都築電気 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

都築電気 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

都築電気は東証プライム市場に上場し、情報ネットワークソリューションサービスを主力とする企業です。労働人口の減少に伴うIT投資需要を背景に、直近の業績は増収かつ大幅な増益を達成しています。今後はプロフェッショナルサービスカンパニーへの変革を掲げ、AI技術を活用した高付加価値ソリューションの展開を加速させます。


※本記事は、都築電気株式会社の有価証券報告書(第86期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 都築電気ってどんな会社?


情報通信インフラの設計から構築、保守までを一貫して提供するシステムインテグレーターです。

(1) 会社概要


1932年に都築商店として創立され、1941年に都築電話工業を設立しました。1961年に現在の都築電気へ社名を変更し、1986年に株式を上場しています。2020年には東証一部に指定されました。2021年に電子デバイス事業を分社化(のち2024年に譲渡)し、現在は情報ネットワークソリューションサービスに注力しています。

同社グループは、連結で2,040名、単体で1,161名の従業員を擁しています。筆頭株主は資本業務提携を締結している事業会社の麻生で、第2位には主要な仕入先であり製品等の取引関係がある富士通が続いており、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
麻生 23.97%
富士通 12.80%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長は吉田克之氏が務めています。取締役10名のうち社外取締役は8名で、社外取締役比率は高い水準にあります。

氏名 役職 主な経歴
吉井 一典 代表取締役会長 1981年同社入社。経理部長、常務取締役、代表取締役副社長等を経て、2024年より代表取締役社長。2025年より現職。
吉田 克之 代表取締役社長 1984年同社入社。流通営業統括部第三営業部長、執行役員常務、執行役員専務等を経て、2025年より現職。


社外取締役は、瀧中秀敏(麻生情報システム代表取締役社長)、塚原智子(富士通執行役員常務)、村島俊宏(弁護士)、松井くにお(金沢工業大学教授)、森山紀之(医療法人社団進興会理事長)、和智英樹(元日本アバイア社長)、小笠原直(公認会計士)、大村寛子(trine代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報ネットワークソリューションサービス」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 情報ネットワークソリューションサービス


同社グループは、情報通信インフラのコンサルティングから設計、開発、構築、そして保守やクラウド型サービスまでを一貫して提供しています。幅広い業種の企業や官公庁に対し、各種情報通信機器の導入やシステム開発を行い、労働人口の減少に伴う生産性向上やセキュリティ対策といった顧客のデジタル化ニーズに応えています。

主な収益源は、顧客への情報機器販売、システム開発やネットワーク構築の対価、および稼働後の運用・保守サービスや月額課金のクラウドサービス利用料です。事業の運営は主に都築電気が担い、保守や運用サービスは都築テクノサービスや都築クロスサポート、ソフトウェア開発は都築ソフトウェアなどの子会社と連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の連結業績を見ると、売上高は一時的に変動があったものの、利益面では着実な成長を遂げています。特に経常利益は継続して増加傾向にあり、利益率も3.5%から8.0%へと大きく改善しています。成長領域へのリソースシフトやプライシングマネジメントの徹底など、収益性改善に向けた取り組みが奏功していることがうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,193億円 1,239億円 1,249億円 983億円 1,037億円
経常利益 42億円 54億円 65億円 66億円 83億円
利益率(%) 3.5% 4.3% 5.2% 6.7% 8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 23億円 32億円 170億円 49億円 62億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、増収に伴い売上総利益が増加し、利益率も改善しています。高付加価値なエンジニアリングサービスへのシフトが進んだことで、営業利益は大幅な増益を達成しました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 983億円 1,037億円
売上総利益 227億円 250億円
売上総利益率(%) 23.1% 24.1%
営業利益 65億円 82億円
営業利益率(%) 6.6% 7.9%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び従業員給料手当が82億円(構成比49%)、賞与引当金繰入額が13億円(同8%)を占めています。また、売上原価の内訳としては、外注費が337億円(構成比47%)、機器及び材料費が302億円(同42%)、労務費が59億円(同8%)となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントで事業を展開しています。官公庁や金融業向けの大型機器導入やネットワーク構築案件が順調に推移し、クラウドソリューション等のストック型ビジネスも拡大したことで、全体として増収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
情報ネットワークソリューションサービス 983億円 1,037億円
連結(合計) 983億円 1,037億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業活動と資産の売却で得た資金を活用し、借入金の返済や株主還元を進める「改善型」の傾向を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 34億円 63億円
投資CF -8億円 17億円
財務CF -26億円 -33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も55.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、価値とあり方を言語化したパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」を掲げています。この理念のもと、事業的価値と社会的価値を提供し、顧客の成長を先導するパートナーへとポジションをシフトさせることで、豊かな世界の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念に基づき、多様な人材が能力を最大限に発揮し、挑戦と成長を継続できる組織風土の醸成を重視しています。専門性と創造性を備えた人材を「Value Creator」と位置づけ、従業員一人ひとりが自ら意見を発信し、イノベーションを生み出せる環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2033年3月期の創業100周年に向けた長期ビジョン「Growth Navigator」の達成に向け、中期経営計画「Trust & Challenge 2029」を策定しています。持続的な成長と株主還元の強化を図るため、以下の数値目標を掲げています。

* ROE(自己資本利益率):14.5%以上
* 連結配当性向:60%を目安
* 下限DOE(連結株主資本配当率):6.0%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「プロフェッショナルサービスカンパニーへの変革」を戦略の柱としています。プロダクト偏重からエンジニアリングサービスを中心とした収益モデルへの転換を図るため、AI技術を前提とした価値創出への移行(AI Native)を推進します。成長領域へリソースを集中させ、M&Aや資本業務提携を含む戦略投資を通じて中長期的な企業価値向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本を成長戦略の根幹と位置づけています。事業成長を支える専門性の高いプロフェッショナル人材の獲得に向け、新卒・キャリア双方での採用強化やリファラル採用を推進しています。また、従業員の「キャリア自律」を支援する人材育成プログラムの提供や、働きやすい環境の整備を通じて、組織力の最大化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.2歳 17.9年 9,404,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.0%
男性育児休業取得率 89.7%
男女賃金差異(全労働者) 73.9%
男女賃金差異(正規雇用) 73.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 83.4%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診率(100%)、ストレスチェック受検率(98.4%)、DXアソシエイト認定者数(256名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報通信技術の進化への対応遅れ


情報・通信サービス業界では、生成AIの普及やサイバーセキュリティリスクの高まりなど、技術が加速度的に進化しています。同社グループが最新の技術動向や顧客ニーズの変化への対応に遅れ、提供するソリューションの競争力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定取引先への依存


同社グループは、主要な仕入先である富士通と販売パートナー契約を締結し、製品やサービスを提供しています。同社の経営方針やパートナー戦略の変更により、製品の提供方法や仕入条件が見直された場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 情報紛失・漏洩に関するリスク


同社グループは、顧客の秘密情報や個人情報など多くの重要情報を取り扱っています。ランサムウェアや不正アクセス等のサイバー攻撃によって情報の紛失、毀損、漏洩等が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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