0 編集部が注目した重点ポイント
① 医薬受託子会社の売却により経営資源の選択と集中を推進する
当第2四半期より、ジェネリック医薬品の製造販売を行っていたニプロESファーマ株式会社を連結除外しました。不採算品目の終売や品目集約を進める構造改革の一環であり、より成長性の高い医療機器分野や高付加価値な受託製造へのシフトを鮮明にしています。組織の若返りや事業ポートフォリオの刷新が進む中で、新たなキャリア機会が生まれています。
② 国内外での価格適正化が進み営業利益が前年比14.0%増を達成する
原材料や運送費の高騰が続く厳しい環境下で、注射針や輸液関連製品の価格改定(値上げ)が着実に浸透しました。コスト上昇分を売上総利益の改善でカバーし、営業利益は15,337百万円を記録。単なる増収にとどまらず、収益性を重視した経営への転換が数字となって現れており、安定した収益基盤の上で挑戦できる環境が整っています。
③ グローバルな増産体制を構築し人工腎臓の世界需要を取り込む
主力製品であるダイアライザ(人工腎臓)の増産に向け、秋田の大館工場で2025年4月に新ラインを稼働。さらにベトナム工場でも増設を予定しており、海外市場での攻勢を加速させています。中国の集中購買制度下でも出荷数を大幅に伸ばしており、グローバル規模での生産管理やSCM(サプライチェーン管理)に携わりたい人材にとって絶好のタイミングです。
1 連結業績ハイライト
出典:IR資料 -2026年3月期 第2四半期- P.4
中間期の業績は、医療関連事業の堅調な推移と販売価格の適正化により、増収増益を達成しました。特に営業利益率は前年同期の4.3%から4.8%へと改善しており、不採算品の整理や生産性向上の成果が現れています。なお、純利益の大幅増は、再生医療事業の研究拠点である東京CPFの土地譲渡に伴う固定資産売却益41億円を計上した一時的要因を含みます。
通期予想に対する進捗率は、売上高が46.9%、営業利益が41.4%となっており、第2四半期終了時点としては進捗が遅れている状況にあります。ただし、主力製品の新ライン稼働や為替影響の縮小を見込んでおり、現時点では通期業績予想を据え置いています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:IR資料 -2026年3月期 第2四半期- P.9
医療関連事業
事業内容
ダイアライザ(人工腎臓)や透析関連製品、注射針、輸液セット、カテーテル等の医療機器および医薬品の製造販売。
業績推移
売上高 2,525億円(+4.3%)、セグメント利益 239億円(-2.4%)。国内外で需要は旺盛。
注目ポイント
米州での大手透析プロバイダーとの提携や、中国での集中購買を通じたダイアライザの数量増が成長を支えています。人件費や運送費の増加が利益を圧迫していますが、高付加価値製品へのシフトと価格改定による収益回復が急務となっており、海外営業やマーケティング、臨床開発のニーズが高まっています。
医薬関連事業
事業内容
(注:ニプロESファーマの連結除外を含む)医薬品の受託製造およびジェネリック医薬品の展開。
業績推移
売上高 370億円(-2.3%)、セグメント利益 49億円(+54.0%)。利益率が大幅に改善。
注目ポイント
事業譲渡による減収影響はあるものの、抗がん剤などの新規受託品の伸長により利益体質へ転換しました。既存品の値上げ交渉も奏功しており、ニプロファーマを中心としたCDMO(医薬品受託開発製造)事業は、効率的な生産管理が求められるフェーズにあります。
ファーマパッケージング事業
事業内容
医薬用ガラス管、アンプル、バイアル、ゴム栓などの医療用パッケージの製造販売。
業績推移
売上高 272億円(-13.8%)、セグメント損失 8億円。欧米市場の調整が続く。
注目ポイント
欧米市場における医薬用ガラス容器の在庫過多により苦戦していますが、国内では価格改定が浸透し増収増益を維持。バイオ医薬品向けの滅菌済みガラスシリンジなど、特殊な一次容器の生産・販売体制を強化しており、高度なガラス加工技術を持つ技術者の活躍が不可欠です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:IR資料 -2026年3月期 第2四半期- P.3
ニプロの今後の成長を左右するのは、グローバルな生産能力の最大化です。秋田大館工場の第7工場新設やベトナムでの増改築、さらには米国・ドイツでの能力増強投資を継続しています。設備投資額は前年同期比で抑制されているものの、これは主要な投資が完了フェーズに入り、これから本格的な稼働と利益回収が始まることを示唆しています。
一方で、運送費の高騰や原材料費の上昇といった外部リスクに対しては、更なる「販売価格の適正化」で対抗する構えです。大阪・関西万博への出展など販促活動も強化しており、ブランド価値の向上を通じて「価格競争に巻き込まれない体制」を構築しようとしています。変化を厭わず、自らオペレーションの改善や新規商流の開拓に挑戦できるプロフェッショナル人材の獲得が、経営上の重要課題となっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
ニプロは現在、ニプロESファーマの除外や不採算品の終売など、「選択と集中」による構造改革の真っ只中にあります。一方で、人工腎臓や高付加価値受託製造といった得意領域には積極的に投資を続けています。「これまでの経験を活かし、盤石なグローバルシェアを持つ製品の収益性をさらに高めたい」や「成長領域へのリソース集中という変革期において、自身の専門性で貢献したい」という軸は、現在の同社の方向性と非常に親和性が高いと言えます。
面接での逆質問例
・「大館工場やベトナム工場での新ライン稼働に伴い、生産管理や品質保証の体制にはどのような新しい要件が求められていますか?」
・「医薬関連事業において不採算品の終売が進んでいますが、今後はどのような高付加価値な受託案件をターゲットにしていく戦略でしょうか?」
・「欧米市場での在庫調整が続くファーマパッケージング事業において、滅菌済みシリンジのような高機能製品の市場シェアをどのように伸ばしていく計画ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- IR資料 -2026年3月期 第2四半期-



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