【平均年収858万円】イチケン 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収858万円】イチケン 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

イチケンは、グループ各社とともに建設事業と不動産事業を展開する企業です。直近期の業績は売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加し、大幅な伸びとなりました。


目次

※本記事は、株式会社 イチケン の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


イチケンは、連結子会社1社、非連結子会社1社、持分法非適用関連会社1社で構成される同社グループの中核企業です。建築・土木・舗装・内装仕上工事などの建設事業と不動産事業を主な事業としています。

単体従業員数は680名、連結従業員数は722名です。セグメントは建設事業、不動産事業の2つです。

主な国内グループ会社は、片岡工業(総合建設業・土木工事業)などです。

当連結会計年度では、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定が行われ、前期の各数値にもその内容が反映されています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


イチケンは、建設事業を核とする企業として、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視していることがうかがえます。安定した環境の中で専門性を高め、自身の成長を通じて会社に貢献したいと考える方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。同社グループは、人的資本への投資を経営の重要課題と位置付け、人材育成や働きがい向上に積極的に取り組んでいます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も比較的長いことから、経験豊富な人材が定着し、長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。これは、安定した環境で腰を据えて働きたいと考える方にとって、安心材料となるでしょう。

項目 数値
平均年間給与 8,582,880円
平均勤続年数 16.2年
平均年齢 43.6歳
単体従業員数 680人
連結従業員数 722人
単体のグループ内比率 94.2%


当社及び連結子会社は、確定給付型の退職一時金制度及び確定拠出年金制度を設けています。これらの制度は、国内グループ会社に適用されています。

退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は12.0億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、長期経営計画『ビジョン2035』及び『中期経営計画(2026-2028)』に基づく各事業戦略を実現するため、人的資本経営の推進を重要な経営課題と認識しています。建設事業を中心とする事業活動は、現場力、技術力、営業力、管理機能を支える多様な人材によって成り立っており、必要な人材を確保・育成し、その能力を最大限に発揮できる環境を整備することが持続的な事業活動に不可欠であると考えています。このような認識のもと、社会課題部会において人的資本に関する施策の検討及び推進を行う体制を構築しています。

従業員への給与等は、人材確保及び処遇安定の観点から重要であり、昨今の物価上昇等の社会経済情勢、同業他社における給与水準、同社の人事制度との整合性等を検討の上、経営会議において審議・決定されています。建設業における人手不足や技能労働者の高齢化といった課題に対し、同社グループは「人的資本への投資(デジタル化・人材教育)」を拡充する方針です。社会課題部会では、「従業員の育成」「採用の強化」「離職の防止」「働きがい向上」の4項目に主眼を置き、新たな人材戦略の構築を進めています。

具体的には、「従業員の育成」では、同社グループのパーパスを体現できる創造性豊かで多様な人材の育成を基本方針とし、教育計画の体系化や評価制度・研修制度の見直しを進めています。「離職の防止」では、長時間労働を要因の一つと捉え、労務管理の徹底や生産性向上に加え、現場作業所の業務量平準化や適正工期の確保に取り組んでいます。「働きがい向上」では、DX推進による時間外労働時間の低減や、第三者サーベイを用いた従業員のモチベーション・心身の健康状況の把握・分析、経済情勢を踏まえた処遇改善の検討を通じて、働きやすい職場環境の構築を目指しています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 4.2%
男性労働者の育児休業取得率 21.2%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 63.6%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 67.3%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 40.9%

有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


イチケンは、建設事業と不動産事業を主軸に事業を展開しています。同社グループは、総合建設業として培ってきたノウハウと企画・提案力を活かし、多様な建設ニーズに応えています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、建設事業と不動産事業の2つの報告セグメントで構成されています。建設事業が同社グループの主要な収益源であり、不動産事業は兼業事業として位置づけられています。

建設事業

建設事業は、建築、土木、舗装、内装仕上工事など、建設工事全般を幅広く手掛けています。特に商業施設の建築において強みを持っており、店舗の新築や内装・リニューアル工事、宿泊施設の建設需要に積極的に対応しています。
収益は、一時点で移転される財またはサービスと、一定の期間にわたり移転される財またはサービスの両方から得ています。運営は、イチケンおよび連結子会社の片岡工業が行っています。

不動産事業

不動産事業は、不動産の売買や賃貸事業などを手掛けています。
収益は、一定の期間にわたり移転される財またはサービスから得ています。運営は、イチケンが行っています。

同社グループの売上高は主に日本国内の外部顧客から得られており、海外からの売上高は連結損益計算書の90%を超えないため、地域ごとの情報としては省略されています。また、当連結会計年度においては、特定の主要な顧客への売上高集中は見られません。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
建設事業 987億円 1,059億円
不動産事業 2.7億円 2.8億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加しています。特に営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な伸びを示しています。
一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは前期の資金増加から当期は資金減少に転じています。これは、売上債権等の増加や未収消費税等の増加が主な要因となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - - - 990億円 1,062億円
経常利益 - - - 67.7億円 89.5億円
経常利益率 - - - 6.8% 8.4%
親会社株主に帰属する当期純利益 - - - 46.8億円 64.1億円
1株当たり当期純利益(円) - - - 322.34 441.40

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの売上高は、2025年3月期から2026年3月期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質が強化され、組織全体の効率化が進んでいることを示しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 144.1百万円 147.1百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 9.9百万円 12.5百万円

業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループの財務状況と資金の流れから、現在の経営状態と今後の方向性を見ていきます。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、プライム市場平均と比較しても高い水準にあります。ROEもプライム市場平均を上回る水準で推移しており、収益性を示しています。手元資金は前期から減少していますが、一定の残高を維持しています。これらの財務状況は、事業運営の安定性に関わる要素となります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 341億円 400億円
自己資本比率 50.4% 53.7%
ROE(自己資本利益率) 13.7% 17.3%
現金及び預金 200億円 147億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


当期は営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスに転じ、フリーキャッシュ・フローもマイナスとなっています。これは、売上債権等の増加が主な減少要因となり、本業で得られる資金が一時的に流出している状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、有形固定資産の取得などを行っています。財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなっており、長期借入金の返済や配当金の支払いが行われています。全体として資金が流出している状況であり、今後の資金繰りの動向に注目していく必要があります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 81.4億円 △32.3億円
投資CF △13.5億円 △2.7億円
財務CF 0.8億円 △17.2億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 67.9億円 △35.0億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

受注環境と建設資材価格等の動向による影響があります。受注競争の激化や建設資材価格、労務費の高騰が生じた場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、取引先の信用リスクも挙げられています。景気の減速や建設市場の縮小等により、取引先が信用不安に陥った場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

人材・組織に関するリスクの記載はありません。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


イチケンは、品質と安全を徹底し、クリエイティビティを発揮しながら、商業空間事業を通じて社会に貢献することを目指しています。持続可能な社会の実現に向け、企業価値向上に取り組む会社です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは、「品質の向上と安全の徹底に努め、いかなるときもクリエイティビティを発揮し、商業空間事業を通じ、快適で豊かな社会の実現をめざします」を経営理念としています。また、「より豊かで快適な『くらし空間』を創造する事で広く社会へ貢献する企業」を経営ビジョンに掲げています。長期経営計画『ビジョン2035』では、「安定した成長を続けていくとともに社会の持続的発展に貢献する企業」を目指す企業像としています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、品質と安全の徹底に加え、いかなるときもクリエイティビティを発揮することを重視しています。技術者集団として、品質・安全・環境・原価・生産性を追求する姿勢を大切にしています。また、働きやすい職場を追求し、従業員一人ひとりの能力と働きがいを向上させることを基本方針としています。社会のニーズに常に対応し、環境の変化に負けない会社となることも目指しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、建設資材価格の上昇や調達環境の悪化、慢性的な労働力不足による労務費の高騰といった事業環境の課題に直面しています。これに対し、長期経営計画『ビジョン2035』では「働きやすい職場を追求し、従業員一人ひとりの能力と働きがいを向上させる」ことを基本方針の一つとしています。

人的資本への投資(デジタル化・人材教育)を拡充し、「従業員の育成」「採用の強化」「離職の防止」「働きがい向上」の4項目に主眼を置いています。長時間労働の是正に向けた労務管理の徹底や生産性向上、適正工期の確保、DX推進による時間外労働時間の低減に取り組んでいます。

また、サステナビリティへの取り組みとして、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する重点課題「ESGマテリアリティ」を設定しています。気候変動リスクへの取り組みも重点課題とし、CO₂排出量の低減やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進を進めています。

会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


イチケンは監査等委員会設置会社であり、監査等委員は高い見識と豊富な経験に基づき、独立した客観的な立場で監査体制を構築しています。取締役会は、社外取締役による助言や監督を通じて、実効性の高い監督体制を構築しています。また、リスク管理委員会やガバナンス部会を通じて、コーポレートガバナンスや内部統制の充実・強化を図っています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


イチケンの株主構成を見ると、事業会社であるマルハンが筆頭株主となっています。また、取引先企業で構成される一栄会持株会も上位株主に名を連ねています。

株主名 持株比率
マルハン 40.00%
一栄会持株会 3.63%
MURAKAMI TAKATERU 3.28%


なお、一栄会持株会は同社の取引先企業で構成されている持株会です。2026年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割が行われており、上記所有株式数は当該株式分割前の所有株式数です。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長社長執行役員は政清弘晃氏が務めています。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
政清 弘晃 代表取締役社長 社長執行役員 1986年4月同社入社、2020年6月同社執行役員、2023年6月同社取締役常務執行役員、2026年4月より現職。
長谷川 博之 取締役会長 1982年4月同社入社、2015年6月同社代表取締役社長社長執行役員、2026年4月より現職。
磯野 慶治 取締役 常務執行役員 (事業本部長) 1991年9月同社入社、2019年6月同社常務執行役員、2021年6月同社取締役常務執行役員、2026年4月より現職。
小谷 実弦 取締役 常務執行役員 (経営戦略本部長) 1988年4月同社入社、2019年6月同社執行役員、2021年6月同社取締役執行役員、2026年4月より現職。


社外取締役は、武内秀明氏(武内法律事務所所長弁護士)、伊知地俊人氏(ウィル相談役)、久保田裕丈氏(マルハン執行役員西日本カンパニー建設購買部部長)、初瀬貴氏(TH総合法律事務所パートナー弁護士・公認不正検査士)、井上明子氏(西東京いこい法律事務所代表弁護士)、城戸澄仁氏(VIAパートナーズ代表取締役・城戸公認会計士・税理士事務所代表・よあけ監査法人代表社員)です。

同社は監査等委員会設置会社です。監査等委員である取締役は、独立した客観的な立場で実効性の高い監査体制を構築しており、社外取締役は経営方針や経営計画等に関する助言や利益相反取引の監督を通じて、実効性の高い監督体制を構築しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


イチケンでは、持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして、業績や経済情勢と連動した報酬体系を採用しています。業務執行取締役の報酬は基本報酬と業績連動報酬で構成され、社外取締役等の非業務執行取締役の報酬は基本報酬のみで構成されています。また、業務執行取締役には役員持株会への拠出が義務付けられています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 4名 1.9億円 46.2百万円
監査等委員(社外除く) 1名 19百万円 19.0百万円
社外役員 5名 38百万円 7.6百万円


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、社外役員1名は無報酬です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

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この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。