0 編集部が注目した重点ポイント
① 3Q営業利益は前年同期比30.3%増と大幅に伸長する
2026年3月期第3四半期の営業利益は過去最高益を更新し、110億円に到達しました。電気事業の利幅改善や顧客数の増加に加え、顧客獲得プロセスの効率化による販管費の抑制が大きく寄与しています。ガス需要期である第4四半期に向けて、極めて堅調な推移を見せています。
② 東京エナジーアライアンスを連結子会社化する
2025年10月より東京エナジーアライアンス株式会社を新規連結しました。プラットフォーム事業の拡大を目的とした構造的変化であり、業界全体の持続可能性を高める「共創」のスケールアップを推進しています。同社が保有するキャッシュの取り込みにより、投資活動の効率も向上しています。
③ 資本効率の最適化でROE22%を目指す
3ヶ年計画の最終年度として、ROE(自己資本利益率)目標22%の達成を掲げています。低収益資産からLPガス・ICTなどの高収益資産への入れ替えを加速。自己資本比率を40%に引き下げる資本構成の最適化と、90億円規模の自社株買い枠設定により、企業価値の最大化を図っています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四決算説明資料 P.1
第3四半期累計の連結業績は、売上高が1,419億59百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益が110億10百万円(同30.3%増)となりました。特に販管費において、液石法(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)省令改正に伴う獲得方針の見直しにより、顧客獲得費用が17億円減少したことが利益を押し上げています。
通期営業利益予想200億円に対する進捗率は55.0%となっております。一見すると基準となる75%を下回っていますが、エネルギー事業の特性上、利益は冬場のガス需要期である下期、特に第4四半期に大きく偏重します。資料内でも1-3Q実績は「堅調に進捗」と評価されており、通期目標達成に向けて概ね順調な推移と言えます。
なお、第4四半期については気温の上昇や原料費調整制度(スライド制度)のタイムラグ影響を慎重に見積もり、利益予想を据え置いています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期決算説明資料 P.3
LPガス事業
【事業内容】 戸建住宅や集合住宅向けのLPガス供給、及び省エネ型ガス機器の販売、新保安システムの運営。
【業績推移】 ガス粗利は業務用の利幅縮小により306億円(前年比1.6%減)となった一方、機器・工事・PF粗利が伸長。
【注目ポイント】 顧客数は104.7万件と順調に純増しており、ハイブリッド給湯器などの高付加価値製品の販売が好調です。2026年1月には空調・給排水工事に強い北斗管工社がグループ入りしており、外部受託を強化。現場の施工・メンテナンス体制をデジタルで効率化する、技術×ICTの専門人材が求められています。
電気事業
【事業内容】 家庭用・業務用向けの電力小売サービス、及びペットコミュニティ等の特定層向けプランの提供。
【業績推移】 売上総利益は44億円(前年比38.1%増)と爆発的な成長。利幅は1kWhあたり3.7円(前年比0.8円改善)。
【注目ポイント】 ガスとのセット率が24.3%まで上昇。2025年10月にリリースしたペット保護寄付付きプラン「でガ割もふもふ」など、価値観への共感を重視するマーケティングが奏功しています。データを活用した需要予測や、特定のコミュニティをターゲットにした商品開発スキルの重要性が高まっています。
都市ガス事業
【事業内容】 旧一般ガス事業者エリア、及び新規参入エリアにおける都市ガス供給と機器販売。
【業績推移】 売上総利益は135億円(前年比1%増)。顧客数は前期末より1.3万件増の60.3万件と着実に拡大。
【注目ポイント】 スポーツチームへのスポンサー活動を通じた地域密着型営業が好調で、解約率の低減に成功しています。Web経由の新規獲得も拡大しており、エネルギー自由化市場で勝ち抜くための「選ばれるブランド」を構築する広報・販促の役割が重要です。
エナジー宇宙事業(プラットフォーム・ソリューション)
【事業内容】 スペース蛍(検針・保安システム)や配送・充填等の業界向けプラットフォーム提供。
【業績推移】 粗利益は前年同期比で増加傾向。東京エナジーアライアンスの連結により事業規模を拡大中。
【注目ポイント】 同業他社へのプラットフォーム提供を加速しており、エネルギー業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を主導する立場にあります。M&Aを通じた外部受託エリアの拡大により、プラットフォームのネットワーク効果を最大化する戦略です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期決算説明資料 P.4
ニチガスは、2031年3月期の時価総額5,000億円という長期目標に向け、LPガス業界の構造改革を主導する方針を明確にしています。特に「共創のスケールアップ」として、充填・配送・保安等のインフラを自社で抱え込まず、プラットフォームとして他社と共同利用することで、座礁資産化を防ぐ戦略をとっています。
採用面では、単なるエネルギー供給にとどまらない「エネルギー最適利用」の提案を担う人材が鍵となります。AI/IoTで制御されるハイブリッド給湯器や蓄電池の活用、電力需要のピークカット事業など、エネルギーマネジメントの新たな需要を取り込むためのビジネスモデルへの転換を急いでおり、これら新領域への挑戦意欲が高い人材にとって、活躍の機会は大きく広がっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「エネルギーのラストワンマイル」という同社の強みと、ICTを駆使したプラットフォーム事業への転換に共感を示すのが有効です。従来の御用聞き営業ではなく、データを活用したエネルギー最適利用提案という新たな付加価値を創出したいという姿勢を具体的に伝えましょう。
面接での逆質問例
「現在進めている共創のスケールアップにおいて、他社との提携やM&Aを成功させるための最大の課題は何だと考えていますか?」や、「でガ割もふもふのような特定のコミュニティ向け施策を、今後どのように他領域へ展開する計画ですか?」など、戦略の深掘りをする質問が効果的です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
インフラを守っているというやりがい
自分でコントロールできる部分もあり、毎日使うガスを販売していたので、インフラを守っているというやりがいはあった。
(30代前半・ルートセールス・女性) [キャリコネの口コミを読む]分業が出来ていない
分業が出来ていないので、営業、クレーム対応、保安など、全てをやらなければいけないので、お客様対応が遅れがちになる。
(40代前半・テレホンオペレーター・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第3四半期決算説明資料(2026年2月3日発表)



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