0 編集部が注目した重点ポイント
① 他社株式の売却益151億円を計上し最終利益が前年比3倍に急増する
2026年3月期第3四半期において、保有するSiTime Corporation(サイタイム社)株式の一部売却により、151億円の投資有価証券売却益を特別利益として計上しました。この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は109億円に達し、前年同期比で222.7%増という驚異的な伸びを記録しています。
② ASIC事業の需要回復遅れにより通期業績予想を下方修正する
主力のASIC(顧客専用LSI)事業において、OA機器や産業機器分野の在庫調整が想定より長期化し、売上高が前年を下回っています。これを受け、通期の売上高予想を380億円(前回比40億円減)、営業利益を10億円(同20億円減)に修正しました。現在は中長期的な成長に向けた事業構造改革を推進中です。
③ 100億円規模の自社株買いにより総還元性向132%超を計画する
資産売却で得た資金を背景に、上限100億円の自己株式取得と全株消却を決定しました。年間配当金250円(前期比110円の増配)の維持と合わせ、総還元性向は132%+αとなる見通しです。資本効率の向上と株主への利益還元を強力に推し進める姿勢を鮮明にしています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.4
当第3四半期累計期間は、主戦場とするOA機器・産業機器市場の需要回復が鈍く、売上高は前期比16.1%減となりました。一方で、四半期純利益は投資有価証券の売却益により、前年同期の33億円から109億円へと大幅増益を果たしています。
通期予想に対する進捗率は、売上高が76.2%、営業利益が114%(修正後予想ベース)となっており、下方修正後の計画に対しては順調に推移しています。本業の収益性は一時的に低下していますが、強固な財務基盤と資産背景を活かし、次世代事業への投資を加速させる構えです。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.5
ASIC事業
事業内容: 顧客の仕様に合わせて開発する専用LSI。画像処理や通信インターフェース技術を強みに、OA機器や産業機器向けに展開。
業績推移: 世界的な需要減退と在庫調整の長期化により、売上は前年割れで推移。市場回復は鈍い状況。
注目ポイント: 生成AI関連や通信分野の需要は旺盛であり、これまでの画像処理・セキュリティ技術を応用した通信インフラ分野向けの新製品開発が加速しています。既存の産業機器向けから高成長領域へのポートフォリオ転換を担う、高度な設計・開発エンジニアが強く求められています。
アミューズメント事業
事業内容: ASIC技術を活用した遊技機等のアミューズメント機器向けLSIの提供とサポート。
業績推移: 顧客密着型の提案活動により、第3四半期単体では需要が減少したものの、累計では底堅い需要が継続。
注目ポイント: 安定した収益基盤として機能しており、さらなる市場深耕に向けた顧客サポート体制の強化が進んでいます。技術的な知見を持ちつつ顧客の細かなニーズを製品に反映させる、テクニカルセールスや応用エンジニアの活躍フィールドが広がっています。
ASSP(特定用途向けLSI)事業・新規LSI
事業内容: AI、IoT、5Gなどの成長市場をターゲットとした、汎用性の高い特定用途向けLSIの立ち上げ。
業績推移: 現在は新規事業の立ち上げフェーズであり、研究開発費を中心に経営資源を集中投下中。
注目ポイント: 豪Morse Micro社との戦略的パートナーシップにより、長距離無線通信技術を活用した次世代ソリューションの事業化を進めています。「独自性のあるビジネス創出」を掲げており、ゼロから事業を形にするビジネス開発力や、世界レベルのパートナーと連携できるグローバル人材への期待が非常に高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.10
通期業績予想は下方修正されたものの、これは将来の不確実性を織り込んだ保守的な見直しと言えます。サイタイム社株式の縮減を進め、得られた巨額の資金は「事業の成長投資」へ優先的に配分される方針です。特に、青森工場の新棟稼働と合わせ、次世代のASIC技術開発や通信分野での新規LSI事業立ち上げに向け、設備投資額は前年比で大幅に増加する計画です。
採用面では、単なるエンジニアの募集にとどまらず、新しい事業の柱をゼロから構築できるプロフェッショナルへの期待がこれまで以上に高まっています。AIやIoT、5Gがもたらす情報通信技術の革新をビジネスチャンスと捉え、独自性のあるビジネスモデルを創出することに意欲的な人材にとって、同社の潤沢な資金背景は大きな魅力となるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
メガチップスは今、従来の特定の顧客に依存したビジネスモデルから、AIや5Gなどの先端技術を軸とした自律的な事業体へと進化しようとしています。志望動機では、資産売却によって確保された豊富なリソースを活用し、「グローバル市場で戦える次世代のLSI事業」を自らの手で加速させたいという熱意を伝えるのが最も効果的です。また、サイタイム社などの成功事例を持つ同社の「目利き力」と「投資を恐れない文化」にどう貢献できるかを具体化しましょう。
・「サイタイム社株式の売却で得られた資金を、具体的にどの技術領域の研究開発や人財確保に優先して割り当てる計画ですか?」
・「ASIC事業の需要回復遅れを背景とした、産業機器分野以外の新ターゲット市場開拓における、中途採用者の成功の定義を教えてください。」
・「Morse Micro社との戦略的パートナーシップにおいて、日本のエンジニアチームはどのようにグローバルな開発プロジェクトに関与していくのでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
一生懸命頑張り続けている人がいた
しがみつかないとならない人、なにも考えない人、一生懸命頑張り続けている人がいました。 なんとか立て直して雰囲気の良い会社に、戻ることを心から願っています。
(40代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社メガチップス 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社メガチップス 2026年3月期 第3四半期 決算説明資料(2026年2月6日発表)



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