0 編集部が注目した重点ポイント
① 創業150周年に向け新企業理念と長期ビジョンを策定する
2025年に創業150周年を迎えるにあたり、新たな企業理念体系と2035年を見据えた長期ビジョン「Vision F 2035」を策定しました。社会のレジリエンス(復旧力・弾力性)を共創する企業を目指し、マーケティング経営の進化と技術・人材・財務の強化を掲げています。持続可能な社会インフラ整備を支えるパートナーとして、次なる10年の成長基盤を構築する方針です。
② 三井三池製作所の株式を取得し持分法適用会社化を完了した
2026年3月期中間期において、三井三池製作所の株式を追加取得し、経営に影響を与えるグループ会社(持分法適用関連会社)としました。これに伴い、営業外収益に負ののれん発生益を含む2,321百万円の投資利益を計上しています。産業機械分野等でのシナジー創出を図り、グループの事業ポートフォリオを強化する構造的変化を遂げています。
③ 政策保有株式の縮減を推進し資本効率の向上を図る
2025年3月末時点で政策保有株式比率を16.6%まで下げ、目標を達成しました。2026年3月期も20%未満の維持を目指し、売却を継続しています。中間期には投資有価証券売却益として860百万円を計上し、生み出したキャッシュを自己株式取得(5,146百万円)等に充当。資本コストを意識した経営への転換により、企業価値向上を鮮明にしています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期中間期決算説明会資料 P.3
売上高
97,635百万円
+4.4%
営業利益
4,208百万円
+20.6%
経常利益
6,297百万円
+83.7%
中間期の売上高は、素材事業(金属・電子・化成品)の好調により前年同期比4.4%増となりました。利益面では、金属価格変動による価格差益や、負ののれん発生益を含む持分法による投資利益の計上により、経常利益が大幅に伸長しています。親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に大規模な政策保有株式売却があった反動で減少していますが、本業の収益性は着実に改善しています。
通期予想に対する進捗率は、売上高が49.4%、営業利益が52.6%となっており、概ね順調な進捗と言えます。特に経常利益は通期予想9,400百万円に対し中間期で6,297百万円(進捗率67%)に達しており、好調な推移を見せています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期中間期決算説明会資料 P.8
産業機械部門
【事業内容】 破砕機(マテリアル機械)、ポンプ(流体機械)、ベルトコンベヤ、橋梁の新設工事等、社会インフラを支える大型機械の開発・設計・施工を担います。
【業績推移】 売上高9,533百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益516百万円(同5,050%増)。プラント工事の追加原価減少により利益が急回復しました。
【注目ポイント】 インフラ老朽化や防災・減災意識の高まりを受け、ベルトコンベヤやポンプ製品の需要が拡大しています。特に「ダンプトラックに替わる土砂搬送方法」としてのベルトコンベヤへの引き合いが増加しており、設計から施工までを一貫して受注できる総合エンジニアリング力を強化するための技術人材が求められています。
ロックドリル部門
【事業内容】 トンネルドリルジャンボや油圧ブレーカなど、鉱山開発や土木工事で使用される破砕・穿孔機械をグローバルに展開しています。
【業績推移】 売上高17,422百万円(前年同期比5.4%減)、営業利益1,345百万円(同12.6%減)。北米での出荷減が響き、減収減益となりました。
【注目ポイント】 国内シェアトップクラスを誇る製品群を有し、海外比率も高い部門です。今後は北米での販売強化や値上げ効果を見込んでおり、ICTを活用したサポートシステム(IoTによる稼働管理等)によるカスタマーサクセスへの貢献を重点項目に掲げています。デジタルの知見を持つ営業・技術人材の活躍の場が広がっています。
ユニック部門
【事業内容】 積載形トラッククレーン「ユニック」や、狭小地で威力を発揮するミニ・クローラクレーン、車両搬送車等を提供しています。
【業績推移】 売上高14,486百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益275百万円(同56.7%減)。国内生産台数減による固定費負担増が影響しました。
【注目ポイント】 トラック供給の遅れという外部要因はあるものの、欧州向けミニ・クローラクレーンは出荷増となるなど海外需要は根強いです。「環境と調和した製品」として、電動化や省エネ製品の開発を長期目標に据えており、製品開発体制の拡充に向けた次世代技術者の採用が期待されています。
金属部門
【事業内容】 古河メタルリソース(株)を通じ、電気銅、電気金、銀等の精錬・供給責任を果たしています。家電や自動車、通信機器の基礎材料を提供します。
【業績推移】 売上高44,683百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益1,215百万円(同109.8%増)。金相場の上昇が大きく寄与しました。
【注目ポイント】 委託精錬事業の抜本的な見直しに目処をつけ、強靭な経営基盤の構築を進めています。金属価格変動に左右されにくい体質を作るため、運転資本削減や物流効率化を重点項目に掲げており、サプライチェーン全体を最適化できるビジネス系人材や、環境対応型素材の開発者の貢献が不可欠となっています。
電子部門
【事業内容】 世界シェアトップの高純度金属ヒ素や、半導体製造装置向けの窒化アルミセラミックスなど、最先端の電子材料を提供しています。
【業績推移】 売上高3,190百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益92百万円(前年同期は赤字)。需要回復により黒字転換を果たしました。
【注目ポイント】 AIサーバー市場やスマートフォン向けの需要回復が鮮明です。特に窒化アルミセラミックスは、今後の需要増を見越して増産設備投資を完了しており、フル生産体制を支えるエンジニアや、次世代の放熱部材を提案できる研究開発人材がグループの成長を牽引する重要な存在です。
化成品部門
【事業内容】 船底塗料用防汚剤の亜酸化銅や、パッケージ基板用めっきシステムの酸化銅など、銅をベースとした特殊化学品を製造します。
【業績推移】 売上高5,206百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益394百万円(同5.2%増)。AIサーバー向けの需要好調により増収増益となりました。
【注目ポイント】 電子材料の高性能化に伴い、パッケージ基板製造メーカー等からの要望が高度化しています。2023年に生産設備増設を完了しており、高品質な製品を安定供給するための製造プロセス改善や、顧客のニーズに合わせた新製品開発を行う化学系専門人材の活躍が期待されています。
不動産事業
【事業内容】 東京・日本橋の「COREDO室町2」をはじめとする主力ビルの賃貸・管理を通じ、グループの安定収益源を支えています。
【業績推移】 売上高1,110百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益421百万円(同17.1%増)。オフィスの空室率改善により堅調に推移しています。
【注目ポイント】 安定したキャッシュ創出力を背景に、グループ全体の投資資金を支える重要な役割を担っています。プロパティマネジメントの知見を持つ人材により、資産価値の最大化とポートフォリオの最適化を進めています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期中間期決算説明会資料 P.33
当社グループは、2026年度を起点とする新たな長期ビジョン「Vision F 2035」において、「経営基盤の拡充」を最優先課題の一つに掲げています。具体的には、人材価値向上に向けた研修教育の実施、ダイバーシティ(多様性)の推進、健康で働きやすい就業環境の整備を盛り込んでいます。
事業面では、インフラ工事による防災・減災への貢献や、電動化・省エネ製品の開発による地球温暖化抑止など、社会的価値と経済的価値の両立を目指します。これらを実現するために、最新の技術や業務への対応力向上、エンゲージメントの向上を重視しており、中途採用者に対しても「変革を牽引する専門性」を期待しています。2026年5月には新中期経営計画の発表も予定されており、組織の活性化が加速するフェーズにあります。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
古河機械金属グループは創業150周年の節目にあり、「社会のレジリエンスへの貢献」という明確な存在意義を再定義しました。これまでの伝統に安住せず、ICT活用や電動化、M&Aを通じたポートフォリオ強化など、マーケティング経営への進化を志向しています。単なる「モノづくり」を超え、社会課題を解決するエンジニアリングや高度な素材開発に挑戦したいという意欲は、高く評価されるはずです。
面接での逆質問例
・「長期ビジョン『Vision F 2035』における『人材価値の向上』のために、具体的にどのようなリスキリングやキャリア開発支援を検討されていますか?」
・「三井三池製作所の持分法適用会社化など、グループ間の連携が強化されていますが、新領域での協業や技術交流の機会はどのように創出されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
高給取りにはなれない
総合商社や金融のような高給取りにはなれないかもしれませんが、小売や飲食店のように安くもなくほどほどのお金がもらえる企業じゃないかなと思います。
(20代前半・カウンターセールス・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期中間期決算説明会資料(2025年11月28日)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月7日)
- 新・企業理念・長期ビジョンの策定について(2025年11月28日)



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