ユアテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユアテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユアテックは東京証券取引所プライム市場に上場し、電気、通信、土木、建築および空調管工事などの総合設備工事業を主力として展開する企業です。直近の連結業績では、大型工事の進捗遅れなどで売上高は減少したものの、原価管理の徹底等により営業利益および経常利益は増加しており、減収増益のトレンドとなっています。


※本記事は、株式会社ユアテックの有価証券報告書(第112期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユアテックってどんな会社?


ユアテックは、東北電力グループの一員として東北・新潟を中心に総合設備工事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1944年10月に東北電気工事として設立され、配電線工事の請負施工を開始しました。1977年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、1983年に同市場第一部への指定を受けました。1991年に現在のユアテックへ商号を変更し、2011年からはベトナムでの営業を開始するなど、海外事業の展開も推進しています。

同社グループの従業員数は連結で5,818名、単体で3,857名です。筆頭株主は事業会社の東北電力で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は自社の従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
東北電力 39.19%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.00%
ユアテック従業員持株会 6.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は小林郁見氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小林郁見 取締役社長社長執行役員(代表取締役) 1981年ユアテック入社。営業本部営業企画部長、情報通信本部長、電力インフラ本部副本部長等を歴任。2021年副社長執行役員を経て、2025年より現職。
阿部俊徳 取締役会長(代表取締役) 1981年東北電力入社。同社人財部長、東京支社長、お客さま本部長、副社長執行役員等を歴任。2022年ユアテック取締役に就任し、2023年より現職。
三浦康二 取締役専務執行役員(代表取締役) 1984年ユアテック入社。営業本部営業企画部長、YURTEC VIETNAM会長、海外事業部長、エンジニアリング本部長等を歴任。2025年より現職。


社外取締役は、嘉藤明美(鐘崎社長)、玉井忠幸(日本BS放送社長)、柴田千春(第一商事社長)、小野浩一(東二番丁通法律事務所代表)、高浦康有(東北大学大学院准教授)、八島徳子(八島徳子公認会計士・税理士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「設備工事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 設備工事業


電気、通信、土木、建築および空調管工事などの請負施工を総合的に提供しています。顧客は主に東北電力グループや一般企業、官公庁などであり、国内のみならずベトナムなどの海外においても事業を展開しています。

顧客からの工事請負代金が主な収益源です。運営はユアテックが中心となり、ユートス、ユアテック宮城サービスなどの国内子会社に工事の一部を発注するほか、ベトナムではYURTEC VIETNAMやSIGMA ENGINEERINGなどの海外子会社が施工を行っています。

(2) その他事業


警備・不動産管理、工事用機械・車両等のリース、廃棄物処理、ミネラルウォーターの製造・販売、太陽光発電による電力の卸供給業など、多岐にわたる付帯サービスを提供しています。

各サービスの利用料やリース料、売電収入などを収益源としています。トークスが警備・不動産業、ニューリースがリース事業、グリーンリサイクルが廃棄物処理、アクアクララ東北がミネラルウォーター事業、ユアソーラー富谷などが売電事業を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は概ね拡大傾向にありましたが、直近では大型工事の進捗遅れなどによりわずかに減少しました。一方、経常利益は原価管理の徹底等による採算性向上により継続して増加しており、利益率も4.5%から7.5%へと着実に向上し、収益力の強化が進んでいることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2253億円 2274億円 2432億円 2572億円 2523億円
経常利益 100億円 105億円 119億円 173億円 189億円
利益率(%) 4.5% 4.6% 4.9% 6.7% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 68億円 72億円 74億円 109億円 103億円

(2) 損益計算書


売上高は減少したものの、売上総利益と営業利益はともに増加しています。利益率も前年から上昇しており、事業全体の収益性の改善がはかられています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2572億円 2523億円
売上総利益 395億円 426億円
売上総利益率(%) 15.4% 16.9%
営業利益 162億円 180億円
営業利益率(%) 6.3% 7.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が115億円(構成比47%)、退職給付費用が4億円(同2%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の設備工事業は大型工事の進捗遅れや海外での受注遅れなどの影響により減収となりました。一方、リース業や警備業などを含むその他事業は堅調に推移し、前年比で増収を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
設備工事業 2541億円 2489億円
その他 32億円 33億円
調整額 -億円 -億円
連結(合計) 2572億円 2523億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 151億円 66億円
投資CF -58億円 -59億円
財務CF -68億円 -55億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%でプライム市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ユアテックはお客さまの心ゆたかな価値の創造に協力し、社会の発展に貢献します。」の企業理念のもと、「企業価値の向上」を基本方針とし、受注・コスト両面での競争力の強化をはかり、収益性を向上させることで、お客さまや株主から選択される価値ある企業を目指しています。

(2) 企業文化


「安全・品質・信頼」を不変の価値として追求し、技術を通じて地域や社会の課題を解決する文化を重視しています。また、「声を上げる文化」を醸成することで、役員・従業員一人ひとりが高い倫理観を持った風通しの良い職場風土の確立に努めています。

(3) 経営計画・目標


「2030ビジョン」および「中期経営計画(2024-2028)」の実現と数値目標の早期達成に向け、グループ一丸となって5つの基本戦略・主要施策を展開しています。キャピタル・アロケーション方針に基づき、成長投資と株主還元を両立させ、中長期的な企業価値の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


創業からの事業エリアである「東北・新潟」での事業のさらなる深化を前提に、4つの重点事業の展開により事業拡大を加速しています。「東北・新潟以外」でのデータセンター工事の受注拡大、「海外事業」でのベトナム事業の再建、「再エネ関連工事」での提案強化、「リニューアル工事」でのカーボンニュートラル対応に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ユアテック人財戦略」に基づき、「人財確保」「人財育成」「労働環境」「エンゲージメント」の4つの主要施策を展開し、人的資本経営を推進しています。新たな「職能分類・職能クラス制度」を導入し、社員のキャリア形成を支援するとともに、成果が処遇に反映される給与制度への刷新をはかっています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.7歳 18.6年 8,120,722円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 76.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 81.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人平均年間休暇取得日数(16.1日)、肥満率(37.5%)、喫煙率(33.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 電力設備投資の抑制

売上の約4割を占める東北電力および東北電力ネットワークによる工事発注量の抑制や、競争発注の拡大により、工事受注量が減少するリスクがあります。同社は生産性向上による競争力強化や、他エリアへの進出により収益拡大に努めています。

(2) 民間設備投資の抑制

少子高齢化や世界情勢の不安定化に伴う建設需要の低迷により、工事受注量の減少や受注競争が激化するリスクがあります。既存顧客との関係維持や提案営業の強化、付帯する情報通信工事の受注獲得により収益の確保をはかっています。

(3) 材料費および労務費の高騰

原材料価格の上昇や人手不足の影響により、材料費や労務費が高騰した場合、その追加コストを請負金額に十分に反映できないリスクがあります。請負契約への反映協議や、集中購買によるコスト削減などにより対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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