0 編集部が注目した重点ポイント
① DW社の減損処理を完了し経営体制を刷新する
2025年度に連結子会社であるDW社(Drum Workshop, Inc.)において、のれん全額を含む38億円の減損損失を計上しました。市場環境の変化への対応遅れが要因ですが、2026年2月1日付で経営体制を変更し、基盤事業の立て直しを加速させます。不透明感を払拭し、再成長に向けたトランスフォーメーションを推進する段階に移行しており、事業再生やシナジー創出に携わるキャリア機会が拡大しています。
② 新中期経営計画に基づき成長投資を本格化させる
2026年12月期より新中期経営計画(2026-2028)が始動します。これまでリスク対応として抑制してきた販管費投資を積極的に実行するフェーズへ移行し、新製品効果をアドオンすることで増収増益の継続を目指します。市場が再成長フェーズへ移行する中、マーケティングやR&D(研究開発)部門における人材需要が非常に高まっています。
③ 浜松の新本社竣工により開発・生産機能を統合する
2025年10月に浜松市にて新本社「Roland Inspiration Hub」が竣工しました。市内に点在していた研究開発、生産、管理の各部門を集約し、部門横断的なアイデア創出が可能な環境を構築しています。ハードウェアとソフトウェア(Roland Cloud等)を融合させる戦略を強化しており、次世代の電子楽器開発をリードするクリエイティブなエンジニアにとって、理想的な就業環境が整備されました。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.7
2025年12月期の業績は、売上高が過去最高水準の1,009億円に到達しました。米国での年末商戦が好調に推移したほか、当期投入の新製品群が売上を牽引しています。営業利益については、米国の追加関税による約25億円のコスト増(グロス)がありましたが、迅速な価格適正化とプロダクトミックスの改善により概ね吸収し、利益率9.3%を確保しました。
当期純利益が大幅に減少しているのは、子会社DW社の将来計画見直しに伴う減損損失38億円および繰延税金資産の取り崩し18億円を計上したためです。これは会計上の処理であり、キャッシュ・フローへの影響は限定的です。 通期予想に対する進捗評価としては、売上高は予想レンジの上限、営業利益は中間で着地しており、外部環境の激変下においても概ね順調な成果を収めたと言えます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.8
管打楽器事業(DW社含む)
事業内容: 電子ドラム(V-Drums)およびDWブランドのアコースティックドラム、電子管楽器(エアロフォン)の開発・販売。
業績推移: 売上高 293.6億円(前期比 +2.7%)。主力新製品の貢献により電子ドラムが大変好調に推移しました。
注目ポイント: DW社とのシナジー創出が遅れていた課題に対し、新経営体制下でのトランスフォーメーションを加速させています。米国での新規チャネル拡大や、DWのハードウェア技術を電子ドラムに活用する共同開発が本格化しており、アコースティックとデジタルの融合を推進できる人材が求められています。
クリエーション関連機器&サービス
事業内容: シンセサイザー、ダンス&DJ関連製品、およびソフトウェア・サービス「Roland Cloud」の提供。
業績推移: 売上高 130.6億円(前期比 +3.4%)。シンセサイザーの新製品群が貢献し、大変好調です。
注目ポイント: ユーザーのLTV(ライフタイムバリュー)向上を目指し、ハードとソフトの統合を強力に推進中。Roland Cloudの売上も計画以上に増加しており、継続課金(サブスクリプション)モデルの深化やコンテンツ制作におけるデジタルマーケティングの専門性が重要視されています。
鍵盤楽器事業
事業内容: 電子ピアノ(KIYOLA、FPシリーズ等)およびポータブルキーボード(GO:KEYS等)の展開。
業績推移: 売上高 272.2億円(前期比 +1.3%)。中国市場の復調により、2期ぶりの増収を達成しました。
注目ポイント: ポータブルキーボード市場への再参入を加速させており、新規ユーザー層の獲得が戦略目標です。中国の復調に加え、インドやインドネシア等の新興国市場での販売体制強化を注力しており、グローバルな市場分析とローカライズ戦略の策定スキルが活きるフィールドです。
地域別実績:グローバル成長戦略
事業内容: 日本、北米、欧州、中国、およびその他地域(新興国・先進国)での販売活動。
業績推移: 中国が前期比+2.0%(実質+3.3%)と回復に転じたほか、新興国も+6%と順調に成長しています。
注目ポイント: 欧州の一部小売店の倒産影響を他地域でカバー。北米では関税対応の価格転嫁後もセルスルー(実売)は好調を維持しています。直営店「ローランドストア」や新興国での「ストア・イン・ストア」の出店を厳選しつつ、質の高い顧客体験を提供しており、実店舗とデジタルを融合させたリテール戦略の経験者が重宝されます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.12
2026年12月期は、全カテゴリー・全地域での増収を計画しており、過去最高の業績更新を目指します。米国追加関税によるコスト増は約14億円(前年比グロス影響)を見込むものの、生産地の最適化と価格適正化の継続により克服する方針です。
注目すべきは、中期経営計画施策に関連する投資の加速です。近年、外部環境のリスク対応として抑制してきた人件費や広告宣伝費、研究開発費を順次執行していきます。特に、浜松の新本社稼働に伴い、開発プロセス自体の変革を進めており、生産性向上を担う専門人材や、次世代の主力製品となる新製品開発エンジニアの採用が強化される見通しです。
また、減損処理を完了したDW社については、2026年度中に営業利益の黒字化を必達目標として掲げています。グローバルなSCM(サプライチェーン・マネジメント)の見直しや調達の再評価など、事業再生フェーズでの実務経験を積むには非常に刺激的なタイミングと言えます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
ローランドは今、DW社の減損という大きな膿を出し切り、再成長に向けた投資フェーズへ完全に舵を切りました。浜松の新本社竣工は、単なるオフィス移転ではなく「開発・生産の一体化」による創造性向上の象徴です。「グローバルな楽器市場が回復する中、新中計の初年度から参画し、新製品を通じた文化の創造に貢献したい」という姿勢は、同社の現在の戦略と高く合致するでしょう。
面接での逆質問例
「DW社とのシナジー創出を加速させるための経営体制変更(2月1日付)において、現場レベルで最も期待されている変化は何でしょうか?」や、「新本社への機能集約により、R&Dと他部門のコラボレーションが具体的にどのような形で新製品開発に活かされ始めていますか?」といった質問は、資料を読み込んだ上での鋭い熱意を伝えられます。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- ローランド株式会社 2025年12月期 決算説明会資料(2026年2月13日発表)
- ローランド株式会社 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月13日発表)



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