決算説明会資料

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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