※本記事は、明星工業株式会社 の有価証券報告書(第83期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 明星工業ってどんな会社?
熱絶縁工事の専業大手として、エネルギー産業や各種プラント向けに工事およびボイラ製造を展開しています。
■(1) 会社概要
1944年に大阪市西区で創業し、保温・保冷工事請負業を開始しました。1947年に法人改組して設立され、1984年には大阪証券取引所および名古屋証券取引所の第一部に上場しました。その後、2013年に東京証券取引所第一部に上場し、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証プライム市場へ移行しています。
連結従業員数は756名、単体では383名体制です。大株主については、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行、第2位は外国投資ファンド、第3位は公益財団法人となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.44% |
| NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC | 7.90% |
| 公益財団法人富本奨学会 | 5.64% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は栁瀬徹次氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栁瀬 徹次 | 代表取締役社長 | 1983年入社。海外営業推進部長や工事統括部長などを経て、2022年に常務執行役員就任。2023年7月より現職。 |
| 篠原 基嗣 | 取締役執行役員支店統括部長兼技術統括部長兼品質・安全管理部担当兼大阪調達部・東京調達部担当 | 1986年入社。環境部長や営業統括部長、工事統括部長などを歴任。2013年に執行役員、2017年に取締役就任。2024年6月より現職。 |
| 藤野 景三 | 取締役執行役員営業統括部長兼工事統括部長兼長崎営業部長兼タングープロジェクトダイレクター兼浜松工場担当 | 1983年入社。海外現地法人代表やプロジェクトダイレクターなどを歴任。2017年に執行役員、2019年に取締役就任。2025年4月より現職。 |
| 都木 裕 | 取締役執行役員管理本部長兼関連会社担当 | 1985年入社。総務部長を経て2020年に執行役員就任。2024年6月より現職。 |
| 坂本 英治 | 取締役(監査等委員) | 1980年入社。各営業所長や東部支店長を経て2016年に執行役員就任。2021年6月より現職。 |
社外取締役は、上村恭一(公認会計士・税理士)、岸田光正(税理士)、西村強(公認会計士)、髙橋理恵子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設工事事業」および「ボイラ事業」を展開しています。
■(1) 建設工事事業
熱絶縁工事を中心に、クリーンルーム内装工事や冷凍冷蔵低温設備工事などを手掛けています。国内外において材料の製造から施工までを一貫して行い、エネルギー産業や各種プラント設備等の幅広いニーズに対応しています。
収益は、顧客からの工事請負代金や製品販売代金等から得ています。運営は主に明星工業が行うほか、明星建工、日本ケイカルなどの国内子会社や、MEISEI INTERNATIONAL PTE.LTD.等の海外現地法人が担当しています。
■(2) ボイラ事業
ボイラおよび産業用機械器具の製造、施工、販売、据付を行っています。燃焼技術を基礎としたボイラ製品を提供し、バイオマス発電等の再生可能エネルギー分野や産業用設備のニーズに応えています。
収益は、ボイラ等の製品販売および設置工事、メンテナンス工事等の対価として顧客から得ています。運営は主に子会社のよしみねが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は663億円に達しています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに増加基調を維持しており、利益率も向上しています。安定した成長を続けていることが読み取れます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 505億円 | 484億円 | 559億円 | 604億円 | 663億円 |
| 経常利益 | 67億円 | 56億円 | 73億円 | 85億円 | 112億円 |
| 利益率(%) | 13.3% | 11.7% | 13.0% | 14.2% | 17.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 41億円 | 40億円 | 42億円 | 42億円 | 70億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の伸長に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も前期の13.4%から当期は16.0%へと改善しており、収益性が高まっていることがわかります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 604億円 | 663億円 |
| 売上総利益 | 128億円 | 157億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.2% | 23.7% |
| 営業利益 | 81億円 | 106億円 |
| 営業利益率(%) | 13.4% | 16.0% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が18億円(構成比35%)、法定福利費が4億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の建設工事事業は、メンテナンス工事や大口工事の進捗により増収増益となり、利益率は17.1%と高水準です。ボイラ事業も国内大型案件等が寄与して増収増益を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設工事事業 | 534億円 | 589億円 | 76億円 | 101億円 | 17.1% |
| ボイラ事業 | 69億円 | 73億円 | 4億円 | 5億円 | 6.8% |
| 連結(合計) | 604億円 | 663億円 | 81億円 | 106億円 | 16.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
豊富な営業CFで、投資CFと財務CFをカバーしています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 71億円 | 69億円 |
| 投資CF | -19億円 | -5億円 |
| 財務CF | -31億円 | -47億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.8%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「エネルギー」と「エコロジー」の豊かな共存をテーマに、「顧客の創造と信頼の確保」「社会への貢献」「未来への挑戦」の3つを経営理念として掲げています。コア事業である断熱技術を通じてエネルギーの有効利用に貢献し、企業の社会的責任を果たすことを目指しています。
■(2) 企業文化
2024年度からの中期経営計画において、「改革、スピード&チャレンジ」を行動指針として掲げています。サステナビリティ経営の確立を目指しつつ、企業風土の醸成やグループ内の意識改革を図り、脱炭素社会に向けた新たなビジネスチャンスの創出に挑戦する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2024年度から2026年度までの中期経営計画を推進しており、「未来の躍進に繋げる投資」を基本方針として掲げています。サステナビリティ経営の確立を目指す一方、企業風土の醸成、グループ内の意識改革を図り、脱炭素社会に向けた新たなビジネスチャンスの創出に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
収益基盤の持続的強化として、既存事業の深化と新規顧客開拓を進めています。また、持続的な成長戦略として、脱炭素社会に対応した事業ポートフォリオの再構築や、海外市場での積極的な受注活動を展開しています。さらに、DXやグローバル化に対応した経営基盤の強化にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
専門性とマネジメント能力を兼ね備えた人材の育成を目指しています。OJTを軸に、資格取得支援や専門知識の習得機会を提供しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様な人材が活躍できる環境整備や、従業員の健康増進、働き方改革にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.3歳 | 12.6年 | 6,146,247円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.3% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※非正規雇用については、有価証券報告書に記載がないためハイフンとしています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 完成工事補償のリスク
海外工事や大型工事などにおいて、引き渡しを完了した工事に関連する瑕疵担保の費用が多額に発生した場合、同社グループの業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
■(2) 海外事業に伴うリスク
アジア地域を中心に展開している海外事業において、テロや政情悪化、予期しない法律・規制の変更、市況の悪化、パートナー企業の経営状況などが生じた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 為替及び金利の変動リスク
事業活動において為替相場の急激な変動や金利の上昇が発生した場合、これらの市場変動が同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 顧客に対する信用リスク
同社グループが多額の債権を有している主要な顧客が財務上の問題に直面した場合、債権回収が困難になることなどにより、業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。



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