ユアテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユアテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。東北電力グループの中核企業として、電気・空調管・情報通信等の設備工事業を主力とする総合設備エンジニアリング企業です。直近の業績は、売上高2,572億円(前期比5.8%増)、経常利益173億円(同45.6%増)と増収増益を達成しており、豊富な手持工事量を背景に堅調に推移しています。


※本記事は、株式会社ユアテック の有価証券報告書(第111期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユアテックってどんな会社?


東北電力グループの総合設備エンジニアリング企業として、東北・新潟を中心に電気・空調管工事等を提供しています。

(1) 会社概要


1944年に東北電気工事として設立され、東北・新潟地域の電力インフラ構築を担ってきました。1983年に東京証券取引所市場第一部に指定され、1991年に現社名へ変更しました。2011年にはベトナム現地法人が営業を開始するなど海外展開も進めています。2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。

連結従業員数は5,841名、単体では3,811名体制です。筆頭株主はその他の関係会社である東北電力(39.20%)で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
東北電力 39.20%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.64%
ユアテック従業員持株会 7.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表者は取締役社長社長執行役員の小林郁見氏です。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
阿部 俊徳 取締役会長(代表取締役) 1981年東北電力入社。同社取締役副社長、副社長執行役員等を歴任。2023年6月より現職。
小林 郁見 取締役社長社長執行役員(代表取締役) 1981年入社。取締役副社長執行役員営業本部長等を歴任。2025年4月より現職。
髙杉 和郎 取締役専務執行役員(代表取締役) 1987年東北電力入社。同社グループ戦略部門部長等を経て当社入社。2023年6月より現職。
三浦 康二 取締役専務執行役員(代表取締役) 1984年入社。取締役常務執行役員エンジニアリング本部長等を歴任。2025年4月より現職。
鈴木 康弘 取締役専務執行役員 1986年入社。執行役員山形支社長、取締役常務執行役員等を歴任。2025年4月より現職。
太田 良治 取締役 1978年入社。取締役社長、社長執行役員等を歴任。2025年4月より現職。
佐藤 健 取締役常勤監査等委員 1989年東北電力入社。同社ビジネスサポート本部総務部法務室長等を経て2024年6月より現職。


社外取締役は、高野恵一(ゼノアックホールディングス取締役)、嘉藤明美(鐘崎代表取締役社長)、小野浩一(東二番丁通法律事務所代表)、高浦康有(東北大学大学院経済学研究科准教授)、八島徳子(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「設備工事業」および「その他」事業を展開しています。

設備工事業


電気、通信、土木、建築および空調管工事などの請負施工を行っています。東北電力および東北電力ネットワークからの電気工事等の請負も含まれます。また、ベトナム国においても電気・空調管工事等を展開しています。

主な収益源は、顧客からの工事請負代金です。運営は同社およびユートス、ユアテック宮城サービス、テクス福島などの国内連結子会社に加え、YURTEC VIETNAM CO.,LTD.やSIGMA ENGINEERING JSCなどの海外連結子会社が行っています。

その他


警備・不動産業、リース事業、廃棄物処理業、ミネラルウォーターの製造・販売業、太陽光発電による電気の卸供給業などを展開しています。

収益源は、警備業務や不動産管理の委託料、リース料、廃棄物処理委託料、製品販売代金、電力の売電収入などです。運営は、トークス、ニューリース、グリーンリサイクル、アクアクララ東北、ユアソーラー富谷などが各事業を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、直近では2,572億円に達しています。利益面でも経常利益率は4%台後半から直近で6.7%まで上昇しており、収益性が向上しています。当期純利益も連続で増加しており、全体として増収増益基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,971億円 2,253億円 2,274億円 2,432億円 2,572億円
経常利益 92億円 100億円 105億円 119億円 173億円
利益率(%) 4.7% 4.5% 4.6% 4.9% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 53億円 68億円 72億円 74億円 109億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益が大きく伸長しています。特に営業利益は前期比で大幅に増加し、営業利益率も4.3%から6.3%へと改善しています。原価管理の徹底や価格転嫁などが奏功し、収益性が高まっていることが窺えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,432億円 2,572億円
売上総利益 323億円 395億円
売上総利益率(%) 13.3% 15.4%
営業利益 105億円 162億円
営業利益率(%) 4.3% 6.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が107億円(構成比46%)、退職給付費用が3億円(同1%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の設備工事業において、売上高が増加するとともに利益率が向上しており、全体の増収増益を牽引しています。その他事業については売上高は微減となりましたが、利益および利益率は改善しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
設備工事業 2,400億円 2,541億円 100億円 154億円 6.1%
その他 32億円 32億円 6億円 9億円 27.8%
調整額 - - -1億円 -1億円 -
連結(合計) 2,432億円 2,572億円 105億円 162億円 6.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCF状態は「健全型」です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 78億円 151億円
投資CF 43億円 -58億円
財務CF -34億円 -68億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「ユアテックはお客さまの心ゆたかな価値の創造に協力し、社会の発展に貢献します。」を企業理念として掲げています。この理念のもと、「企業価値の向上」を基本方針とし、収益性や企業信頼度を向上させることで、顧客や株主から選択される価値ある企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「企業価値の向上」を基本方針とし、受注・コスト両面での競争力強化に取り組んでいます。収益性の向上とともに、企業信頼度を向上させることを重視し、顧客や株主からの支持を得られる企業づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「2030ビジョン」および「中期経営計画(2024-2028)」を策定し、以下の数値目標を掲げています。なお、受注環境の好転や生産性向上により早期達成が見込めることから、中期経営計画の数値目標の見直しを検討していくとしています。

* 2030年代前半数値目標:連結売上高3,000億円、連結営業利益200億円、ROE8.0%
* 2028年度数値目標:連結売上高2,700億円、連結営業利益135億円、ROE6.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「東北・新潟」エリアでの事業深化を前提に、「東北・新潟以外」「海外事業」「再エネ関連工事」「リニューアル工事」の4つの重点事業を展開し、事業拡大を加速させています。具体的には、データセンター工事や地域熱供給工事の受注拡大、ベトナムでの大型案件受注、風力発電関連の営業強化、カーボンニュートラルに向けた提案活動などに取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ユアテックの財産は人財である。」との考えに基づき、魅力ある職場環境の構築と人財育成の強化を基本戦略としています。「人財戦略プロジェクト」を中心に、「人財確保」「人財育成」「労働環境」「エンゲージメント」の4つのテーマで検討を進め、多様な人財が活躍できる職場づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.0歳 19.4年 7,348,946円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.1%
男女賃金差異(正規雇用) 77.2%
男女賃金差異(非正規) 81.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性技術者採用数(13名)、女性管理職数(23名)、一人平均年間休暇取得日数(15.9日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 電力設備投資の抑制


売上の約4割を占める東北電力および東北電力ネットワークによる工事発注量の抑制や競争発注の拡大により、受注減少や競争激化が進む可能性があります。これに対し、生産性向上による競争力強化や、エリア外・一般官公庁工事の受注拡大により収益確保を図ります。

(2) 民間設備投資の抑制


少子高齢化や景気動向による建設需要の低迷により、受注減少や競争激化が生じる可能性があります。既存顧客との関係強化や営業・施工体制の強化に加え、屋内配線・空調管工事や付帯する情報通信工事の受注拡大、業務効率化の徹底により収益確保に努めます。

(3) 自然災害等の発生


大規模な自然災害や新たな感染症の拡大により工事の中断・遅延や事業所が被害を受けた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。ハザードマップを踏まえた防災計画の見直しや訓練によるBCP強化、感染症予防対策の継続によりリスク軽減に取り組みます。

(4) 材料費及び労務費の高騰等


原材料価格の上昇や人手不足による材料費・労務費の高騰、工事遅延による追加コストが発生し、請負金額への反映や自社吸収が困難な場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。契約への反映協議や、競争発注拡大・集中購買等の原価低減策、コストマネジメント推進により対応します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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