0 編集部が注目した重点ポイント
①新中計「Value Creation 26 Ver.2.0」で売上高1000億円を目指す
2024年度の好成績を受け、中期経営計画を「Ver.2.0」へと大幅に上方修正しました。2026年度には売上高950億円、将来的には売上高1000億円企業への到達を掲げています。既存の光学技術にセンシングや解析技術を融合させる戦略を鮮明にしており、技術領域の拡大に伴うエンジニアや専門人材の採用意欲が高まっています。
②車載・医療事業が過去最高を更新し新たな成長の柱として確立する
主力の写真関連事業が市場停滞の影響を受ける中、モビリティ&ヘルスケア事業が著しい成長を遂げています。2025年度には車載用レンズで売上100億円、医療用レンズで10億円を初めて突破しました。先進運転支援システム(ADAS)向けや低侵襲医療向けの需要が旺盛で、特定顧客に依存しない事業ポートフォリオの最適化が着実に進んでいます。
③ベトナム第2工場の本格稼働により世界3極の生産体制を強化する
2025年1月よりベトナム第2工場(ビンフック工場)が本格稼働を開始しました。日本、中国、ベトナムによる世界3極の生産体制が整ったことで、地政学的リスクや関税コストへの対応力が飛躍的に向上しています。生産能力は従来比で1.2倍に拡大しており、売上高1000億円規模を支える供給基盤の構築は、生産管理や技術職にとって大きな活躍の舞台となります。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.5
売上高
85,071百万円
-3.8%
営業利益
16,638百万円
-13.4%
営業利益率
19.6%
-2.1pts
2025年12月期の連結業績は、売上高850億71百万円、営業利益166億38百万円と減収減益となりました。これは、対米ドルでの円高進行や、写真関連事業におけるOEM(相手先ブランドによる生産)出荷の減少、人件費・R&D費の増加が主な要因です。一方で、車載カメラ用レンズが初の100億円を突破するなど、成長分野が着実に収益基盤として成長しています。
通期予想に対する進捗状況については、11月6日に公表した修正計画を100%達成しており、通期実績として「順調」に推移したと評価できます。第4四半期単体では売上・営業利益ともに前年同期比で増収増益に転じており、2026年度のV字回復に向けたポジティブな兆候が見られます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.7
写真関連事業
【事業内容】一眼レフ・ミラーレスカメラ用交換レンズの生産・販売。ソニーE、ニコンZ、キヤノンRF、富士フイルムXの4マウントを展開。
【業績推移】売上高606億43百万円(前期比6.5%減)。自社ブランドは新製品効果で堅調も、OEMが一部受注機種の低迷により大幅減収。
【注目ポイント】自社ブランド比率が59%まで上昇し、高収益体質への転換が進んでいます。2026年には年間10本以上の新製品投入を計画しており、特にキヤノンRFマウント向けのラインナップ拡充は、光学設計者にとって大きなプロジェクトに携わるチャンスです。
監視&FA関連事業
【事業内容】監視カメラ用レンズ、FA/マシンビジョン用レンズ、カメラモジュール等の開発・販売。
【業績推移】売上高120億91百万円(前期比1.8%減)。売上は微減ながら、販管費抑制により営業利益は7.0%増の増益を達成。
【注目ポイント】従来のレンズ単体販売から、カメラモジュールや新規分野(SWIR、レーザー加工ヘッド)への展開を加速させています。農業・食品検査やインフラ点検など、非セキュリティ領域への進出は、ソリューション提案型の営業や新規事業開発の経験者にとって魅力的な環境です。
モビリティ&ヘルスケア、その他事業
【事業内容】車載カメラ用レンズ、硬性内視鏡等の医療用レンズ、ドローン用レンズの展開。
【業績推移】売上高123億36百万円(前期比8.9%増)。セグメント利益も9.0%増と、全社を牽引する成長性を見せました。
【注目ポイント】車載向け売上の90%がセンシング(ADAS)用途となっており、業界の最先端トレンドに密接に関わっています。また、医療事業ではがん細胞を可視化する蛍光フィルターの開発など、社会貢献性の高い分野での技術革新が進行中です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.15
2026年12月期は、売上高910億円(前期比7.0%増)、営業利益185億円(同11.2%増)と、過去最高の更新を視野に入れた強気の計画を策定しています。写真事業での自社ブランド10本以上の投入や、医療・車載事業のさらなる拡大を成長エンジンに据えています。
特筆すべきは投資の積極性です。3カ年累計の設備投資額を従来比1.7倍の175億円、研究開発費を1.4倍の225億円へと増強。さらに、M&Aやアライアンスを目的とした「戦略投資枠180億円」を新設しています。これにより、既存事業の枠を超えた技術革新や新領域への参入が加速することは間違いなく、組織の変革期における中核人材の需要は極めて高い状況にあります。
4 求職者へのアドバイス
タムロンは「単なるレンズメーカー」から、光学技術を核とした総合光学・センシングソリューション企業への脱皮を図っています。志望動機では、同社の卓越した光学技術を、車載、医療、農業などの「新たな社会課題」にどう繋げていきたいかを語ることが有効です。特に「Vision for 2035」で示された「人と自然の健康を創造する」というパーパスへの共感を具体化すると、評価に繋がりやすいでしょう。
・「Ver.2.0への上方修正に伴い、私の配属予定部署ではどのような技術的・組織的チャレンジが新たに優先されていますか?」
・「戦略投資枠180億円の活用において、現場レベルでのオープンイノベーションや他社協業の機会はどのように増えていく見込みでしょうか?」
・「ベトナム工場の拡大に伴い、開発拠点と生産現場の連携強化において現在感じている課題はありますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年12月期 決算説明会資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。