※本記事は、株式会社高田工業所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
高田工業所は、プラント事業を主軸に、鉄鋼、化学、石油、ガス、電力、原子力など多岐にわたる産業設備の設計、製作、据付、配管、電気、計装、保全・修理を手掛けています。水処理や廃棄物処理といった公害防止設備にも対応し、幅広い分野で事業を展開しています。
単体従業員数は1,333名、連結従業員数は1,666名です。セグメントはプラント事業の1つです。
主な国内グループ会社は、高田プラント建設(プラント事業)、高田サービス(同)、渡部工業(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
高田工業所は、社員一人ひとりの成長と働きがいを重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。給与水準の改善や福利厚生の充実、働き方改革の推進を通じて、従業員が長く安心して働ける職場を目指していることが伺えます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
高田工業所では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が長期にわたってキャリアを築き、定着している傾向が見られます。経験豊富な人材が多数在籍し、安定した環境で業務に取り組んでいることが伺えます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,059,872円 |
| 平均勤続年数 | 16.6年 |
| 平均年齢 | 41.5歳 |
| 単体従業員数 | 1,333人 |
| 連結従業員数 | 1,666人 |
| 単体のグループ内比率 | 80.0% |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、同社及び連結子会社3社に適用されています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。直近の退職給付債務は51.3億円、年金資産は36.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
高田工業所は、第5次中期経営計画において「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップすることで、現要員体制での生産、利益の拡大を目指す」ことを人材戦略の基本方針としています。組織を活性化させる人事制度の抜本的見直しを進め、多様な人材の確保、柔軟なキャリアパス制度、個人の成長につながる評価・教育制度の構築に取り組んでいます。
従業員給与については、社員満足度を高め、人材の採用と定着を図るため、ベースアップや年間休日日数の増加、福利厚生の充実を進めています。人材育成では「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップし続ける人材づくり」を掲げ、能力開発やキャリアアップの機会を提供し、働きがいを生み出す人事制度を運用しています。
社内環境整備にも力を入れており、社員とその家族の心身の健康維持のため、健康診断やストレスチェックに加え、高田工業所健康保険組合によるメンタルヘルス・疾病予防等の事業を展開しています。また、65歳定年延長制度の導入によりシニア人材の活躍と技術継承を促進し、「働き方改革推進プロジェクト」で長時間労働の撲滅とワークライフバランスの実現を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。女性管理職比率は、提出会社単体の数値は本記事では取得できていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 63.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 44.3% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 係長級にある者に占める女性労働者の割合 | 7.5% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 66.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
高田工業所グループは、プラント事業を主軸に、各種産業設備の設計、製作、据付、保全・修理などを手掛けています。国内外の幅広い産業分野に貢献し、安定的な事業基盤を築いています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、プラント事業を主な事業内容としています。鉄鋼、化学、石油、ガス、電力、原子力、海洋開発、都市開発、自動車、通信、新素材、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、ガラス、食品、医薬品、物流など、多岐にわたる産業設備の設計、製作、据付、配管、電気、計装、保全・修理事業を展開しています。また、水処理、廃棄物処理、その他公害防止設備に関する事業も手掛けています。
収益は主にプラント建設・保全工事から得ており、特に国内の大型建設工事に注力しています。保全工事も顧客設備の稼働維持需要に支えられ、堅調に推移しています。設備診断ツール「電流情報量診断システム」の新規分野への参入や認知度向上にも取り組んでおり、新製品の投入や販促部門の新設、アライアンス強化を通じてソリューションを提供しています。
日揮株式会社との資本業務提携により、EPC(設計・調達・施工)運営体制の再構築と強化を進めています。上流工程から一貫した付加価値の高いサービス提供を目指し、FEED(基本設計)にも取り組んでいます。装置事業では、エレクトロニクス関連設備分野において、半導体製造向けの「超音波カッティング装置」や「枚葉式ウエハ洗浄装置」の開発・製作を行い、スマートフォン、ウェアラブル機器、車載・エネルギー等のパワーデバイス市場へ販路を拡大しています。
地域別売上高を見ると、日本が大部分を占めていますが、アジア地域(シンガポール、マレーシア、タイなど)でも収益を上げています。当連結会計年度のアジア地域からの売上高は前期から減少しました。主要顧客である日本製鉄株式会社への売上高が全体の大きな割合を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期間の業績推移を見ると、売上高は変動しながらも一定の水準を維持しています。直近の当連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から減少しました。これは、国内化学プラントや石油・天然ガスプラントの定期修理工事の閑散期や、一部建設工事の工期繰り延べが主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 472億円 | 579億円 | 523億円 | 581億円 | 537億円 |
| 経常利益 | 12.6億円 | 27.2億円 | 23.9億円 | 28.8億円 | 16.9億円 |
| 経常利益率 | 2.7% | 4.7% | 4.6% | 5.0% | 3.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.9億円 | 16.5億円 | 16.7億円 | 23.1億円 | 12.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 122.38 | 257.96 | 263.62 | 362.01 | 171.32 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
当連結会計年度における従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しました。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少する結果となりました。これは、売上高と営業利益が前期から減少した同社グループ全体の業績トレンドと連動しています。同社グループは人材育成やICT活用による業務効率化に積極的に取り組んでおり、今後の生産性向上に向けた施策の進展が期待されます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 34.3百万円 | 32.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.7百万円 | 1.1百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社高田工業所の財務状況は、事業活動や投資活動における資金の流れからその現在地を把握できます。特に、事業活動によるキャッシュ・フローが支出超過となっており、資金の動きに注目が集まります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率やROEといった指標からその健全性を確認できます。当期の自己資本比率は45.5%であり、製造業のプライム市場平均と比較するとやや低い水準となっています。ROE(自己資本利益率)は6.0%で、こちらも製造業のプライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は52.4億円となっており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 206億円 | 220億円 |
| 自己資本比率 | 44.9% | 45.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.5% | 6.0% |
| 現金及び預金 | 51.9億円 | 52.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュ・フローは、当期に11.5億円の支出となりました。これは主に売上債権の増加や仕入債務の減少、法人税等の支払額によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、18.4億円の支出となっています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは29.9億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加により23.1億円の収入を確保しています。このような資金の流れは、事業運営に必要な資金を外部からの調達で賄っている状況を示しており、今後の資金繰りの動向が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △6.5億円 | △11.5億円 |
| 投資CF | △24.6億円 | △18.4億円 |
| 財務CF | 40.2億円 | 23.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △31.0億円 | △29.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、プラント業界における国内経済変動や国際情勢の影響を受けやすく、景気低迷時には受注価格の下落につながるリスクがあります。また、製鉄及び化学業界のお客様への依存度が高く、当該業界の動向が同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは安全対策に万全を期していますが、労働災害が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
高田工業所グループは、第5次中期経営計画に基づき、持続可能な社会の実現に貢献しながら事業構造変革を強力に推進することを目指しています。一人ひとりの挑戦とレベルアップを尊重する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
高田工業所グループは、令和4年度から令和8年度までを期間とする『第5次中期経営計画』を策定しています。この計画では、「成長する産業分野での拡大」と「既存事業の維持・拡大」を軸に、付加価値と生産性の向上を図り、事業構造変革を強力に推進することを基本方針としています。
また、新たに「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップすることで、現要員体制での生産・利益の拡大を目指す」という方針も掲げています。実行策の指針として、SDGsへの取組み、挑戦をリスペクトする組織への変革、“設備技術産業の雄”への挑戦、新しい事業領域への挑戦を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
高田工業所グループは、社是「純情 情熱 希望」を基本とし、未来に向けて「人間創造」「技術創造」「事業創造」に取り組んでいます。すべての社員が健康でいきいきと働く環境づくりを目指し、人材への投資を重視しています。多様な人材の融合による組織活力の向上を重要な基盤と捉え、成長を目指しています。
また、第5次中期経営計画では「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップすることで、現要員体制での生産、利益の拡大を目指す」ことを基本方針に掲げています。国籍、性別、年齢等にかかわらない多様な人材の確保と、個々がいきいきと活躍できる組織の活性化を図る企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
高田工業所グループは、プラント業界における人手不足、資材・労務費の高騰、地政学リスクといった課題に直面しています。これに対し、脱炭素関連設備や半導体関連プラントへの環境対応投資、DX・AI活用による省人化・効率化を重点テーマとしています。
『第5次中期経営計画』の完遂を通じて事業基盤の整備と受注拡大に努め、次期中期経営計画へ着実に繋げる方針です。また、「付加価値・生産性の向上」を実現するため、全社基幹システム(ERP)の本格稼働に向けた準備を進めています。このシステム導入により、調達・工程管理・要員管理・施工管理などの各管理システムを見直し、EPCキャパシティー向上に向けたツール導入も進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
高田工業所は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営を監督する体制です。独立社外取締役を設置し、経営の透明性と客観性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
高田工業所の筆頭株主は日揮であり、20.02%の株式を保有しています。西日本興産やUH Partners2投資事業有限責任組合など、複数の事業会社や投資組合が上位株主に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日揮 | 20.02% |
| 西日本興産 | 10.72% |
| UH Partners2投資事業有限責任組合 | 6.48% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性13名・女性1名)で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は髙田寿一郎氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙田 寿一郎 | 代表取締役 社長 | 昭和62年1月千代田化工建設㈱入社、平成2年6月同社入社、平成13年4月同社代表取締役社長より現職。 |
| 長谷川 啓司 | 代表取締役 経営企画部・安全衛生管理部・品質保証部担当 | 昭和59年4月同社入社、平成29年6月同社取締役兼執行役員営業本部長、令和4年6月同社代表取締役兼専務執行役員より現職。 |
| 田所 弘 | 取締役 コンプライアンス推進室・総務部・人事部・財務部・DX推進部担当 | 昭和59年4月同社入社、令和元年6月同社取締役兼執行役員財務部長、令和4年6月同社取締役兼常務執行役員より現職。 |
| 丸山 裕 | 取締役 プラント事業本部長 | 昭和60年4月同社入社、令和3年6月同社取締役兼執行役員プラント事業本部長、令和6年6月同社取締役兼常務執行役員プラント事業本部長より現職。 |
| 岩本 健太郎 | 取締役 営業本部長 東京支店長 | 昭和58年4月同社入社、令和4年6月同社取締役兼執行役員営業本部長、令和5年4月同社取締役兼執行役員営業本部長、東京支店長より現職。 |
| 仲村 公孝 | 取締役 技術統括部・ 設計技術センター・ 診断ソリューション部・ 電気計装部・原子力事業部・ 装置事業部担当 | 昭和61年4月同社入社、令和4年6月同社取締役兼執行役員技術本部長、原子力事業部長、令和5年4月同社取締役兼執行役員より現職。 |
| 荒井 岳彦 | 取締役 調達部担当 EPC本部長 | 昭和61年4月同社入社、令和5年4月同社執行役員EPC本部長、令和5年6月同社取締役兼執行役員EPC本部長より現職。 |
社外取締役は、稲葉和彦氏(元㈱ゼンリン取締役)、鳥居玲子氏(弁護士)、坂本剛氏(QBキャピタル合同会社代表社員)です。
高田工業所は監査役会設置会社です。独立社外取締役を複数名選任し、経営の客観性・透明性の向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
高田工業所の取締役の報酬は、固定報酬である基本報酬と業績連動報酬、非金銭報酬である譲渡制限付株式で構成されています。社外取締役の報酬は、その職務に鑑み基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 3.5億円 | 49.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 36百万円 | 17.8百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、髙田寿一郎氏(1.34億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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