東芝テックの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

東芝テックの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

東芝テックの2026年3月期3Q決算は、米国関税の逆風を価格改定等でリカバリーし、3Q単体で増収増益を達成。「なぜ今東芝テックなのか?」、プラットフォーム「ELERA」やAIエージェントへの変革期にある同社で、転職希望者がどのような役割を担えるのか、最新の事業構造変化から紐解きます。


0 編集部が注目した重点ポイント

国内複合機事業をリテールセグメントへ移管する

2025年度より、従来ワークプレイス事業に含まれていた国内向け複合機事業をリテール事業へ移管しました。このセグメント再編により、店舗向けのソリューション提供体制を統合し、顧客課題に対する一括提案を強化しています。転職者にとっては、事業領域を越えたキャリア機会の融合が期待できる大きな構造変化といえます。

米国関税による110億円の影響を対策で補う

米国関税による利益へのマイナス影響が年間で110億円に達する見込みですが、価格改定や生産拠点の最適化を加速させています。3Q単体では営業利益が前年比で増益に転じるなど、リカバリーの成果が明確に出始めています。厳しい外部環境下でも収益を確保する実行力が、現在の同社の強みとなっています。

ソリューション事業への転換により安定収益を創出する

ハードウェア販売から、ELERA(グローバルリテールプラットフォーム)やAIを活用した「ソリューション型ビジネス」への変革が加速しています。特に子会社のジャイナミクスとマッキンゼーの提携により、業界特化型AIエージェントの展開を推進。従来型の保守からデジタルを活用した安定収益モデルへの進化は、エンジニア等のIT人材にとって魅力的な環境です。

1 連結業績ハイライト

3Q単体では増収増益を達成。関税影響や事業再編を乗り越え、4Qに向けた利益集中局面へ。
2025年度第3四半期決算ハイライト

出典:2025年度 第3四半期決算説明資料 P.4

売上高(3Q累計)

3,998億円

前年比-6.0%

営業利益(3Q累計)

25億円

前年比-78.4%

通期営業利益予想

120億円

据え置き

2025年度第3四半期累計の売上高は3,998億円、営業利益は25億円となりました。前年同期比では大幅な減益となっていますが、これは主に米国関税による110億円の利益減少が響いたものです。しかし、四半期単体での推移を見ると、1Qのマイナス21億円から2Qの10億円、3Qの36億円へと着実なV字回復を実現しており、構造改革と価格改定の効果が結実しています。

通期予想に対する売上高の進捗率は70.1%、営業利益の進捗率は20.8%と、数値上は進捗が遅れているように見えます。しかし、4Qに国内リテールの大型案件導入の継続や海外での需要回復が集中する見通しであり、4Q単体で95億円の営業利益を計画していることから、通期目標の達成に強い意欲を示しています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

国内市場の堅調さと、海外市場でのデジタル・ソリューション変革が対照的な成長を牽引。
セグメント別業績推移

出典:2025年度 第3四半期決算説明資料 P.21

リテールソリューション事業

事業内容: 国内・海外のPOSシステム、セルフレジ、決済端末、国内複合機等の提供。プラットフォーム「ELERA」を核としたデジタル変革を推進。

業績推移: 3Q累計売上高は2,388億円(前年比6%減)。国内は大型案件導入により増収を確保するも、海外での関税影響が利益を圧迫。

注目ポイント: 国内では飲食向けクラウド型POSが順調に拡大しており、契約店舗数は昨年度から1,100店舗増加しました。海外ではELERAが米トップリテーラー10社中7社に採用されるなど、世界的な「スーパー・プラットフォーム」として高く評価されています。ハードからソフトへのビジネスモデル転換が本格化しており、データ利活用やAPI連携を担える専門人材の重要性が極めて高まっています。

注目職種: クラウドエンジニア、DXコンサルタント、リテールソリューション営業

ワークプレイスソリューション事業

事業内容: 海外市場向け複合機(MFP)およびオートIDシステム(バーコードプリンタ等)の開発・販売・保守サービスを提供。

業績推移: 3Q累計売上高は1,655億円(前年比6%減)。価格改定効果により3Q単体では利益が改善傾向にあるものの、地域構成の悪化が課題。

注目ポイント: 現場とオフィスをつなぐワークフロー提供やクラウド連携ソリューションの売上が対前年で8%成長しています。単純な印刷機器の販売だけでなく、セキュリティやデータ最適化をセットで提供する高付加価値化を推進中。地域構成差の影響で通期予想を下方修正しましたが、オートID領域等の成長ドライバーへの注力は継続しており、グローバルな顧客基盤を活かした新サービス開発の機会が豊富です。

注目職種: 海外サービス企画、ソリューションエンジニア、グローバルサプライチェーン管理

3 今後の見通しと採用の注目点

AIとエッジ技術を融合した「次世代リテール」への進化。構造改革の成果が試される勝負の4Qへ。
ELERAおよび成長戦略のロードマップ

出典:2025年度 第3四半期決算説明資料 P.22

東芝テックは現在、単なるPOSメーカーから、AIやクラウドを中核に据えたソリューションパートナーへの転換期にあります。今後の最大の注目点は、米国関税の影響を一巡させた後の収益力強化です。4Qには価格改定や生産拠点最適化の効果が最大化し、海外リテールでずれ込んだ需要の集中が見込まれるなど、急激な業績回復を確実視する強気の姿勢を崩していません。

特筆すべきは、子会社ジャイナミクスによるAIエージェントの商用展開です。マッキンゼー・アンド・カンパニーとのパートナーシップ締結により、グローバルな知見を取り入れた高品質なAIトランスフォーメーションを推進。フルセルフレジでの不正検知やAIによる自動案内など、人手不足に悩む小売業の現場を救う次世代ソリューションの創出に注力しています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

同社は今、ハードウェア依存からの脱却という歴史的なパラダイムシフトの真っ只中にあります。「ELERA」や「ジャイナミクス」に見られる、AI・データ利活用への本気度を志望動機の軸に据えると良いでしょう。特に「グローバルトップのソリューションパートナー」という基本方針に対し、自身の専門性がどう貢献できるか、共創という視点で語ることが評価に繋がります。

Q&A

面接での逆質問例

「国内複合機事業をリテールセグメントへ移管したことで、現場レベルでのワンストップ提案はどのように具体化されていますか?」といった組織再編に関する質問や、「ELERAの国内展開において、飲食向け以外の領域での拡大スピードをどう見ていますか?」など、事業の拡張性を問う質問は、資料を読み込んだ深い意欲をアピールできます。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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雰囲気は予想以上に体育会系

入社前に抱いていたイメージと実際の職場環境には少し違いがありました。特に、社内の雰囲気が予想以上に体育会系であることに驚きましたが、これが時には良い方向に働くこともあります。

(40代後半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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有給も取得しやすい環境

ワークライフバランスの改善に取り組んでいるため、勤務時間に関しては比較的良好です。 大規模なプロジェクトがある場合を除き、残業は月20時間程度に抑えられています。 休日は多く、特に営業職以外では有給も取得しやすい環境です。 全体としては改善の兆しが見られます。

(30代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  • 2025年度 第3四半期決算説明資料(2026年2月9日発表)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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