0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期業績予想を上方修正し成長を加速させる
第3四半期までの好調な実績と為替レートの円安推移を踏まえ、通期の売上高を1兆100億円、営業利益を370億円へと上方修正しました。顧客からの開発費回収の増加や、コンポーネント事業におけるモバイル・民生市場向けの伸長が寄与しており、収益基盤の強化が進んでいることを示しています。
② モビリティ事業への名称変更で体制を刷新する
2026年3月期より、従来の「モジュール・システム事業」を「モビリティ事業」へと名称変更しました。単なる呼称の変化ではなく、不採算製品の縮小や売価改善といった構造改革の成果が営業損益の黒字化として現れており、車載市場での次世代ソリューション提供に向けた事業再編が加速しています。
③ 配当予想を増額し株主還元を強化する
自己株式の取得に伴う発行済株式数の減少等を考慮し、期末配当予想を30円から32円に引き上げ、年間配当を62円とする方針を決定しました。利益成長を確実に還元する姿勢を明確にしており、資本効率の向上と持続的な企業価値の増大を目指す経営フェーズに入っていることが伺えます。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料 P.4
当第3四半期連結累計期間は、売上高が7,611億円となり、モバイル市場や民生市場向けの製品が堅調に推移しました。営業利益は前年同期の252億円から332億円へと大幅に増加しています。これは、売上の増加に加え、持分法適用会社に関連する不動産流動化取引等による営業外収益の計上も寄与しています。
通期予想に対する進捗状況については、営業利益332億円に対し、修正後の通期予想370億円に対する進捗率が89.8%に達しており、業績は極めて順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料 P.6
コンポーネント事業
事業内容:スマートフォン向け部品、車載用スイッチ、民生機器用電子部品等の開発・製造を担当。
業績推移:売上高2,827億円(前年同期比5.1%増)、営業利益275億円(同4.4%増)と着実に成長。
注目ポイント:モバイル・民生・車載の全市場向け製品が増加しており、特に高精度なスイッチ製品や車載向けパッシブデバイスの需要が拡大しています。生産効率の向上と製品ミックスの改善により、為替影響を跳ね返す利益を創出しており、高度な生産技術人材のニーズが高まっています。
センサー・コミュニケーション事業
事業内容:各種センサー製品、通信モジュール、ポータブルフォトプリンター等を展開。
業績推移:売上高642億円(前年同期比1.4%減)、営業損失26億円と苦戦。
注目ポイント:車載向け製品が従来型からデジタルキーへの置き換えによる端境期にあることや事業譲渡の影響を受けましたが、民生用フォトプリンターは世界シェア約62%を誇り拡大中です。次世代のデジタルキー(2026年販売開始予定)やミリ波センサーの立ち上げに向けた開発人材の確保が急務となっています。
モビリティ事業(旧モジュール・システム事業)
事業内容:車載情報機器、キャビンソリューション、車載用大型システム製品を提供。
業績推移:売上高3,992億円(前年同期比2.0%増)、営業利益78億円(前年同期は1億円の損失)。
注目ポイント:不採算製品の縮小や売価改善の徹底により、前年同期の赤字から劇的な黒字化を達成しました。キャビンドメインコントローラー等の高付加価値製品へのリソースシフトを進めており、システム全体のアーキテクチャ設計やソフトウェア開発能力を持つ人材への期待が非常に高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料 P.18
2026年度に向けて、デジタルキーやキャビンドメインコントローラーなどの戦略的新製品が順次市場投入される予定です。特にデジタルキーは、先頭車両向け開発が完了し、今後の車種展開に向けたフェーズに入っています。民生用フォトプリンター事業では、競合他社の撤退によりシェアがさらに拡大する見込みで、CAGR(年平均成長率)8.3%の市場成長を取り込む方針です。
一方で、半導体供給不安やレアアース制限といった地政学リスクに対し、調達ルートの複線化や代替サプライヤーの確保を継続しています。顧客OEMの開発計画変更に合わせた柔軟なリソースシフトを断行しており、変化に強い組織づくりとコスト構造の再構築を並行して進める段階にあります。
4 求職者へのアドバイス
モビリティ事業における「不採算製品の改善によるV字回復」の実績は、経営の実行力の高さを示しています。また、デジタルキーやキャビンソリューションといった次世代車載技術へのリソース集中を明言しており、「伝統ある電子部品メーカーから、システムソリューションプロバイダーへの変革に貢献したい」という志向性は高く評価されるでしょう。
「モビリティ事業の名称変更に伴い、組織文化やエンジニアに求められるスキルの変化をどのように感じていますか?」といった質問は、事業への理解の深さをアピールできます。また、「2026年度に集中する新製品立ち上げプロジェクトにおいて、中途採用者が即戦力として期待される具体的な役割について教えてください」という質問も有効です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
責任の重さと待遇が一致しないことが多い
給与制度に関しては、ジョブ型の評価制度が一部導入されていますが、年功序列の影響が強く、責任の重さと待遇が一致しないことが多いです。
(40代前半・コンサルティング営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。