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編集部が注目した重点ポイント
① ROE 8%達成に向けた収益性が向上する
2025年度のROE(自己資本利益率)は11.4%と、目標の8%を大きく上回る見通しです。北米シェールガス事業の利益増や特別利益の計上が寄与しており、親会社株主に帰属する当期純利益は1,940億円を計画しています。資本効率の向上と株主還元の強化が同時に進んでおり、経営基盤の強靭化が鮮明になっています。
② 豪州社の解散に伴う資産の再編を実行する
2025年度第1四半期に東京ガスオーストラリア社の解散を決議しました。これに伴い、約680億円の為替換算調整勘定(海外資産の評価差額)を取り崩し、特別利益として計上しています。不採算資産の整理や地域ポートフォリオの最適化を進めることで、グローバル展開における経営スピードと資本効率の改善を加速させています。
③ 500億円規模の不動産売却を推進する
都市ビジネスセグメントにおいて、GINZA gCUBEなどの保有不動産を総額500億円程度売却する計画です。得られた資金を次なる成長投資へ振り向ける「キャピタルリサイクル(資産の循環)」を徹底しており、2026-28年度の中計期間でも700億円以上の売却を予定しています。不動産開発とエネルギー事業のシナジーを追求する新しいキャリア機会が拡大しています。
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連結業績ハイライト
出典:2025年度第3四半期決算説明会 P.5
2025年度第3四半期累計の業績は、売上高・各利益ともに前年同期を大きく上回る極めて好調な決算となりました。特に親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期の335億円から1,662億円へと飛躍的な伸びを見せています。これは、エネルギー事業におけるタイムラグ影響(原料費の変動が価格に反映される時間差)の好転や、北米シェールガス事業の販売単価上昇、さらに資産売却による特別利益の計上が主な要因です。
通期予想に対する進捗状況については、経常利益ベースで1,333億円(通期予想1,710億円に対し進捗率77.9%)、純利益ベースで1,662億円(通期予想1,940億円に対し進捗率85.6%)となっており、業績は順調に推移しています。
第3四半期時点ですでに純利益の目標の多くを確保しており、年度末にかけてさらなる資産リサイクル(売却)も予定されていることから、強気の着地が期待される状況です。
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事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第3四半期決算説明会 P.8
エネルギー・ソリューション
事業内容:都市ガス、LNG販売、電力小売、エンジニアリングソリューション等、国内エネルギー需給を幅広くカバーする基幹セグメントです。
業績推移:セグメント利益は1,359億円(前年同期比+41.0%)と大幅増益。ガスの利益改善に加え、電力販売量が20,556百万kWh(同+22.4%)と伸長しました。
注目ポイント:電力小売件数が429.4万件まで拡大しており、ガスと電力のセット販売が強力な競争力を維持しています。また、一部国内再エネ事業で減損を計上しつつも、エネルギーミックスの最適化に向けた投資を継続しており、脱炭素・DX領域のエンジニアリング人材へのニーズが非常に高い状況です。
ネットワーク
事業内容:ガス導管の維持・管理、託送供給(他事業者がガス管を利用する際の料金収受)を担う安定収益部門です。
業績推移:セグメント損失は190億円となりましたが、前年同期(△221億円)から31億円改善しています。託送供給収益の増加が寄与しました。
注目ポイント:供給安定性を守る使命があり、基盤投資として年間808億円規模の設備投資を継続しています。レジリエンス(災害復旧力)強化に向けた技術革新が進んでおり、インフラの維持管理におけるスマート化・効率化を主導できる土木・電気・機械系エンジニアの活躍の場が広がっています。
海外
事業内容:北米のシェールガス事業、海外LNG拠点、持分法適用会社を通じた投資活動を展開しています。
業績推移:セグメント利益は483億円(前年同期比+252.9%)と驚異的な成長を記録。北米シェールガスの販売単価上昇が利益を大きく押し上げました。
注目ポイント:(注:TGアメリカグループにおいて会計方針を米国基準へ変更済み) 北米を中心とした上流権益の積極的なマネジメントが成果を出しています。テリービル資産の売却など資産効率の向上を図っており、今後もグローバルな投資・売却のプロフェッショナルが求められるフィールドです。
都市ビジネス
事業内容:オフィスビル、商業施設、ホテルの賃貸・開発および販売用不動産の運用を手掛けています。
業績推移:セグメント利益は18億円(前年同期比△82.8%)。パークタワーホテルの改装費用増等が影響しましたが、特別利益を含めた事業全体では増益です。
注目ポイント:収益構造を「保有」から「循環(キャピタルリサイクル)」へシフトさせています。新宿パークタワーの2030年頃に向けた大規模改修や、豊洲エリアの次期開業に向けた開発など、10年単位の巨大プロジェクトが進行中。不動産開発とエネルギー供給を一体で考えるユニークなキャリアを構築可能です。
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今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第3四半期決算説明会 P.16
東京ガスグループは、2025年度の通期利益見通しについて、セグメント利益を前回比196億円の上方修正となる1,876億円と発表しました。北米シェール販売単価の上昇や国内ガス事業の採算改善が追い風となっています。一方で、当期純利益予想は1,940億円で据え置いていますが、これは国内再エネ事業の一部減損を織り込むなど、資産の健全化を優先する保守的かつ実利的な判断といえます。
採用面での注目点は、23-25年度中計で掲げる8,855億円規模の成長投資の実行力です。特に脱炭素関連への投資は累計1,316億円を見込んでおり、水素・アンモニア供給網の構築や、メタネーション(CO2と水素から合成メタンを生成する技術)の実装など、最先端の技術領域で専門人材を強く求めています。単なるガス会社から「未来をつむぐエネルギーグループ」へと変革するステージにあり、異業界からのスペシャリスト採用にも非常に意欲的です。
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求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社の「事業ポートフォリオマネジメント」の加速に注目しましょう。単なるエネルギー供給にとどまらず、海外シェールガス事業やキャピタルリサイクル型不動産ビジネスなど、高度なファイナンスと実業を組み合わせたモデルへ進化しています。「安定したインフラ基盤を持ちながら、リスクを取って新たな成長投資を実行する姿勢に共感した」という文脈は、現在の経営方針と強く合致しており、説得力のある志望動機になります。
面接での逆質問例
「国内再エネ事業の一部で減損を計上されていますが、今後の脱炭素投資における選別基準や優先順位はどう変化していくのでしょうか?」といった、リスクを理解した上での戦略的な質問が効果的です。また、「海外事業における米国会計基準への変更や豪州社の解散など、グローバルな意思決定のスピードを上げるために、現場の組織体制はどう変わっていますか?」と聞くことで、変化への適応力をアピールできます。
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転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
インフラ企業であるため経営が安定している
インフラ企業であるため経営が安定しており、仕事ができる人は新たな業務にどんどんチャレンジして業績を残すことができる。
(20代後半・技術関連職・男性) [キャリコネの口コミを読む]給料が減って厳しい
ガスの自由化により非常に厳しいものがある。昔は残業も多く、毎月の給料も高かったが、現在は働き改革によって残業代がつけられなくなった。そのため給料が減って厳しい。
(20代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
・東京ガス株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・東京ガスグループ 2025年度(2026年3月期) 第3四半期決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。