※本記事は、株式会社森組 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
森組は、建設事業、不動産事業、砕石事業を主たる業務とする企業です。土木・建築工事全般から不動産の開発・売買、砕石・砕砂の製造販売まで多岐にわたる事業を展開しています。
単体従業員数は311名です。同社の事業セグメントは建設事業、不動産事業、砕石事業の3つです。
森組は、建設事業、不動産事業、砕石事業を主たる業務とし、これらに付帯する事業も展開しています。
2025年10月1日付で、森組は生瀬砕石所での砕石・砕砂等の製造販売事業を譲渡しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
森組は、建設業を主軸とする企業として、社員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視する環境を提供しています。安定した事業基盤のもと、社員一人ひとりの成長を支援し、安心して働ける職場づくりに注力していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員が長く活躍できる環境が整っている傾向が見られます。平均年齢が40代半ばであり、平均勤続年数も比較的長いことから、経験豊富な人材が多数在籍し、安定してキャリアを築いている様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,570,110円 |
| 平均勤続年数 | 18.9年 |
| 平均年齢 | 44.5歳 |
| 単体従業員数 | 311人 |
同社は確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度を設けています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は20.6億円、年金資産は28.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
森組は、「人財確保・人財育成」を喫緊の課題と位置づけ、経営戦略と連動した人材戦略を推進しています。社員の自主性を尊重し、意欲的なキャリア形成を支援する教育制度の構築を目指しています。
人事制度においては、学歴・年齢・勤続年数による序列ではなく、部門と個人の成果、業務プロセス、職能を総合的に評価する仕組みを採用しています。目標管理制度やキャリアプラン制度を通じて、社員の能力開発と適正配置を促進しています。報酬制度は、従業員一人ひとりの役割、能力、成果、行動を適切に評価し、公正な処遇と報酬に反映させることを基本方針としています。外部環境や労働市場動向、物価動向、同社業績を総合的に考慮し、賃金テーブルの継続的な見直しを実施しています。
具体的な取り組みとして、公正な採用活動、障がい者雇用、最長65歳までの再雇用制度を導入し、多様な人材の確保に努めています。働き方改革では、勤怠管理システムやパソコン画面ロックシステム、勤務間インターバル制度を導入し、長時間労働の抑制と健康維持に配慮しています。また、2020年には「くるみん」認定を受け、仕事と育児の両立支援にも力を入れています。社員の働きがい向上を目指し、OJT研究会の発足やエンゲージメント調査、社員面談も実施しています。人財育成では、各職位に求められる知識・スキル習得、学習メニューの多様化、セルフマネジメント力養成、コンプライアンス意識向上を掲げ、必修制と選択制の研修で構成される社員教育体系図を運用しています。さらに、90種類の技能資格に対して一時金を支給する制度も設けています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 157.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 50.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 68.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 29.6% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障がい者雇用率 | 2.9% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 重大な労働災害 | 0件 |
| 品質事故 | 0件 |
| 建設現場4週8閉所 | 77.0% |
| 技術職の時間外労働時間の短縮(月平均) | 26.1時間 |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 資格取得率 | 60.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社森組は、建設事業を主軸に、不動産事業や砕石事業も展開している企業です。これらの事業を通じて、社会インフラの整備や住環境の提供、建設資材の供給など、幅広い分野で事業活動を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、森組とその他の関係会社2社で構成されており、建設事業、不動産事業、砕石事業を主たる業務としています。これらの事業は、財務諸表におけるセグメント区分と同一です。
建設事業
土木・建築その他建設工事全般に関する事業を営んでいます。
収益は、各種建設工事の請負から得ています。同社の事業の中で最も大きな割合を占めており、前期と比較すると売上高は減少しています。
不動産事業
不動産の開発・売買、交換、賃貸、およびその代理・仲介を営んでいます。
収益は、不動産の賃貸収入などから得ています。売上高は小さいながらも前期から増加しており、前期は損失だったセグメント利益も当期は黒字に転換しています。
砕石事業
砕石、砕砂等の製造販売および取引仲介を営んでいます。
収益は、砕石や砕砂の製造販売から得ています。売上高は前期から大きく減少しており、セグメント損失を計上しています。これは、生瀬砕石所での事業譲渡によるものです。
同社は本邦以外の外部顧客への売上高はありません。また、特定の顧客への売上高が一定の割合を占める傾向が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 建設事業 | 288億円 | 277億円 |
| 砕石事業 | 6.5億円 | 3.0億円 |
| 不動産事業 | 32百万円 | 33百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
森組の財務状況は、事業活動による資金創出力と投資活動のバランスから、安定した経営基盤を築いていることがうかがえます。本業で得た資金を適切に運用し、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率と手元資金の状況から安定していることが示されています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の健全性がうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態や将来の事業展開に備える資金的な余裕がある状態です。これらの状況は、同社で働く上での雇用や給与の安定性につながる要素と言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 149.0億円 | 154.7億円 |
| 自己資本比率 | 58.9% | 61.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 44.7億円 | 63.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、当事業年度において営業活動による資金が大幅に増加し、投資活動による資金も増加しています。これは主に税引前当期純利益の計上や事業譲渡による収入が要因となっています。その結果、フリーキャッシュフローはプラスとなり、本業で得た資金が投資を上回る状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは短期借入金の減少や配当金の支払いにより減少しています。この資金の流れは、同社が安定した事業運営を行いながら、財務基盤の強化と株主還元を進めていることを示しており、従業員の雇用安定性や給与水準の維持に寄与する財務状況と言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △42.3億円 | 26.4億円 |
| 投資CF | △4.1億円 | 5.5億円 |
| 財務CF | △4.7億円 | △12.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △46.4億円 | 31.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、建設市場の動向によるリスクを認識しています。予想を上回る公共工事の削減や民間建設需要の減少、価格の大幅な変動が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、労務費や原材料の価格が高騰した際に、請負金額に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、人財の確保及び育成に関するリスクを挙げています。少子化の進行や建設業に対するイメージ、同業他社との採用競争激化により、必要な時期に国家資格や技能を有する人財を配置できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
森組は「最高の品質と最良のサービスで、お客様の感動を」を経営理念に掲げ、地域社会への貢献を目指す企業です。お客様との信頼関係を基盤に、持続可能な社会の建設と新たな現場管理の実現を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
「最高の品質と最良のサービスで、お客様の感動を」を経営理念に掲げ、同社はお客様の要望に的確に応え、喜ばれることを最大の喜びとし、地域社会に貢献する企業を目指しています。
将来の森組のあるべき姿として、「信頼できるパートナーと共に、サステナブルな社会を建設する」「受け継がれてきた伝統と共に、新たな現場管理を実現する」「ステークホルダーと共に成長し、ステータス性あふれる企業になる」という3つの将来像を設定し、その実現に向けた中長期的な経営戦略を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は経営理念を実現するため、6つの経営方針を掲げています。具体的には「将来を見据えた人財育成」「たゆまぬ努力による品質の保持・管理」「全社を挙げての事故・災害の撲滅」「適切なコスト、適正な価格の追求」「遵守事項の厳格運用」「地球環境との共存共生」です。
あるべき姿の実現に向けた基本戦略として、地域社会との連携を重視した事業活動の推進、伝統ある施工管理力を高めたスマート施工管理の実現、従業員エンゲージメント向上への取り組みを進めています。
サステナビリティに関しては、経営企画部が中心となりSDGs推進委員を選任し、環境活動等に取り組んでいます。また、「人財確保・人財育成」を喫緊の課題と位置づけ、人財部と各事業本部が連携し、各種役員会議で議論を重ねています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、目指すあるべき姿を実現するため、5つのテーマを中心に課題解決に取り組んでいます。
人財の確保・育成では、少子高齢化や技術承継、ICT技術への対応が課題であり、従業員が新たな技術や知識の習得に積極的に取り組める環境づくりを推進しています。安全管理・品質管理の徹底を最重要課題とし、「安全」を全ての作業の前提として労働災害や品質事故の発生防止に努めています。
働き方改革の推進では、作業所での4週8閉所完全実施に向けた取り組みを進めています。生産性の向上では、ICT技術の活用を通じたスマート施工管理を実現し、持続的な競争力強化に取り組んでいます。コーポレート・ガバナンスの強化も重要課題と認識し、事業環境の変化に対応し、ステークホルダーと力を合わせ、健全な事業活動を通じて地域・社会に貢献できるよう継続的に強化しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は執行役員制度を導入しており、取締役は会社全体の中長期的な経営戦略の立案及び経営方針について意思決定し、業務遂行は執行役員が担当しています。経営の効率性を高めながら公正性、透明性を確保し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めることを基本方針としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
旭化成ホームズが筆頭株主であり、事業会社が上位に名を連ねる資本構成となっています。複数の事業会社や取引先持株会が上位株主として名を連ねており、幅広いステークホルダーに支えられていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 旭化成ホームズ | 30.26% |
| 長谷工コーポレーション | 8.01% |
| 森組取引先持株会 | 7.80% |
| りそな銀行 | 3.63% |
| 森 一成 | 1.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長社長執行役員全社総括経営管理本部長は内山浩二氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内山 浩二 | 代表取締役社長 社長執行役員 全社総括 経営管理本部長 | 1988年4月同社入社。2022年6月代表取締役常務執行役員経営管理本部長、経営企画部長。2026年4月代表取締役社長社長執行役員全社総括、経営管理本部長より現職。 |
| 吉田 裕司 | 取締役 | 1982年4月同社入社。2015年4月代表取締役社長。2026年4月取締役より現職。 |
| 奥田 匡 | 取締役 上席執行役員 建築事業本部副本部長 (東京管掌) | 2015年4月旭化成ホームズ施工本部施工技術部長。2021年6月同社取締役。2026年4月取締役上席執行役員建築事業本部副本部長(東京管掌)より現職。 |
| 宮本 貴彰 | 取締役 常務執行役員 建築事業本部長 大阪本店長(支配人) | 1988年4月同社入社。2013年4月土木事業本部資材部部長。2026年4月取締役常務執行役員建築事業本部長、大阪本店長(支配人)より現職。 |
| 石井 勝則 | 取締役 常務執行役員 土木事業本部長 | 1986年4月同社入社。2012年4月土木事業本部営業部部長。2026年4月取締役常務執行役員土木事業本部長より現職。 |
| 中園 明弘 | 取締役 常務執行役員 建築事業本部 グループ営業担当 | 2017年1月旭化成ホームズ技術本部中高層事業推進部部長。2024年6月取締役常務執行役員建築事業本部グループ営業担当より現職。 |
社外取締役は、竹内洋平氏(竹内洋平公認会計士事務所開設)と、近本茂氏(大阪ガスケミカル取締役会長)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役は客観的な視点から経営の監視、監督を行っており、社外監査役は専門的見地から取締役会での意見表明や監査を通じて経営の意思決定と業務執行の適切性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与することを基本方針としています。報酬は月額の固定報酬で構成されており、各役員の職責に応じた適正な水準が考慮されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.6億円 | 22.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 15百万円 | 15.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 12百万円 | 6.0百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 12百万円 | 6.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。同社は2004年6月29日開催の定時株主総会をもって役員退職慰労金制度を廃止しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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